『Diggin’ Sound vol.2』に出演したバンドのメンバーが集合 楽天ブックスとPCI MUSICが共同で主催し、総合支援プラットフォーム“bazoo”が企画を手掛けるライブイベント《Rakuten Books×PCI MUSIC Diggin’ Sound vol.2 powered by bazoo》が、2024年11月27日(水)東京・下北沢の近道にて開催された。新しい才能を発掘し、リスナーにとってまだ見ぬ音楽との出会いの場を作るというコンセプトで実施している本イベント。今回はガールズ・ボーカル・バンドをフィーチャーし、注目の若手5組が登場した。
【画像】『Diggin’ Sound vol.2』出演バンドのラインナップ トップバッターは、4ピース大学生バンドのラランチア。1曲目の「オレンジ」から、杏朱(Vo,Gt)の儚く芯のある歌声が観客の心を奪う。「グッドデイ」では、けすけ(Ba)のソリッドなベースや詩音(Dr)の重厚感のあるドラム、みなみ(Gt)のキャッチーなリードギターが耳を惹く。素朴だが自然と体に馴染むメロディ、リズム、サウンドで観客をどんどん魅了する。MCでは詩音が「ラランチアを初めて見るという方がほぼ全員だと思うんですけれども、このあと出演する素敵なバンドさんが好きなのも重々承知なんですが…」と腰の低い挨拶をし、思わず笑いが起きた。また、12月4日に1st EP『green green days』をリリースすることを発表し「ちょっとでもいいと思ってくれたら、よかったらEPを聴いてみてください」と述べる。そして、EP収録の「白線」「サマーフィルム」を披露。あどけなさがありつつ、ポテンシャルを感じる演奏でフロアを温めた。
2番手は、今年から本格始動したジャムトハイボール。野球の場内アナウンス風のSEが流れる中メンバーが登場すると、性急なドラムに乗せて「ナビゲーション」を快活に歌い上げる。朱里(Vo,Ba)と真白(Vo,Gt)によるツインボーカルの掛け合い、振り付けやガレージロックサウンドに乗せたポップなメロディと、目と耳で楽しめるステージングだ。さらにシンセ風ベースの独特な音色と真っ直ぐな歌が耳に残る「君とお昼寝」、ロックバラード「空白」など、多彩なナンバーで振れ幅を見せる。MCでは「ガールズバンドいっぱいの素敵な企画にジャムトハイボールも仲間入りできて、本当に嬉しいです! 関係者の方々と、今日来ていただいたお客様、本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを伝える。パンクロックチューン「パンケーキのテーマ」では〈オーダー入った!〉というフレーズを観客と合唱。朱里は「こんなにパンパンなハコでライブできて嬉しいね。盛り上がる準備できてますかー!?」と煽り、この日リリースされたばかりの新曲「今世紀最大のスクープ」を披露。最後まで笑顔を絶やさなかった彼女たちに、エネルギーをもらえるステージだった。
円陣を組み、開始前から気合充分だったのは、神戸のkomsume。あゆみ(Vo,Gt)の「準備はいいか? 東京ー!」というパワフルな一声から「アネモネ」でスタート。「全部見えてる!ありがとう!」と、観客ひとりひとりに語りかけるように歌を届けていく。「バク」ではアグレッシブな演奏に触発されて観客が拳を上げ、Oiコールが起きた。大人数がひしめくフロアに「熱気がすごいよ!」と3人は感激。「そのまま最後まで行こうね。力尽きないでよ!」と鼓舞し、スカパンク調の「Don't Think!」へ突入する。のんのん (Ba,Cho)の骨太なベースやジンちゃん(Dr)のタイトなドラム、あゆみのエモーショナルなギターが、会場の熱量をさらに高めていく。「百発百中」では機材トラブルをものともせず、ヘドバンを煽る場面も。この日、車で8時間かけて東京に来たという3人。「なんでそこまでして自分の足で歌いに来るのか――ここからみんなの顔を見てたら、ホンマにそれがわかるよ。会えてよかったです!」と気持ちを伝え、未来への希望を乗せた「衝動」を披露。初見の観客もいるであろうライブでも、誰ひとりとして置いていかないという気概が伝わるkomsumeのパフォーマンス。わずか25分でも、その“ライブ力”の高さと気骨が存分に感じられた。
