「いつも“正解”をくれる存在」入山法子 GLAYの影響と書籍「GLAY CREATIVE COLLECTON 1994-2024」の魅力

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2024年12月24日 13:10  リアルサウンド

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ファンにとっても表現をする立場としても「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」は様々に自分を立ち返らせてくれる内容だという

■入山法子が語るGLAYからの影響


 GLAYデビュー30周年を記念して刊行された「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」。1994年から2024年までの30年間に発表された全シングル・アルバムのCDジャケットのアートワーク、MVのコンセプトや撮影の詳細を収録した書籍。カメラマンや映像クリエイターのインタビューも掲載され、GLAYの軌跡をビジュアルで辿る1冊に仕上がっている。 


(参考:【写真】本書のための撮り下ろしカバー&巻頭32Pなどを見る


 リアルサウンドブックでは、俳優の入山法子にインタビュー。中学生のときにテレビ音楽番組で「HAPPINESS -WINTER MIX-」を演奏する4人を観てファンになったという彼女に、GLAYの魅力と「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」について語ってもらった。 


■GLAYとの出会い


——入山さんがGLAYのファンになったのは、テレビの音楽番組で「HAPPINES -WINTER MIX-」を演奏している4人を観たことだとか。


入山:はい。アルバム「HEAVY GAUGE」から「HAPPINESS」がシングルカットされて、「ミュージックステーション」で披露されていたのを観て、「あぁ!」ってなって(笑)。そこからのスタートです。もちろんGLAYはそのずっと前から活躍されていて、好きで聴いていたんですが、とにかく「HAPPINESS」に惹かれて。


 当時はYouTubeもないので、「VIDEO GLAY 4」(ミュージッククリップ集)を買ってMVを観ていたんですけど、真っ白な世界の中で、真っ白い服を着た4人が演奏していて、それもめちゃくちゃ好きでした。そのとき私は14歳だったんですけど、「部屋をこうしたい」と思ったんですよね。カーテンやベッドのシーツも白くしたくて。MVに映ってた四角いライトを付けたくて、親を困らせてました(笑)。当時、TDKのMDのCMにGLAYのみなさんが出演してて、近所のCD屋さんでMDを何個か買うと、ポスターがもらえたんですよ。そのポスターも部屋に貼ってました。


——初めて経験したGLAYのライブは?


入山:「HEAVY GAUGE」ツアーですね。2000年の11月に追加公演がさいたまスーパーアリーナで行われることになって。うちの両親は若い頃からライブというものに接点がなかったみたいで、「ライブ会場には怖い人しかいないんじゃないか」というイメージがあって、ライブに行くことを賛成してくれなかったんです。でも、さいたまスーパーアリーナは本当に地元だし、「行かせてほしい。自転車で行けるし、悪い人なんていないから」と説得しました。後に両親もGLAYのライブに行くようになって、「次はいつ?」って聞かれるようになったんですけどね(笑)。


——初めてのGLAYのライブ、どうでした?


入山:お客さんでいっぱいで、大音量で、大きいビジョンがあって。もう大興奮でしたね。あんなに大きい会場なのに、すごく近くに感じて。本当に楽しかったです。


——ライブビデオ(「GLAY DOME TOUR 2001-2002 ONE LOVE 」)に映ってたそうですね、入山さん。


入山:そうなんです! 「ONE LOVE」のビデオを買って観たら、自分の顔がワンショットで写っていて。GLAYを通じて知り合った同い年くらいの友達も発売日にみんな観て「映ってるよ!」って喜んでました(笑)。私が持っているのはVHSなんですけど、宝物です。高校まではライブがあるたびに行ってましたね。
 
——ライブに行くときはどんなファッションでした?


