◇企業献金禁止は慎重に
中北浩爾・中央大教授(政治学)の話 企業・団体献金の禁止は慎重に考えるべきだ。今回の自民党の派閥裏金問題に関係ない。明らかに公益が損なわれていれば禁止すべきかもしれないが、いろいろな組織が政治に参加し、バランスを取っていくのが健全な議会制民主主義だ。
企業の力が突出しているのであれば、個人献金を促進するなどカウンターバランスを強化する方が正しい考え方だ。「企業献金は悪なのか」という議論もしないといけない。世界的に企業献金を禁止している国は27%だ。
政策活動費は派閥裏金問題とダイレクトに関係しており、廃止という形でしか世論の納得を得られなかった。政治改革関連3法は、適切なところに落ち着いたのではないか。
◇早急に企業献金禁止を
弁護士の片木淳・元自治省(現総務省)選挙部長の話 使途不明で国民の疑惑を招いた政策活動費の全面的廃止は評価したい。政治資金を監視する第三者機関は実効性の確保が必要だ。本丸であるパーティー券の購入を含む企業・団体献金の禁止は先送りされた。政治不信を解消するため早急に全面禁止すべきだ。
企業献金は、企業が営利を目的とする以上、賄賂性を伴う。また個々の株主の意向を無視した献金は株主の献金の自由を侵すなど憲法違反の疑いがある。1996年の最高裁判決でも献金は国民が個人としての「政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべきだ」とされた。
自民党の企業献金額は突出しており、選挙における平等を阻害し、公正な競争を妨げている。野党は小異を捨てて禁止を実現すべきだ。