ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員(92)らが24日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見した。田中さんは「来年の被爆80年を前に受賞し、核兵器廃絶に一層取り組まねばと思った。『核のタブー』を崩されないよう大運動をやっていきたい」と語った。
田中さんは、ノルウェーでノーベル賞委員会から「来年授賞と思っていたが、来年のため今年世論を大きくしてほしいと決心した」と明かされたという。「80年は一つの区切り。日本だけでなく世界に向けて、被爆者が証言をする大きな運動をやりたい」と力を込めた。
田中さんが授賞式で行った講演で、原爆被害への国家補償が実現していないと強調した意図を問われ、「日本だけの問題ではない。世界に呼び掛け、戦争による国民の犠牲をつくらないようにしなければとの思いを込めた」と振り返った。年明けにも石破茂首相と面会する方向で調整しているという。
ノーベル平和賞の授賞式から帰国し、記者会見する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員=24日午後、東京都千代田区の日本記者クラブ