医師が都市部に集中し、地方で不足する偏在を是正するため、厚生労働省は25日、対策推進本部を開き、不足地域で勤務する医師への手当増額や、過剰エリアにおける実質的な開業規制を盛り込んだ対策パッケージを策定した。同省は来年の通常国会に関連法の改正案を提出し、2026年度からの実施を目指す。
対策では、一定の定住人口が見込まれるものの、人口より医療機関の減るスピードが速い地域などを都道府県が「重点医師偏在対策支援区域」に設定。区域内の医療機関で勤務する医師の手当を増額する。
財源には公的医療保険料を使うが、他の制度改正を講じ、加入者の負担が増えないようにする。また、健康保険組合連合会などの保険者が、偏在是正への効果や現役世代の負担増につながっていないかを検証する枠組みをつくる。
一方、医療機関が多い地域で開業を希望する医師には、救急医療など地域で足りない機能を提供するよう都道府県が要請。従わない場合は勧告や医療機関名の公表ができると医療法で定めるほか、保険医療機関の指定期間を6年から3年に短縮すると健康保険法に規定する。補助金も交付しない。
このほか中堅・シニア世代の医師を不足地域につなげるため、医療関係団体によるマッチングを支援したり、地域で働く際に必要とされる総合的な診療能力を養う事業を推進したりする。