超実写プレミアム吹替版『ライオン・キング:ムファサ』尾上右近&松田元太が語る!ムファサとタカの絆とオーディションの裏話

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2024年12月20日 15:10  Pouch[ポーチ]

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【最新シネマ批評・インタビュー編】
映画ライター斎藤香が超実写プレミアム吹替版『ライオン・キング:ムファサ』のムファサとタカを演じた尾上右近さんと松田元太(Travis Japan)さんに直撃インタビューしました!

ディズニーの超実写プレミアム吹替版『ライオン・キング:ムファサ』(2024年12月20日公開)は、『ライオン・キング』のはじまりを描く、ディズニー史上最も温かく切ない“兄弟の絆”の物語。尾上右近さんは若き日のムファサ、松田元太さんはスカーの若き日のタカの声を演じています。

初めて声優の仕事に挑戦したふたりにムファサとタカの魅力はもちろん、オーディションのこと、吹替の仕事の裏側、ふたりのなかよし関係についてもアツ〜く語っていただきました。

まずは『ライオン・キング:ムファサ』の物語をサクッとご紹介しましょう!

【『ライオン・キング』のはじまりを描く】

ディズニー映画全世界No.1ヒット作『ライオン・キング』(2019)の主人公シンバが王になるずっと前。シンバの父ムファサ(尾上右近さん)は若いころ、血のつながりはないタカ(松田元太さん)と兄弟のように過ごしていました。

(L-R): Taka (voiced by Theo Somolu) and Mufasa (voiced by Braelyn Rankins) in Disney’s live-action MUFASA: THE LION KING. Photo courtesy of Disney. © 2024 Disney Enterprises Inc. All Rights Reserved.

しかしその後、タカはムファサの命を奪うスカーとなるのです! タカはなぜ最強ヴィランのスカーになったのか……。その真実の物語を描いたのが『ライオン・キング : ムファサ』です。

【ケンケン&ゲンゲンと呼び合うふたり】

―右近さん、松田さんは初共演ですが、すぐ意気投合したようですね。

尾上右近さん(以下、右近)「実は声の収録は別々だったのでお会いするのは今日が初めてなんです。でもすでに弟のようで一緒にいて安心感があります」

松田元太さん(以下、松田)「右近さんの方から “ケンケンって呼んで” って言ってくださって、もう “お邪魔します!” って感じです。僕のことは “ゲンゲン” って呼んでいただいています。光栄です!」

―相性バッチリですね! おふたりともにオーディションでムファサとタカの役を掴みましたが、オーディションのときのことを教えてください。

右近「僕は声のオーディションを受けるのは初めてなので、準備は手探りでした。声の表現を数パターン備えて、本編の歌をひたすら聴いて…。オーディションを受けることはシークレットなので、究極の陰の努力を積み重ねました」

松田「まず『ライオン・キング』を改めて見て、オーディションを受けることを想定し、キャラクターの感情を読み取りながら僕も声の表現をいくつか用意しました。歌もめちゃくちゃたくさん聴いたし、準備期間はとにかく滑舌を良くしなくては、と思って人生でいちばん滑舌レッスンをしましたね」

(L-R): Sarabi (voiced by Tiffany Boone), Taka (voiced by Kelvin Harrison Jr.), Mufasa (voiced by Aaron Pierre), and Rafiki (voiced by Kagiso Lediga) in Disney’s live-action MUFASA: THE LION KING. Photo courtesy of Disney. © 2024 Disney Enterprises Inc. All Rights Reserved.

右近「極秘の練習とはいえ、歌はつい口ずさんじゃうんですよ。気づいたら楽屋で歌っているという…(笑)。周囲に “何の歌?” って顔をされたら “これは僕の大切な歌なんだ” と言って乗り切りました(笑)」

松田「わかります! 僕は準備期間がドラマの撮影とかぶっていたので、ドラマのセリフが『ライオン・キング:ムファサ』のセリフに見えてきちゃって困りました(笑)。“いかん、いかん!” とドラマの現場でアタフタしていました」

―オーディションを終えたときに手応えはあったのですか?

