「NHKスタッフが号泣」佐藤弘道、下半身麻痺から3か月の番組収録での“感動”と意外な反応をした人

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2024年12月18日 16:10  週刊女性PRIME

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入院したてのころの佐藤弘道

 今年6月、タレントの佐藤弘道さんが脊髄梗塞で下半身まひになったというニュースは、お茶の間に衝撃を与えた。

死ぬしかないと思いました」

 佐藤さんといえば『おかあさんといっしょ』(NHK Eテレ)の「第10代体操のお兄さん」として知られ、番組卒業後は、タレント活動とともに体操インストラクターとしても全国を駆け回っていた。

 元気の代名詞だった彼が突然、下半身まひになってしまったということは、周囲も本人も当初受け止めることはできなかった。

病名がわかって下半身まひを告げられたときは、家族に一生迷惑をかけて生きるなんてできない。死ぬしかないと思いました」と佐藤さんは振り返る。

 脊髄梗塞は脊髄の血管が詰まることで神経が機能しなくなり、下半身まひ、排泄障害などの後遺症が残る病気だ。発症は10万人に1人というまれな疾患で、動脈硬化や大動脈解離などが原因で発症する。

 高血圧や糖尿病、動脈硬化、心疾患などの持病がある人は発症リスクが高くなるが、佐藤さんに持病はなかった。

毎年、健康診断を受けていますが特に異常はなし。脊髄梗塞を発症したあとの検査でも血管や脳に異常はなく、原因はわかっていません

 最初に異変を感じたのは背中の痛みだった。

妻に湿布をはってもらうと翌日には治ったので、気にしていなかったんです

 それから2日後、鳥取県に出張に出る日の朝、左足にしびれを感じたが、仕事への責任感もあり、とにかく搭乗することに。しかし、飛行機に乗る前から腰まわりの激しい痛みと吐き気があり、離陸後は歩行もできなくなって、着陸後、現地の病院へ搬送された。

MRIを撮ると脊髄がむくんでいて緊急入院しました。脊髄梗塞の疑いと診断されましたが、完治する治療法は確立していません。むくみを取る点滴を受けただけで、あとは神経を回復させるためリハビリをするしかないと告げられました

 入院当初はこれからの人生に絶望していた佐藤さんだが、仕事を長期で休むことになるので病名を隠し続けることはできない。発症から2週間後に直筆で病名を公表したことが、前を向くきっかけになったという。

公表したからには、歩けるようリハビリをするしかないと病気と向き合う気持ちになったんです。そこからはとにかくストイックにリハビリに励みました

 東京の病院に転院し、時間を持て余しているだろうと考える知人たちから本をたくさん差し入れでもらったが、一冊も読めなかったという。

1日中、汗びっしょりになるくらい歩行器を使用して病棟内を歩いて、筋トレも行っていました。夜は疲れて寝てしまうので、本を読む時間なんてなかったんです

 将来に不安を抱えた状態で、決して楽ではないリハビリを続けるということは、誰しも心身への負担になる。中にはうつになってしまう人もいるというが、さすがは体育会系の佐藤さんだ。

足が動かない分、疲れも大きい」

7月にリハビリ病院に入って12月末が退院目標だったのですが、『僕は1日たりとも長くここにいるつもりはありません』と医師に告げ、実際、入院して3週間後に退院しました。自宅に戻り、手すりをつけず、あえて不便な生活の中で動くことも大きなリハビリになると、医師も賛成してくれたのです

 しかし、まだスムーズに歩ける状態ではなかったため、家族の不安は大きかったという。

実際、自宅に戻ると大変でした。家族がいないときに、ひとりで食事や片づけ、着替えをするのは簡単ではなく、足が動かない分、疲れも大きいのです。でも少しずつ、できることが増えていき、今は車の運転もできるようになりました

 持ち前の運動神経のおかげで回復が早い佐藤さんだったが、普通に歩いているように見えても、走ることはできない。混雑する中で人をよけることも難しいため、立ち止まって相手が通り過ぎるのを待つしかない。

取得したヘルプマークをカバンにつけています。例えば、災害が起きて避難しなくてはいけないときでも走ることができないので、誰かの手をお借りするためにもヘルプマークが役立つと思いました

 9月に行われた『おかあさんといっしょ』放送65周年特番の収録には、当初は参加できないと思っていたものの、サプライズで登場することに。歩いて現れた佐藤さんに、一緒に活動した茂森あゆみさんをはじめ、スタッフまで関係者は大号泣状態だったという。

でも(はいだ)しょうこちゃんはいつものままで、『キャー! ひろみちお兄さん!』ってはしゃいでました。彼女らしくて面白かったですね

 病気を患ったことで佐藤さんの人生観は大きく変わったという。

「歩けることが当たり前ではないと気づいて、感謝の心を持てるようになりました。人に優しくなり、妻には以前よりも『穏やかになった』と言われます。

 この病気はまだあまり知られていないので、僕が啓発する立場にもなりたい。そして、不安を抱える立場にいる人たちを支える側にもなれるよう、リハビリを続けていきます

取材・文/紀和 静 

さとう・ひろみち 1968年生まれ、東京都出身。日本体育大学体育学部卒業。'93年4月よりNHKの教育番組『おかあさんといっしょ』第10代体操のお兄さんを12年間、2005年4月より『あそびだいすき』(NHK Eテレ)を3年間務める。'02年に子どもと指導者のためのスポーツクラブを立ち上げ、幼稚園・保育園・こども園の正課体育および課外体操教室で指導。'15年、弘前大学大学院医学研究科博士課程修了。親子体操を通じて親と子の健康について調べ、日本初の「親子体操博士」となる。

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  • 子ども達に夢を与えてくれて、かつ、健康体を画に描いたような方だったのに…、人生わからないものです。お大事になさってください。
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