4番手のNEK!は「今日はみんなで楽しんでいこう!」というHika(Vo,Gt)のハツラツとした一言からスタート。Kanade(Ba.)のスラップで口火を切った「MAZE」のヘヴィなサウンドが、観客の度肝を抜く。「今日は初のハコで、初の企画に招待していただきました。平日なのに足を運んでくださって、ありがとうございます! みなさん最高の水曜日にしましょう!」と意気込み、「ENDLESSGAME」を演奏。Cocoro(Dr.)のパワフルなドラムや存在感のあるベース、Natsu(Gt)が構築するテクニカルなフレーズなど、結成約10ヶ月とは思えない盤石なアンサンブルで魅了する。そして何より、技術に裏打ちされた重厚なサウンドが轟く中で突き抜けるHikaの歌声が、NEK!のアイデンティティを作り上げている。続いて、力強いボーカルと情緒あふれるサウンドが印象深いバラード「Blink」を披露。さらにCocoroが「残り2曲、みなさんのパワーを出しきってください! 盛り上がっていけますか?」と煽り、ロックンロールナンバー「Get Over」と、12月11日に配信リリースする新曲「Dreams!!!!」で畳み掛ける。フロアを見渡しながら笑顔で演奏する4人の表情に、胸を打たれた。
トリは、今年1月に結成した大学生による4人組・らそんぶる。ステージに立ち深々とお辞儀をすると、「ペアリング」の疾走感のあるサウンドで会場を満たしていく。「風船」の快活なサウンドで勢いを増すと、「夢見がちガール」へ。なんちー(Ba)の縦横無尽なベースプレイや、みやび(Dr)の小気味よいドラムが観客の体を自然と揺らす。自由なアレンジが新鮮な聴き心地を生み出している、彼女たちの楽曲。等身大の歌詞はもちろん、そら(Vo,Gt)の少しハスキーな甘辛い歌声がどんな曲もポップに染めるため、楽器隊も型にはまらないプレイを実現できるのだろう。4人の絶妙なバランスが、らそんぶるの独自性を作り上げているように思う。MCでは、そらが「トリを任せていただき、ありがとうございます! ビックリするぐらい社会人が多いです(笑)」と、平日にも関わらず多くの観客がいることに驚く。素朴で飾らないトークには初々しさが滲んでいた。「恋する少女はヒーローだった」では、ゆー(Gt)の鋭いカッティングや緩急をつけたドラムが楽曲をドライブさせ、「オーライ」ではめくるめく展開やベースの独特な音使いがクセになる。ラストは、SNSで注目を集めるナンバー「ロックンロールに恋をしたんだ!」。観客がクラップしながら一緒に盛り上がり、イベントを温かな空気で締めくくった。
全5組が結成4年未満、うち半数が活動歴1年未満という若手が集った《Diggin’ Sound vol.2》。作曲センスに長けていたり圧倒的な演奏力を見せたりパフォーマンスに優れていたりと、フレッシュでありながらそれぞれに光るものがあり、どのバンドもこれからの活躍が楽しみだ。また、前回とは異なる趣向で観客に新しい音楽との出会いを提供した《Diggin’ Sound》の今後にも期待が高まった。
Text by 神保未来
Photo by TAMA
■セットリスト
ラランチア
1.オレンジ
2.グッドデイ
3.白線
4.サマーフィルム
ジャムトハイボール
1.ナビゲーション
2.夢見る帝国図書館
3.君とお昼寝
4.空白
5.パンケーキのテーマ
6.今世紀最大のスクープ
komsume
1.アネモネ
2.バク
3.Don't Think!
4.百発百中
5.アルストロメリア
6.衝動
NEK!
1.MAZE
2.ENDLESSGAME
3.Blink
4.Get Over
5.Dreams!!!!
らそんぶる
1.ペアリング
2.風船
3.夢見がちガール
4.らしくあること
5.恋する少女はヒーローだった
6.オーライ
7.ロックンロールに恋をしたんだ!
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