ahamoが料金据え置きでデータを増量したいわゆる「ahamoショック」に、いち早く反応したのが日本通信です。日本通信は9月30日から「日本通信SIM」の一部料金プランを改訂し、月10GBと月30GBだったプランを料金据え置きでそれぞれ20GB、50GBに増量しました。既に安かった料金が更に安くなり、ドコモ回線のMVNOでは個人的にもトップクラスにオススメのキャリアとなりました。
今回は日本通信の料金プランとメリット、注意点を改めて解説します。筆者も実際に利用しており、通信速度も測定しました(料金は全て税込み)。
●日本通信の料金プランはどう変わった?
日本通信は9月30日に料金プランを一部改定し、「合理的シンプル290プラン」「合理的みんなのプラン」「合理的50GBプラン」の3つから選べるようになりました。
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9月30日から変更されたのは月20GBの「合理的みんなのプラン」と、月50GBの「合理的50GBプラン」です。
もともと月10GBのデータ容量に5分かけ放題、または70分の無料通話が付いて月額1390円だった「合理的みんなのプラン」は、料金そのままで容量が20GBに増量されました。同じく、月30GBの容量に5分かけ放題、または70分の無料通話が付いて月額2178円だった「合理的30GBプラン」が、料金そのままで「合理的50GBプラン」に変更されました。
筆者が契約しているのは月1GBの「合理的シンプル290プラン」です。月1GBのデータ容量が月額290円で使えます。追加データ料も1GBあたり220円と安いので、月2GBなら月額510円、月3GBは月額730円で使えます。
●日本通信のメリット 1GBで290円から利用でき、データ使用量の上限も設定可能
日本通信の最大のメリットはやはり料金の安さです。月1GBのプランが月額290円で使えます。主要な格安SIMの1GBプランではHISモバイルが550円、mineoのマイピタが月額1298円なので、その安さは圧倒的です。
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月1GBの料金比較
・日本通信:月額290円
・HISモバイル:月額550円
・mineo:月額1298円
また、データ追加も1GBあたり220円と安いので、月2GBが月額510円、月3GBが月額730円で使えます。主要な格安SIMの3GBプランではLINEMOが月額990円、楽天モバイルが月額1078円なので、月3GBもトップクラスに安いです。
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月3GBの料金比較
・日本通信:月額730円
・LINEMO:月額990円
・楽天モバイル:月額1078円
日本通信はデータ使用量の上限を設定できるのが安心です。データ使用量が1GBを超えた場合、あらかじめ設定した上限までデータ容量が自動追加されるので、都度追加する必要がありません。使用量が設定した上限に達すると速度制限がかかり、「知らないうちにデータをたくさん使ってしまい高額の請求が来た」という心配がなく安心です。
また、例えば上限を3GBに設定し、実際には1.5GBしか使わなかった場合も、2GB分の料金しか請求されません。逆に、容量が足りなくなりそうなら、月途中でもマイページから上限を増やせます。
もちろん、月20GBの合理的みんなのプランも、月50GBの合理的50GBプランも圧倒的な安さです。前回の記事で解説した通り、ahamoやLINEMOは月30GBに5分かけ放題がついて月額2970円ですが、日本通信なら20GBと5分かけ放題で月額1390円、50GBと5分かけ放題で月額2178円です。一昔前なら考えられないレベルの安さになりました。
日本通信は音声通話もお得です。国内通話料は30秒あたり11円と大手キャリアの半額です。通話は専用アプリ不要で、端末に最初からインストールされているアプリが使えます。自動プレフィックス番号付与でもないため、高音質なVoLTEで通話できるのがメリットです。
さらに、合理的みんなのプランと合理的50GBプランは、5分かけ放題か70分の無料通話が選べるのも地味にうれしいポイントです。筆者は通話の頻度は少ないものの、たまに通話が5分を超えてしまい、通話料金がかかることがあります。しかし、70分の無料通話なら1回の通話時間を気にする必要がありません。
●気になる通信速度を測定
最も気になるのが通信速度です。日本通信を含むMVNOでは、昼や夕方に速度が遅くなることがあります。そこで実際に通信速度を測定してみました。
測定の条件
・測定期間:11月18日(月)〜11月22日(金)
