画像:映画『はたらく細胞』公式サイトより NHK朝ドラの「伝説的カップル」がダブル主演を務める映画、『はたらく細胞』が盛り上がりを見せています。
12月13日の公開開始から、3日間で観客動員61万2000人、興行収入8億4500万円を記録(12月13日〜15日・興行通信社調べ)し、動員・興行収入共に初登場第1位。筆者も初日に劇場へ足を運びましたが、大人から子どもまで楽しめるストーリー、アクションに、豪華キャストとあってか、幅広い年齢層のお客さんでにぎわっていました。
本作のなかでも、アラフォー筆者の心をひときわ掴んだのは、主演の永野芽郁×佐藤健という組み合わせ! 挑戦的な展開や台詞が話題となった朝ドラ『半分、青い。』(2018年)でラブストーリーを繰り広げたふたりが、6年ぶりの再共演です。
※本記事には、『半分、青い。』に関する一部ネタバレを含みます。
◆永野芽郁×佐藤健が演じる「人体の中の」“かけがえのない存在”
映画『はたらく細胞』は、人間の体内の細胞を擬人化し、健康と命を守るために日夜活躍する様子を描くという斬新でユニークな設定が話題を呼んだ漫画『はたらく細胞』と、スピンオフ作品『はたらく細胞 BLACK』(ともに講談社刊)が原作。シリーズ累計発行部数1000万部を超える超人気作です。
ダブル主演を務める永野芽郁と佐藤健は、ともに主演としての華のある存在感と、桁外れの高い表現力を持ち合わせた役者さんです。永野は酸素を運ぶ赤血球、佐藤は細菌と戦う白血球(好中球)を演じています。赤血球と白血球は、その役割は違うものの血液を構成するいわば一心同体の細胞です。突飛な役柄ですが、まさにお互いが“かけがえのない存在”。
劇場版の監督は、『のだめカンタービレ』『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマエ』などのヒット作を手がけた武内英樹氏。キャストは芦田愛菜、阿部サダヲ、山本耕史、仲里依紗、松本若菜、染谷将太、板垣李光人、加藤諒、加藤清史郎、マイカピュ、深田恭子、片岡愛之助、新納慎也、小沢真珠、Fukase(SEKAI NO OWARI)―――と、とにかく超豪華! 力の入った作品です。
◆6年前の伝説的、朝ドラカップルが忘れられない
永野×佐藤のふたりで“かけがえのない存在”ときて思い出されるのが、冒頭でも触れた朝ドラ『半分、青い。』のふたり。同作は北川悦吏子氏の書き下ろしによるオリジナルストーリーで、永野は応募者2366人の主演オーディションでヒロインの座を射止めています。そのとき、わずか18歳。
同じ七夕の日に同じ病院で生まれた鈴愛(すずめ/永野)と律(りつ/佐藤)。運命的な幼なじみのふたりが、互いを必要としながらもすれ違ったり、求めあったりしながら、高度成長期の終わりから現代までを生き抜く物語でした。
天真爛漫というより自己中心的に感じられるヒロイン像や、偏見ともとれる強い台詞、感情移入できない展開により、#半分白目 #半分青い反省会 の反論タグも盛り上がってしまった本作。朝ドラ大好きの筆者でも離脱しそうになった部分はありました―――が、互いに惹かれ合うも素直になれず葛藤する永野×佐藤ふたりの姿はとにかく尊かった。
じらしにじらして第147話(全156話中)でようやく訪れた、添い寝からのキスシーンは今も忘れられません。切っても切れない、そんな絆をふたりは素敵に表現してくれました。
◆6年前の透明感を保つ永野と、完璧な役作りを見せる佐藤
そして映画『はたらく細胞』においても、ふたりの絆が物語の鍵を握っています。
立派な赤血球を目指して奮闘する新人(?)赤血球を演じる永野は、6年前の透明感を保ちながら、健気で愛すべきヒロイン像を創り上げています。一方の佐藤も、ヒーロー力を発揮。圧倒的な身体能力で壁走りを見せるなどのキレキレのアクションと、徹底的に白く塗られた顔面で役作りは完璧です。
自信をなくしてしまった永野に、不器用そうに寄り添う佐藤の姿は、朝ドラのふたりを彷彿とさせ胸キュンしてしまいました。
◆やっぱり萌える! 絆が深いふたりの関係性に、つい涙が
しかしこの物語は、赤血球(ヒロイン)を白血球(ヒーロー)が守るという単純な構図ではありません。互いの存在があって、はじめて互いが機能する。物語のラストに向けて、それぞれが自分の任務を全うするために支え合い闘うふたりを観ていたら、自然と涙がこぼれていました。
自分の体のなかでも、こんな風に細胞がはたらいて守っていると想像したら、誰もが「もっと体を大切にしよう」と思わずにはいられないのではないでしょうか。そんな確固たるヒロイン・ヒーローとして『はたらく細胞』の世界に存在した永野と佐藤。6年前の共演があったからこそ、赤血球と白血球のゆるぎない絆を表現できたのかもしれません。
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“体内パート”を演じた永野と佐藤だけでなく、“人間パート”では芦田愛菜と阿部サダヲも、社会現象を巻き起こしたドラマ『マルモのおきて』(スペシャル版放送の2014年)以来10年ぶりに共演しており、こちらはこちらで感慨深い。
笑って泣ける新感覚の映画『はたらく細胞』は、ドラマ好きにもおすすめ! ぜひ劇場で観てほしい1本です。
<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>
【鈴木まこと】
雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201