松田「僕はもう…おわった〜と思いました。でも全力を出し切ったので “ディズニーの人、頼む!” と気持ちを皆さんに飛ばしました(笑)」

右近「スタッフの皆さんがすごく温かく迎えてくださったので、オーディションの最中 “これイケるんじゃないか” と思ったんですが、帰り道に “いや、やっぱり大丈夫じゃないな” と思いました(笑)。オーディション経験がないから、結果をどういう気持ちで待ったらいいのかわからなくて、ずっとソワソワしていました。ムファサ役がほかの方に決まっても映画を見に行くつもりだけど、どんな気持ちで見ればいいのかなとか考えてしまって…。それくらいやりたいと強く思っていたので、合格をいただけて本当にうれしかったです」

―合格の瞬間、松田さんはTravis Japanの皆さんと一緒に大喜びしている姿がYouTubeにあがっていましたが、右近さんはどのように合格を伝えられたのですか?

右近「お気に入りのカレー屋さんにいたときに携帯が鳴って、ムファサ役に決まりましたと。周りにお客さんが結構いたのですが、思わず “おおっ!” と声が出てしまいました(笑)。でも解禁前なので、周囲に話せなかったんです。そのとき寺島しのぶさんの息子さんと舞台の仕事をしていたのですが、親子役だったので『ライオン・キング』がかぶってしまって。それまで歌舞伎の手法で教えていたのに、いきなり “ここはライオン・キングみたいに” と、禁断のワードが出てしまいました(笑)」

【セリフの尺に悪戦苦闘した収録】

―実際にムファサとタカの声の演技をしたときのことを教えてください。

右近「僕はずっと歌舞伎の世界で動きと言葉を連動させて演技をしてきたので、声だけの仕事は難しかったです。特に大変だったのは、アメリカの俳優さんのセリフの尺に合わせて秒数をチェックしながら演技しなければいけないこと。ずっと秒数を凝視していたので、数字が怖くなってしまって、外を歩いていても、人の会話の長さが気になり、どれくらいの秒数で話しているんだろうと考えてしまいました」

松田「僕も苦労しました。でも何度も演じるうちにセリフを覚え、身振り手振りも大きくなって、思わず膝を叩いちゃって、その音が大きすぎてNGになったこともありました」

右近「わかる。僕も慣れてくると身振り手振りがついて話すようになりましたね。ゲンゲンの言うように音を立ててはいけないので、裸足になって声の収録をしていました」

【孤独なムファサと無邪気なタカ】

―おふたりが声を担当したムファサとタカの魅力を教えてください。

右近「ムファサは孤独なんです。その孤独を拭って生きる力につなげていくのがムファサ。あるシーンでムファサは “子どもの頃の故郷の香りがする” というのですが、僕はそのセリフが大好きなんです。埋まらないムファサの孤独が感じられて心に沁みるんですよ。でもムファサは、みんなを信じて、みんなの力を引き上げることで、孤独を拭い去っていく…。歌舞伎の世界も似ていて、歌舞伎役者も孤独になりやすい瞬間がある。でも俳優それぞれの個性が集まったとき、力と温かみが生まれる。共通点があるからこそ、僕はムファサに共感できたんだと思います」

松田「スカーになる前のタカはとても無邪気で、思いついたことはすぐ言葉にする可愛いヤツなんです。ムファサに対して、大きな存在だとリスペクトする気持ちをたくさん持っています。自分も芸能界の先輩方に対して尊敬する気持ちがたくさんあるので、そういう気持ちをタカに重ねて演じました。そこは自分に似ているし、演じてますますタカが好きになりましたね」

―そんな可愛いタカがスカーになるという……。

松田「いろいろな負の感情が蓄積されてだんだんスカーになっていくのですが、演じているときにセリフや音楽や表情で “あ、もうタカの中にスカーがいる” と思う瞬間がありました。僕はそんな変化するタカの感情を噛み締めながらも楽しんでタカを演じました」

―もうムファサとタカにピッタリですね。それぞれムファサっぽい、タカっぽいと思うところはありますか?