入山:TERUさん、HISASHIさんがボンデージパンツや、スカート風の衣装を着ていたんですけど、それを真似していました。靴はドクターマーチンかコンバース。お小遣いやお年玉を貯めて、ラフォーレとかパルコに行って、Candy Stripper、BETTY’S BLUE、HYSTERIC GLAMOURとかを見て。手が届かないときは、似たようなデザインを地元のファッションビルで探したりしてました(笑)。


——GLAYのメンバーと初めて会ったのもライブ会場だったとか。


入山:そうですね。友人のフォトグラファーがGLAYのライブを撮っていると知って。「じつはめちゃくちゃファンなの!」と言ったら、「じゃあ、ライブ行こうよ」ということになったんです。終演後の御挨拶にも参加させていただいたんですけど、「わ、GLAYのみなさんの視界に入ってる」という感じで(笑)、お話するなんてまったく無理でしたね。


——入山さんが出演したドラマ「雪女と蟹を食う」(2022)にTERUさんがカメオ出演したことも。


入山:東京から北海道まで旅するロードムービーで、函館でもロケをするというストーリーだったのですが、そのドラマの制作会社の方とお知り合いだったTERUさんが「行こうかな」と仰ってくださったそうで。当日はサプライズで登場して、差し入れのハンバーガーを持ってきてくださったんですよ。出演者にもスタッフのみなさんにもすごく優しく接してくださって。「どうしてそんなに優しいんですか?」と聞いたら、「いろんな人に優しくしてもらったから、それを返してるだけなんです」と仰ってたんですよ。なんて素敵なんだろうと感激しましたし、自分もそんなふうに人に接することができるようになりたいなと思いましたね。


——最近のライブで印象に残っているのは?


入山:今年(2024年)6月のベルーナドームのライブです! 


——1999年7月に幕張で行われた「GLAY EXPO’99 SURVIVAL LIVE IN MAKUHARI」の再現ライブですね。


入山:2DAYSだったのですが、私は1日目のTERUさんの誕生日公演(6月8日)に行きました。99年のライブは実際には観ていないし、「あのライブをまたやってくれるんだ」という嬉しさがありました。ヘンな話、曲順は知ってるわけじゃないですか。「次はあの曲だ」って落ち着いて観ている自分もいて、不思議な感覚でしたね。99年の自分たちを振り返ったり、ちょっとイジったりもしていて(笑)。もちろん最高のパフォーマンスだったし、すごく楽しかったです。


■「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」の魅力


——では、「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」について聞かせてください。GLAYデビュー30周年を記念して刊行された書籍ですが、感想を聞かせていただけますか?


入山:「こんな本、出していいんですか?」ってすごく嬉しくなりました。MVやアートワークの制作の裏側もたくさん書かれていて。メンバーのみなさんと距離の近いスタッフの方々の言葉だったり、制作のときのやりとりだったり、こだわりだったり、「こんなことまで教えてもらっていいんですか?」という感じでした。とにかくボリュームがすごいので、読んでも読んでも読み切れないです(笑)。


——初めて知るエピソードもありましたか?


入山:たくさんありました。「Winter,again」のMVの長回しの撮影の裏話も面白かったし、「こんなことがあったんだな」って。GLAY側からではなくて、ディレクターの方からのアイデアがこんなにあったことも知らなかったです。私にとってGLAYは年上のお兄さんバンドなんですけど、スタッフの皆さんやアートディレクターの方々から見ると、“若いバンドを育てる”という目線があるんですよね。そうやってアイデアを出し合いながら、毎回私たちを驚かせたり、感動させてくれてたんだなって思いましたね。


——なるほど。特に印象に残っているMVは?


入山:たくさんあるんですが、やっぱり「SOUL LOVE」のMVは大好きですね。ああいう柔和な表情、普段の様子が感じられるMVって、ファンにとってはめちゃくちゃ嬉しいと思うんですよ。「笑ってくださってる!」っていう(笑)。仲が良さそうな雰囲気が垣間見えたり、キュンキュンしてました。「MERMAID」も印象に残ってますね。怒りのようなメッセージが込められているし、カッコいいなかにも、いつもと違う感情が見えてくるMVじゃないかなって。


——好きなアルバムのジャケットについてはどうでしょうか?


