子どもを支配したり、逆に養育を放棄したりする「毒親」。前回のインタビューで毒親に育てられた過去や、就職してうつ病になってしまった過去を語ってくれたセクシー女優・最上一花さん(@ichika_mogami)。
「毒親に育てられていなかったら、100%デビューしていなかった」と言い切る彼女にとって、セクシー女優のお仕事はどのような存在なのでしょうか? 現在の家族との関係や、セクシー女優としてデビューしたきっかけなどを、さらに深掘りして聞いてみました。
◆家を出た娘に母は「お金は入れてくれるんでしょ?」
――前回のインタビューでは、毒親であるお母さんのもとを離れてひとり暮らしを始めるまでを語っていただきました。お母さんは受け入れてくれたんですか?
最上一花(以下、最上):もう母のことは無視して、家出みたいな状態で出て行ったので。「明日、引っ越すから」とだけ伝えて。
――でもお母さんは、経済的に最上さんに依存している状態だったんですよね。そんな娘が出ていくとなったら、大騒ぎしそうな気もするんですが。
最上:ところが母は、私が出ていくと告げたらこう言ったんです。「でも、うちにお金は入れてくれるんでしょ?」って。
――……それは予想外です。だから騒がなかったんですね。
最上:私も「え?」ってなりました。でも「たしかに高校の途中までは学費を出してもらっていたんだから、返さないといけないかも」って思っちゃって。今考えればおかしいんですけど、そのときはまだ母の洗脳状態みたいな感じだったんでしょうね。毎月10万円くらい、2年は振り込みましたね。あとはブランド物を買ってあげたりも。
――それじゃ、一緒に暮らしていたときとあまり変わらないじゃないですか。家にお母さんが来ちゃう、なんてことはなかったんですか?
最上:それはなかったですね。たぶん、母も私が避けていることには気づいていたんだと思います。だからあえて会おうとはしなかったんじゃないかと。そのあたり、冷静な部分も持っている人なんですよね。
◆「実は母親とは、もう和解しています」
――じゃあ、もうそれ以降はお母さんとは会っていない?
最上:いえ、実は母とは今は和解していて、ときどき会ってもいるんです。
――そうなんですか! それは意外でした。和解のきっかけは?
最上:言ってしまえば、私がセクシー女優としてデビューしたからですね。デビューして自分自身に自信が持てるようになったので、母とも向き合えるようになったんです。でも母にはセクシー女優のお仕事のことは、伝えていないんですけど。
――それはなぜです?
最上:別にわざわざ言うことでもないかな、と。それにちょっと母は不安定なところもあって、一緒に食事に行くと過去のことを思い出して「反省してる」って急に泣き出しちゃうこともあるんです。そんな母に、セクシー女優のことを伝えるのもちょっとな、と思っちゃって。
――なかなか難しいところですね。海外に行った弟さんとは、会っているんですか?
最上:ビザの関係で数年に1度帰国するんですが、そのときには会いますね。あとはたまにLINEするくらい。父は、もう生きていないかなって思っています。父も毒親でしたし、わざわざ会いたいとも思いません。
◆キレイになるため整形に1300万円をつぎ込む
――外見のことをけっこう言われた、とのことでしたね。
最上:私、だからキレイになろうと思って、けっこう整形もしてるんですよ。これまで1300万円くらい使っています。
――そうなんですか! どこを整形したんですか?
最上:一番大きかったのは、顔の輪郭を削ったのと、歯をセラミックにしたことですね。顔の輪郭に300万円くらい、歯は2回セラミックにしていて、最初に100万円、2回目に250万円かかりました。鼻も100万円くらいかけてます。
――なんで歯は2回もセラミックを?
最上:1回目のセラミックが白すぎて、ネットに「便器みたい」って書かれちゃったんですよ。今考えれば、けっこうワードセンスがあって笑えるんですけど。当時はそれがイヤで、もっと自然に見えるようにしたかったんです。整形しても、意外と気付かれないんですよね。「キレイになったね」って言ってもらえます。
――それ、インタビューで話しちゃって大丈夫ですか?
