俳優の松下洸平が16日、都内で初エッセイ集『フキサチーフ』(KADOKAWA)発売記念トークイベントを行った。
【全身ショット】ロングコートが似合う!優しい表情の松下洸平 タイトルの「フキサチーフ」とは、画材の一つで、完成した作品が色あせたり、擦れて剥げてしまわぬように画家が最後に絵に吹きつける定着液のこと。初のエッセイ集となる同書は、日々の景色や出会いを書くことで描写し「。」をつけて整理していくことで、“松下洸平自身の日常の「フキサチーフ」になれば”という思いからはじまった、エッセイ連載をまとめた。
雑誌『ダ・ヴィンチ』で2021年4月号から2024年1月号まで掲載された連載エッセイに加え、2篇の書き下ろしが収録。丁寧につづってきたエピソードは、役柄と自分自身のギャップ、フルアルバム制作・曲作りへの想い、やるべきことに囲まれ、たくさんの「やりかけ」に包囲されてしまっているある日のこと。視力が低下した為、松下の手伝いを受けながら3000冊以上の本を処分することにした大切な「じいちゃん」について。お腹が痛くなったとき、「大丈夫」と言ってくれる、とある存在など…となっている。
この日のイベントで、松下は書籍の“紙質”について「数え切れない中から、選びました。持ってあったかみを感じられる紙質を選んだので、想像していた以上に、持った時のほっこりする気持ちが紙に現れているなと思いました」と満面の笑み。選ぶ過程についても「最後、自分は今、何を選んでいるんだろうって感じました」と声を弾ませた。
同書については「3年半のすべてが、ここに詰まっていると言っても過言ではない」と自信をのぞかせながら「2021年4月ごろから書いているんですけど、忙しいばかり言っていて(笑)。(書籍にする中で)読み返していって『これからもっと忙しくなるぞ、この人』って思って」とちゃめっ気たっぷりに話した。
本書のカバーイラスト、表紙も自身が描き下ろしをしているが、松下は「できるだけ、飾り気のない細い路地みたいなのを描きたくて、ずっと探していたんです。どの街にもありそうな道を探して、ウロウロ街を歩いて、ここだと思った道がありました」とにっこり。「写真撮って、めちゃくちゃいい道見つけたわと思ったら(実際に描き始めたら)このへんとかめっちゃ難しくて(笑)。泣きながら描いていました」と奮闘ぶりを明かした。
また、今の自身について「紆余曲折して、自分が何者かわからない時期もありましたし。本当にめぐりめぐって、今みなさんが見てくださっているこれが完成形というか、これ以上にも以下にもなれないというか、このまんまの自分なんだなと。もうちょっとクールなものにも憧れたんですけどね(笑)」と話していた。