入山:「MERMAID」「とまどい/SPECIAL THANKS」「Missing You」あたりはスパゲティボックス(初回限定盤のロング・ケース仕様)という縦長のジャケットで発売されていたんです。「GLAYが新しいことをやってる!」って衝撃を受けたし、自分の部屋に並べたり、マガジンラックに入れて眺めてました。あとは「REVIEW II -BEST OF GLAY-」のジャケット。メンバーごとに選曲されていて、ジャケットの色も違うんですよ。どれもカッコいいし、「どの盤から聴こうかな」という楽しさもありましたね。


——クリエイティビティがめちゃくちゃ高いし、新しいことにも積極的にトライしてますよね。


入山:そうですね。音楽シーンのなかでも、GLAYは常に先駆者的なところがあるなって思っていて。コロナの時期の配信ライブの打ち出し方もそうだし、それまで誰もやってなかったことをやってくれて。GLAYのファンの皆さんだけではなくて、音楽が好きな方、アートや映像に興味がある方も、いろんなこと学べる1冊だと思います。


——入山さんご自身も、同じ表現者として刺激を受け取ることも多そうですね。


「GLAY CREATIVE COLLECTION 1994-2024」で影響を受けた「HAPPINESS」のMVの掲載ページ。それぞれ制作の裏側がしっかりと解説されているのも本書の魅力だ。


入山:同じ表現者なんて、そんなそんな……。もちろん、個人的にいつもいつもパワーをもらっていますけどね。GLAYはいつも“正解”をくれる感覚があるんです。以前の曲を改めて聴き直したときに、「こういうふうにシンプルに考えればよかったんだな」と気づいたり、「この曲を聴いてた時期は、複雑に考えすぎてがんじがらめになってたな」と思ったり。それぞれの楽曲のストーリー性、そこに込められた精神性や哲学、その時期の社会情勢を含めて、すごく影響を受けながら過ごしてきたなと思います。新しいアルバム(「Back To The Pops」)も(メンバーがインタビューなどで)“原点に立ち戻って”みたいなことを仰っていて。もともと好きだったものを楽しくやることがいちばんいい、というのかな。私、来年で40歳になるんですけど、「またひとつテーマをもらえたな」と思ってます。


——表現活動の原点を見つめ直す時期に差し掛かっているんですね。


入山:そうかもしれないです。もっとシンプルでいいというか、真摯に向き合っていれば、そんなに言葉を重ねなくてもちゃんと伝わるんじゃないかなと。アルバムに関して言えば、「昔聴いたことがあるような気がする」という感覚になれる曲もあって。


——実際、昔のデモ音源を形にした曲も収録されていますからね。しかも、まだまだ山のようにストックがあるという。


入山:すごいですよね。もちろんめちゃくちゃ努力されていると思うんですが、ずっと新しい曲をリリースし続けているのが素晴らしいなと。ライブもずっと続けていらっしゃって。GLAYの皆さんは「解散しない」と公言してくださっているので、しばらく音楽から離れてしまったり、ライブに行けなくなってしまっても、“落ち着いたらいつでも戻れる”と思っているところもあるんです。でも、それは当たり前ではないんですよね。バンドって、解散することもあるし、メンバーが抜けたりすることもあるじゃないですか。GLAYが4人で活動を続けていて、それは当たり前のことではないし、すごいなって。ずっと活動してくれてると、安心するんですよ。しばらくライブに行けないときも「私は私でがんばろう」と思えるというか。


——しかもバンドとして進化し続けてますからね。4人ともカッコいいし。


入山:そうですよね! この本の撮り下ろしの写真も素敵だし、ファンが喜ぶところをちゃんと撮ってくれてるんですよ。メンバーの指先だったり、TAKUROさんのホクロだったり。ありがたいです(笑)。


(文=森朋之)



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