最上:大丈夫です、むしろ話して、整形関係のお仕事が来たらうれしいなって(笑)。実際、韓国の整形PRのお仕事はいただけましたし。
◆セルDVD店でアルバイトしているときにデビューが決定
――最上さんがセクシー女優としてデビューしたきっかけを教えてください。
最上:もともとセルDVD店でアルバイトしていた経験があるんです。それで就職で失敗して1年間休職して、社会に復帰したいと思ったときに、あの世界なら私も受け入れてもらえそうだなって思って、秋葉原の「ラムタラメディアワールド」で働き始めました。けっこうセクシー女優のイベントをするお店だったので、そこでいろいろな女優さんに会って、すごく「キレイだな」「かわいいな」って感動したんです。
――それがセクシー女優に憧れるきっかけになったわけですね。
最上:でも憧れだけで、自分がデビューしようとは思っていませんでした。彼女たちと自分は、違う世界に生きている存在だと思っていたので。
――では、なぜデビューが決まったんですか?
最上:ラムタラでイベントのお手伝いしているときに、いろいろなお客さんに「カワイイ」って褒めてもらったんですよ。「なんなんだろう」って思っていたんですけど、そのうちにメーカーの方から直接「デビューしませんか?」って誘われたんです。それで「じゃあ、1回だけ」って感じで。
◆「私の人生の原動力は、全部お金です」
――誘われて、即決したんですか?
最上:正直、そのときもお金がなかったんですよね。だから「お金がほしい」と思って、デビューを決めました。もちろん悩みましたけど、やっぱりお金には勝てなかったです。
――お金がすべて、な感じですか。
最上:お金が魅力でしたね、やっぱり。私の原動力は、お金しかない。人生の原動力が、全部お金なんで。
――そこまで言い切るのも、すごいですね。
最上:お金のせいで人生がメチャクチャになったし、逆にお金に救われた部分もあるので。私にとって、お金はすべてです。
――デビューしてからもラムタラでアルバイトは続けていたんですよね?
最上:しばらく続けていたんですけど、やっぱり辞めることになっちゃいました。ほかの女の子から「私たちまでセクシー女優になる、みたいに見られるのがイヤ」って言われたり、私がレジにいるとお客さんがずっとフロアに居座っちゃったり。私は頑張りたかったんですけど、お店に迷惑になっちゃうのはやっぱりダメだなって。でも当時の店員の友達で、いまだに付き合いがある子もいるんですよ。
◆デビューして「生きていて良かった」と思えた
――憧れていたセクシー女優の世界に飛び込んで、最上さん的にはどう変わりましたか?
最上:それまでゼロだった自己肯定感が、100になりました。初めて私の存在を肯定してくれる人たちに出会えたなって。この業界で、初めて自分の存在意義を持てたと言うか、大げさかもしれないけれど「生きていて良かった」って思えたんです。
――それは本当に良かったです。セクシー女優になることが、最上さんにとって救いだったわけですね。
最上:でも、まだ落ち込むこともありますけどね。事務所を辞めてフリーになったのも、ほかの女の子と自分を比較して悩んじゃうからって部分がありますし。でもフリーはフリーで大変です。ときどき「大丈夫かな?」って思うようなお仕事も来ますし。
――そのあたりは、気を付けないといけませんね。
最上:だからメーカーさんのお仕事以外は、信頼できる人からの紹介や、以前からお付き合いがある現場のお仕事しか受けないようにしていますね。あとは営業、自分を売り込むのも大切ですが大変なので、事務所に入り直すのもアリかなって。
◆今後は文章やトークなど、お仕事の幅を広げたい
――フリーの人は、知名度をアップさせたり自分自身を売り込んだり、大変ですからね。
最上:X(旧Twitter)での発言も、知名度アップのための戦略のひとつでもあります。過激なことを言っているので、ヤバい奴だと警戒されることもありますが、実際に会うと「普通の人だね」ってよく言われます(笑)。
――セクシー女優として、今後の目標ややってみたいことはありますか?
最上:そうですね、セクシー女優以外に、文章のお仕事もやりたいなって思っています。文章を書くのが好きなので、セクシー女優のお仕事と一緒にやれたら、と。
――コラムとか小説とか?
最上:コラムですかね、小説はあまり。あと、マンガの原作をやってみたいです。あとはしゃべるのが好きなので、今もときどきトークライブをしています。そういうお仕事も続けていきたいですね。
<取材・文/蒼樹リュウスケ 撮影/林紘輝>
【最上一花】
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【蒼樹リュウスケ】
大学在学中に成人誌出版社で編集のアルバイトを始め、そのままアダルト業界に定住。大手AVメーカーの雑誌編集部を経て、フリーライターとして独立。好きなことを書きたいと思った結果、アダルトならなんでもありな文章を書きまくる生活を送っている