「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の男性の不審な死から6年半あまり、殺人などの罪に問われていた男性の元妻に「無罪判決」が言い渡されました。和歌山地裁前から、松本記者の報告です。
須藤早貴被告(28)は6年前、和歌山県田辺市で、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野崎幸助さんに致死量の覚醒剤を何らかの方法で摂取させ殺害した罪に問われていました。
これまでの裁判で、須藤被告は「私は野崎さんを殺していないし、覚醒剤を摂取させたこともない」として一貫して無罪を主張。一方、検察側は、被告が覚醒剤の密売人と接触していた点や、覚醒剤や殺人、遺産相続について何度もインターネットで検索していた点などを指摘。犯人は被告以外ありえないとして、無期懲役を求刑していました。
きょうの判決で和歌山地裁は、検察側の主張について「密売人から購入したものが実際は氷砂糖だった可能性を否定できない」「殺害を計画していなければありえないような検索履歴とはいえない」などと指摘。「被告が殺害したのではないかと疑わせる事情はあるものの、野崎さんが誤って致死量の覚醒剤を摂取し死亡した可能性を否定できない」として、須藤被告に無罪を言い渡しました。
Q.無罪判決が言い渡されたときの須藤被告の様子はいかがでしたか?
|
|
主文を言い渡された瞬間、須藤被告は少し下を向いて涙ぐんで、弁護人がそっと差し出したハンカチでその涙をぬぐっていました。
また、判決全体の言い渡しが終わって退廷する際、裁判長に向かって小さくですが会釈をし、裁判長もそれに対して会釈し返すといった、そういった場面もありました。
判決言い渡しが終わった後、検察官全員が呆然とした表情を浮かべていたのが印象的でした。