「神回」松本人志不在の『M-1』歴代最高の大会に!恒例の“審査員批判”が起きなかったワケ

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2024年12月25日 09:20  女子SPA!

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©M-1グランプリ事務局
漫才日本一を決める『M-1グランプリ2024』(ABCテレビ・テレビ朝日系)の決勝戦が、12月22日に放送された。令和ロマンが史上初の2連覇を達成する快挙を成し遂げたが、他のコンビも爆笑をかっさらい、節目の20回目にして歴代最高の大会となったといえるだろう。

現に、X(旧ツイッター)をのぞいてみても、「神回」「過去最高」というコメントばかり。多くの視聴者が番組に熱狂し、平均世帯視聴率も18%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)で昨年の17.2%を上回る結果となった。

◆松本人志不在の新審査員体制のレベルの高さ

今回の『M-1グランプリ2024』は何がそんなに良かったのか? 出場したコンビがバラエティ豊かなネタを披露しておもしろかったことに加え、審査員たちのレベルの高さも特筆すべきだろう。

今回の『M-1グランプリ2024』は、これまで審査員としておなじみだったダウンタウン・松本人志が不在の中で行われた。松本といえば説明不要なお笑い界のカリスマで、『M-1グランプリ』の審査員として地位を確立。優勝できなくても、松本に認められればそのコンビの評価はあがるということも多々あった。

そんな松本の不在が影響したのか定かではないが、今回は審査員が例年の7人制から9人制に変更。若林正恭(オードリー)、山内健司(かまいたち)、柴田英嗣(アンタッチャブル)が初参加し、哲夫(笑い飯)と石田明(NON STYLE)が復帰する審査体制となった。

◆注目されたオードリー若林の審査

中でも若林に関しては、審査員のイメージが全く無いことで発表時にはサプライズとして注目が集まっていた。そんな若林の採点はどうだったのか?

まず、今回の大会はトップバッターに前年優勝の令和ロマンが選ばれる「ハプニング」があった。いきなり優勝候補の筆頭であり、史上初の2連覇がかかるコンビが登場したことで、審査員はパニックになった部分もあっただろう。結果として令和ロマンは高得点をマークするが、若林は各審査員の中間になる94点をつけてバランスの良さをいきなり見せた。

その後も、冷静な審査を続けた若林は随所で秀逸なコメントを残す。特に、高く評価したバッテリィズに関しては、「小難しい漫才が増えてくる時代の中で、なんかワクワクするバカが現れた」と発言。視聴者にもわかりやすい表現で、なおかつ漫才が理論的に語られるブームを「小難しい漫才」と言い換えコメント力の高さを披露した。

また、「寺家さんが漫才のリズムをキープする腕も確かだなと思いました」と、ツッコミを称賛しボケばかり目立つバッテリィズの本質を指摘。初参加ながら、視聴者からしっかりと信頼を獲得することに成功した。

◆アンタ柴田、かまいたち山内の審査は?

同じく新規参加の柴田は80点台も多く、審査員の中でかなり低い採点を行っていた。ただ、最終決戦に進んだ令和ロマン、バッテリィズ、真空ジェシカにはファーストラウンドで高得点を付けるなど的確な審査を実施。本人が狙ったかはわからないが、落差の激しい採点を行ったことで番組におもしろさを生み出していた。

山内に関しては、漫才師だらけの審査員の中で、コント師としても高い能力を持つ芸人として存在感を出す。比較的採点は甘めではあったが、コント師としての評価軸も持っているのでおもしろいものだった。

また、各コンビへのコメントも称賛が多く、低い得点のコンビにはアドバイスを交え、良き兄貴的なポジションを確立。博多大吉(博多華丸・大吉)が父親的な温かい視点を持っているので、2人で癒しを与える審査員となっていた。

◆SNSでの審査員批判が過去になく少ないワケ

この3人に加え、残る6人の審査員もキャラがしっかりし、番組を見ていてストレスを感じない採点だった。

若林は、『M-1グランプリ2024』の前日に放送した『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で、審査員はやる前も終わってからもいろいろと視聴者に言われるのも含め仕事だと吐露していた。その通りで、テレビで番組としてオンエアされる賞レースは、基本的にお笑いファンから審査員が叩かれる。

これまでも誰とは言わないが、採点に疑問を持たれSNSで叩かれた審査員も数多くいる。そんな中で、今回の審査員はバランスが良く、SNSでも批判的なコメントが過去になく少ないようだ。

松本がいたポジションに座った礼二(中川家)は安定感があり、海原ともこ(海原やすよ ともこ)はとにかく笑えれば高得点という大阪のおばちゃんスタイル。

哲夫(笑い飯)は柴田と同じく点数が低めで独特な緊張感を作り出し、石田明(NON STYLE)は独自の漫才理論を基に採点と論評を行う。塙宣之(ナイツ)は、コンテストでの勝利を意識した「競技漫才」を認めつつ、東京の笑いや誰にでも受ける「寄席漫才」にも理解する採点を行った。

結果、非常にバランスがいい審査員となり、納得感の強い採点を行えた。

◆『M-1』は今年をキッカケに新しく生まれ変わる

大会がはじまる前は、松本人志が不在なうえ審査員に大御所がいないことを心配する声もあった。緊張感や権威がなくなるという理由だが、今回のバランスが良い審査員を見る限りでは、心配する必要はなかったといえる。それどころか、審査員も含めた一体感はこれまでの大会で一番ではないかと思う。

今後、松本が大会に復帰するかは不明だが、フォーマットは一緒でもまったく新しい『M-1グランプリ』が、今回で出来上がったのではないだろうか。

20回目の節目を迎え、象徴的だった存在の松本が消えた今回の『M-1グランプリ2024』。令和ロマンの2連覇も含め新しい歴史を作り上げた大会として、後世に語り継がれることになりそうだ。

<文/ゆるま小林>

【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆

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