記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
平成時代にはバザールでござーる、NOVAうさぎなど人気CMキャラクターが多数出現したことを伝えてきましたが、特に平成らしさを感じるのはペプシマンなどの3Dコンピューターグラフィックを使ったキャラクターでしょう。
1990年代、CG技術の進化によって映像表現の幅が広がり、長尺となる3Dアニメ映画や、リアルタイムでの描画が求められるビデオゲームなどに先駆け、テレビCMでは早くから3DCGのアニメが作られました。
その中で、特に早い時期に人気となったCMが、89(平成元)年に創刊されたリクルートのアルバイト求人情報マガジン『From A to Z』です。
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CMは、タコのような形の黄色い「火星人」と、緑色のイカのような「金星人」のCGキャラが大量に集団でスクランブル交差点を横断して交じり合う内容でした。
なぜ火星人と金星人かといえば、もともと毎週火曜発行として存在した『From A』に加えて、首都圏のみ毎週金曜発行のFrom A to Zを創刊し、火曜と金曜の週2回になったことを伝えるためでした。
河内音頭の河内家菊水丸さんによるCMソングも話題となり、後にシングルCD『カーキン音頭』(91年)として発売されました。こちらもヒットし、菊水丸さんの認知度も飛躍的に上がったのです。
『From A to Z』のCMは関東ローカルではあったものの、CGキャラクターは『From A』の表紙を飾るなどして人気となりました。そして、ぬいぐるみやフィギュアなどさまざまなグッズに展開していったのです。あまりに人気すぎて、頭に「火」「金」の文字がないニセモノまで多数登場。ニセモノが出てくるほど人気だったわけです。
今や求人はネットが中心になりましたが、ネット求人は闇バイトのリスクもありますので、いま一度紙の雑誌による求人に立ち返ってみましょう。
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撮影/榊 智朗