・測定場所:福岡市内の筆者の自宅
・測定端末:AQUOS wish2
・測定アプリ:ドコモスピードテスト
・測定方法:5GをOFFにし、4Gのみで測定
ほとんどの時間は快適な速度が出ていますが、やはり昼12時30分と夕方18時は速度が低下しました。ただ、昼12時30分は5日間の平均が4.08Mbps、最も遅い日でも3.79Mbps出ていました。夕方も最も遅い日で5.7Mbpsです。スマホの通信速度は3Mbpsも出ていればYouTubeの高画質動画も詰まらずに視聴できるので、使用にはほぼ影響がないでしょう。今回は4G通信のみを測定しましたが、5Gで通信できればさらに速くなる可能性もあります。
筆者も最近はサブ回線として実際に日本通信を使っていますが、平日昼でもSNSやwebサイトの閲覧はほとんど問題なくできています。時折「いつもより画像の表示が遅いかな?」と思うことはあるものの、ストレスを感じるほどではありません。
筆者は自身の運営サイトで他のMVNOの通信速度を毎月測定しています。以前のMVNOは12時30分に1Mbps前後に落ち込むのが普通でしたが、2024年夏頃からどのサービスも速度が向上し、最近は遅い日でも2〜3Mbps出る場合が多いです。スマホの通信速度はエリアや環境によって異なるので一概にはいえないものの、ライトな使い方であれば昼や夕方でも問題なく通信できるでしょう。
●日本通信の注意点は? 店舗サポートなし、eSIMの手数料も難点
一方、日本通信にもいくつか注意点があります。
最大の注意点は店舗サポートがないことです。契約ができる店舗は北海道、福島県、千葉県、長野県に計8店舗のみで、契約もその後の各種手続きも基本的にはWebで行います。Webでの手続きは難しくないものの、店舗が必要な人は楽天モバイル、Y!mobile、UQ mobileやahamoなどを選びましょう。
また、日本通信はドコモ回線を使っています。ドコモ回線は近年、いわゆる「パケ詰まり」をはじめとした通信品質の低下が話題になっており、注意が必要です。特に都心部で使う人が他社回線から乗り換える場合は「つながらない」「速度が極端に遅くなる」といったことがないか、現在ドコモ回線を使っている周囲の人に確認してから乗り換えるのがよいでしょう。
なお、日本通信は時間帯によって速度が低下します。今回の速度測定では最低限の速度は出ていましたが、昼休みでもデータをガンガン使いたい人はahamoやLINEMOの方が安心かもしれません。
各種手数料にも注意してください。まず、日本通信は契約時に3300円の初期手数料がかかります。初期費用の割引キャンペーンも実施していません。
できるだけ初期費用を抑えたい人は、Amazonなどで販売されているスターターパックを利用しましょう。スターターパックは初期手数料が無料になる「エントリーパッケージ」と同じもので、スターターパックの購入金額と初期手数料3300円の差額分だけお得になります。Amazonでは時期により2500円程度に値下げされることがあり、Webで直接申し込むより7〜800円ほど節約が可能です。
例えば、11月末のブラックフライデー先行セールでは2380円で買えたので、そのまま申し込むより920円お得になりました。ただし、時期によっては3300円以上で販売されることもあるので注意しましょう。
また、個人的にはeSIMの機種変更(端末間の移動)に1100円の手数料がかかるのも残念です。今回、速度を測定するためにメイン端末から測定用の端末にeSIMを移し、測定後に戻したのですが、往復で2200円の手数料がかかりました。契約している合理的シンプル290プランの7カ月分以上の費用がかかった計算です。
日本通信は料金が安いものの、初期費用や各種手数料がかかり、キャンペーンもほとんどありません。これらを含めると、IIJmioなどのキャンペーンが豪華なキャリアを選んだ方がトータルでは安くなる場合もあるので注意が必要です。
以上、日本通信の解説でした。料金の安さは格安SIMではトップクラスで、通信速度も最低限の速度は出ていました。いくつか注意点はあるものの、個人的にもトップクラスにオススメのキャリアです。安さにこだわる人は日本通信への乗り換えを検討しましょう。
著者プロフィール
シムラボ
「シムラボ」は、スマホ料金や端末に関するお役立ち情報を発信する個人サイトです。Y!mobileに乗り換えたことをきっかけに格安SIMのよさに気付き、今では主要な格安SIMは全て契約してレビューしています。モットーは「自分に合うものを、より安く」。
・Twitter(現X):@simlabo_jp
・サイト:https://www.simlabo.jp/
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