女優の森七菜(23歳)が12月21日、都内で行われた映画「アット・ザ・ベンチ」劇場拡大記念トークイベントに登壇。監督やカメラマンから“お芝居”を絶賛された。
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11月15日より公開中の映画監督/写真家・奥山由之氏による自主制作オムニバス長編映画「アット・ザ・ベンチ」の劇場拡大記念イベントが行われ、森、撮影の今村圭佑氏、奥山由之監督が登壇。トークイベントが行われた。同作は東京・大阪の3館で上映がスタートしたが、口コミが口コミを呼び、全国からのラブコールを受けて、公開5週目の12月20日からは京都・兵庫・福岡・広島なども加わり全国15館へ、6週目からは全国33館に上映館が拡大する。
森が出演する第3編の脚本を担当するのは、劇作家で演出家の根本宗子。このエピソードでは、家出をした姉(今田美桜)と、そんな姉を探しにやってきた妹(森)が互いに感情をむき出しにしながら、激しい言い合いをするさまを描き出している。膨大なセリフ量と、ハイテンションで激しい動きが展開されるドラマということで、森自身「何よりもセリフを覚えるのが大変でした」と述懐。また、根本ならではのセリフ表現についても、「たとえば同じ言葉でも、ちょっと言い回しが違うところがあったりして。“男”とか“男の人”っていう感じの“言い回し問題”があったんです。だからお風呂の中でずっと格闘してました」と振り返った。
そして、その芝居をカメラマンとして間近で見ていた今村氏が「ちゃんと台本と同じことを言っているのかも分からないようなテンションだったから。本当に言っているのか、アドリブが入っているのかも分からなかった」と振り返ると、奥山監督も「完成した作品を、脚本を読みながら見返してみたんですが、ほぼそのままだった。あれだけ感情的かつ身体的にも激しい動きのあるような、うっかりすると制御が効かなくなる長回しを、丁寧に演じきることは本当にすごいことだなと思いました」と感服した様子。
そんなふたりの言葉に、森は「(今田)美桜ちゃんが言葉の発端をつくってくれたんで。わたしはそれについていくだけで。ある意味コバンザメみたいな感じでした(笑)」と笑う。実際に完成した本編を観て「全部通して観た時に、わたしたちが普通だと思って叫んだりしながらやっていたんですが、実は全体の中であんなに嵐(のエピソード)だったとは。他のチームと比べても異質な感じがして。それはすごくうれしかったです」と感じたという。
本作の基本的な撮影は、15分のシーンをぶっ通しで撮影し、それを数回繰り返し、編集でそれらの映像を組み合わせるというスタイルで行われている。そんな撮影を「普段の撮影とは違いますね。15分間、同じシチュエーションで、しかも会話だけで演じるというのはなかなかないですよね。わたしはあまり経験がないですね」と振り返った森。
セリフを覚えるプロセスを言語化するべく、「まずは絵として覚えて。最初の段取りのときは、頭の中で覚えている状態なんです。それで段取りで動きを確認しているうちに、こういうことなんだなと。やっと身体に染みついてくる感じ」と森が説明すると、今村氏も「そう、俺もセリフは絵で覚えてる」と続けてドッと沸いた会場内。「だから初日とかはセリフを覚えられなくて。相手がどう返してくるのかも分からないんで」という森に、今村氏も「相手がいることなので。相手がどう返すのか、その間が分からないからね」と補足説明すると、まさに我が意を得たり、という感じで「そうなんですよ!」と共鳴し合っている様子の森と今村氏だった。
奥山監督が森との撮影を通じて感じたことは、「現場では小さなモニターで確認していたので、細かいところは気付かなかったんですが、編集時にじっくりと見返すと、例えば姉(今田美桜)の言葉を聞いている時の表情がものすごく胸を打つ表情をされているんですよ。現場では気付かなかった目の微細な動きなども本当に引き込まれるものがあって。あらためて素晴らしいお芝居をしていただいたな」と感じたという。
さらに「森さんのお芝居って常に流動性というか、不確実性に満ちている感触が、人物に実在感と説得力を持たせていて、スクリーンから目を離せない理由のひとつだと思う」とも感じたという奥山監督に、今村氏も「そういうの感じますよ。撮影って、台本があって、いちおう僕たちつくる側の想像ってあるじゃないですか。でも彼女は基本的にどっかに行っちゃうので。自分たちが想像してないことをしてくるんだけど、俺らみたいなのはそういうのが好きなんですよ。だから流動性を感じられるんですよね」とその意見に深く同意した。
今村氏は「今回は(役柄としては)どちらかというと受ける方じゃないですか。ちょっと前なら逆だった。発散する側の役が多かったと思うんで。大人になったなと思って。謎の親戚のおじさんのような気持ちでいます」としみじみ付け加え、会場を沸かせた。
☆映画「アット・ザ・ベンチ」
川沿いの芝生の真ん中に一つのベンチが佇んでいる。ある日の夕方、そのベンチには久しぶりに再会する幼馴染の男女が座っている。彼らは小さなベンチで、どこかもどかしいけれど、愛おしくて優しい言葉を交わしていく。この場所には他にも様々な人々がやってくる。別れ話をするカップルとそこに割り込むおじさん、家出をした姉とそんな姉を探しにやってきた妹、ベンチの撤去を計画する役所の職員たち。一つのベンチを舞台に、今日を生きる人々のちょっとした日常を切り取るオムニバス長編作品。
出演:出演:広瀬すず(第1編・第5編)、仲野太賀(第1編・第5編)、岸井ゆきの(第2編)、岡山天音(第2編)、荒川良々(第2編)、今田美桜(第3編)、森七菜(第3編)、草なぎ剛(第4編)、吉岡里帆(第4編)、神木隆之介(第4編)
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