右近「ゲンゲンの魅力は “可愛げがあるところ” そこがタカっぽいですね。僕は次男気質で、周囲に可愛がってもらってきたけど、30代になり、後輩ができて “可愛いな” と思うようになりました。そんなときにゲンゲンと出会ったから、ゲンゲンは可愛い存在として最強だし、タカにぴったりだと思います」

松田「最強の兄貴が芸能界にできました! ケンケンはムファサであり、僕の兄貴です(笑)。お兄ちゃんというより兄貴って感じなんですよね。ホントに飲みに行きたいです!」

右近「わかった。じゃあ、今日行こうか!(笑)」

【最高のお楽しみの中に学びがあるのがディズニーの魅力】

―ディズニー作品が大好きだと聞いていますが『ライオン・キング』以外に好きな作品はありますか? ディズニー作品の魅力について聞かせてください。

右近「大人も子どもも大好きだし、シンプルに楽しめて、かつ、深い学びも得られるところがいいですね。個人的に好きなのは『アラジン』『ファインディング・ニモ』。『アナと雪の女王』は劇場で2回も見ました。『アナ雪』は没入感があるんですよ。でもいちばんはやはり『ライオン・キング』です」

松田「僕は小さい頃からディズニーが大好きなんです。幸せな気持ちにさせてくれるし、ディズニー映画でいろんな学びを得てきました。『スティッチ』には友情の大切さ、『トイ・ストーリー』にはおもちゃを大切にすること。僕の人生を作ってくれたのはディズニー作品だと思っています。好きな作品は『リメンバー・ミー』と『モアナと伝説の海』。松田家はミュージカルごっこをするんですが『モアナの伝説の海』でマウイが歌う「俺のおかげさ」は、僕の十八番。Travis Japan のライブ前も必ず聴く曲で、マウイの気分でライブに臨んでいます!」

―最後に『ライオン・キング:ムファサ』は楽曲も素晴らしいので、歌の魅力について教えてください。

右近「ムファサはしっとり系というか孤独感みたいなものが際立つように歌うことを意識しました。みんなで歌ったり、兄弟で歌ったり、ラブソングも歌ったりしましたが、それぞれの楽曲にムファサが抱えているものが横たわっている感じがします。でも歌だけが突出している作品ではなく、あくまで物語に歌が寄り添っている。そこの絶妙な匙加減も楽しみにしてほしいですね」

松田「タカは無邪気な感じが歌にも表れています。もう心の声が歌になって溢れてきちゃうような。そんな楽しい歌もあれば、スカーになる感情を表現するときの歌はガラッと雰囲気が変わります。そのタイミングを逃さないように歌いました。ぜひ見て楽しんでほしいです」

◾️尾上右近さん(おのえ・うこん)
1992年5月28日生まれ。歌舞伎伴奏音楽の清元唄方もつとめる歌舞伎界の二刀流。活動は幅広くミュージカル「ジャージー・ボーイズ」、「衛生〜リズム&バキューム〜」、映画『燃えよ剣』(第45回日本アカデミ一賞新人俳優賞受賞)などに出演。近作は『身代わり忠臣蔵』『十一人の賊軍』『八犬伝』(2024)

◾️松田元太さん(まつだ・げんた)
1999年4月19日生まれ。Travis Japan のメンバー。2022年10月に「JUST DANCE!」で全世界配信デビュー。2024年「Travis Japan World Tour 2024 Road to A」を世界6都市で開催。俳優としても活躍の場を広げており、2024年は『東京タワー』(テレビ朝日)、『ビリオン×スクール』(フジテレビ)に出演。

『ライオン・キング:ムファサ』
2024年12月20日(金)全国ロードショー
(c) 2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

取材&文:斎藤 香(c)Pouch

尾上右近さん
ヘアメイク: 西岡達也(Leinwand) スタイリスト: 三島和也(Tatanca)
松田元太さん
ヘアメイク:宇佐見順子(JOUER)スタイリスト:日夏(YKP)

衣装クレジット
尾上右近さん:ジャケット、パンツ/Ohal(オーハル)
松田元太さん:ジャケット、パンツ/CULLNI(Sian PR)

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