東北大は17日、研究志向の強い若手臨床医が研究に注力できる環境を提供する組織「シリウス」(医学イノベーション研究所)を来年4月、星陵キャンパス(仙台市)に開設すると発表した。東北大が第1号に認定された「国際卓越研究大学」の取り組みの一つで、医療イノベーション創出を目指すとしている。
同日、東京都内で記者会見した冨永悌二学長は「日本の医療アカデミアがさまざまな課題を抱える中で、今後の方向を示す一助になると考えている」と述べた。
大学医学部の臨床系教員は、大学病院などでの診療や教育にも従事するため、自らの研究時間確保が難しくなっている。こうした中、臨床現場を知り、研究志向の強い若手研究者を対象に、一定期間研究に専念できる組織を立ち上げた。
対象となる研究者は学位取得から10年以内の若手の医師や歯科医師で、国内外から公募。任期は6年間で、年に5人程度、計30人以上を採用する。
診療や教育活動の義務を課さない一方、希望すれば専門医資格を維持できる程度の臨床活動も可能。東北大の研究設備の利用や、実用化・事業化に向けた支援なども受けられるという。