2024年の大反響だった記事をピックアップ! すご過ぎて順位はつけられない「すごい人生」部門はこちら!(集計期間は2024年1月〜10月まで。初公開2024年7月21日 記事は取材時の状況) * * *
ジャニーズJr.(現・ジュニア)に6年在籍するも、ある出来事がきっかけで事務所をクビになった、あやなさん(28歳)。現在は歌舞伎町のホストクラブ「Luminous」に在籍し、月間1500万円を売り上げたこともある売れっ子ホストだ。青春時代のほとんどを捧げたというジャニーズJr.を退職した後、どのような人生を歩んできたのだろうか。
◆「姉の薦めで」小6のときジャニーズに所属
よくジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)のタレントが、「家族が勝手に履歴書を出した」というエピソードを話すが、あやなさんも、まさに同じ境遇だ。姉が山田涼介のファンで、「山田くんに会いたいから」という理由で、勝手に履歴書が送られていた。
「うちは父が会社を経営していて、わりと裕福だったんです。だから小学生のときからサッカーや水泳、テニス、体操など、毎日習い事をしていました。小6のあるとき、家族から『今日はサッカーの試合がある』と言われ、ユニフォームを着て車に乗りました。でも着いた場所はジャニーズJr.のオーディション会場だったんです。完全に騙されましたね(笑)」
当時、あやなさんは芸能活動に全く興味がなく、サッカーに夢中だったため、あまり乗り気ではなかったそう。しかしダンス審査のときに体操で習っていたバク転を披露すると、審査員から注目を集めた。
オーディションには約300人が参加していたが、少しずつ人数が減らされ、あやなさんは最後の5人まで残った。事務所に所属するにあたって特に契約は結んでいないそうだが、2008年2月入所組に数えられている。
「ジャニーズJr.になりたいとは思っていなかったけれど、負けず嫌いだから、選ばれたからには頑張ってみようと思いました」
サッカーに対する情熱に蓋をし、ジャニーズJr.としての活動が始まった。
◆初舞台は、KAT-TUNの東京ドーム公演
ジャニーズJr.として初めて参加したコンサートは、KAT-TUNの東京ドーム公演だった。自分が出演することは2週間ほど前に突然言い渡され、ダンスの猛練習が始まった。
「コンサートでは毎回、2週間で10曲ほどの振りを覚えなきゃいけないんです。めちゃくちゃ練習していましたよ。ジャニーズ出身の人は、みんなダンスの早覚えが得意だと思います」
ジャニーズJr.では、ダンスが上手い人は一目置かれる。コンサートに出演する際、どの立ち位置に選ばれるかで、事務所から誰が押されているのかも分かるという。
「7ORDERというグループに所属していた元ジャニーズJr.の森田美勇人くんは、抜群にダンスが上手かったです。だからコンサートでも、センターに近いところで踊っていました」
一方、あやなさんは踊るのが大の苦手。個人的にもダンスレッスンに通ったが、上達は感じられなかった。中学、高校と進学するにつれて自分の限界も見え、芸能活動にモチベーションを感じられなくなっていた。
◆高1でジャニーズをクビ ホストの世界へ
モチベーションが落ちた理由は他にもある。大好きだったサッカーを辞めざるを得なかったことへの後悔だ。
「高校は芸能コースに進学しました。でもその頃から、どうしても芸能よりサッカーがやりたいと思うようになりました。それにストーカー被害を受けたり、いつデビューできるか分からない日々がストレスになったりしたのもあり、ジャニーズjr.としての活動がどんどん辛くなっていきました」
そして高1のとき、ある事件が起きる。
「自分が参加する予定だった大きなコンサートをドタキャンしてしまいました。コンサート当日、事務所から何度も電話がかかってきていました。そのとき僕は地元の友だちと遊んでいて『こっちの生活のほうが楽しい』と思ってしまい、出ることができませんでした。その結果、事実上クビになり、ジャニーズ事務所を退所することになりました」
「芸能コースにいる意味もない」と、高2のときに中退し、通信高校に転校した。その後、父親から事業承継する話が出たが、あやなさんはこれを断った。
「自分はまだ何も成し遂げていない。何かに成功して周りに認めてもらってから、会社を引き継ぎたいと思いました」
22歳のときに起業し、映像制作事業やメンズ向けコスメ事業などを展開した。会社自体は順調だったが、25歳のとき、地元の友だちから「ホストをやってみたいから一緒に面接に行かないか」と声をかけられた。
あやなさんは、誘われた理由を「イケメンだからだと思います」と笑う。
◆“ノンアル営業”でも入店2か月半で新人賞に
とはいえ、あやなさんは1対1で話すことが苦手で、お酒は1滴も飲めない。一見、ホストには不向きだが、実際に働いてみると、全てが数字で評価されるというホストのシステムに、負けず嫌いの性分がマッチしていた。
「最初は月5回くらいしか出勤していませんでした。でも、ほかの人に売り上げで負けている自分がダサくて悔しかったんです。だから会社はいったん休眠状態にして、翌年から週5で出勤するようにしました。TikTokも1日5時間くらい配信していましたね」
お酒は飲めないものの、だからこそ「話を聞いてくれる」「相談に乗ってもらえる」という理由で指名が増え、入店2か月半で新人賞を獲得した。
「お酒を飲んでガンガン営業するホストが多い中、この優しい顔で『うんうん』と、話に耳を傾けているところが良いみたいです(笑)」
◆将来は父親の会社を継ぎたい
2023年には店舗での年間売上が6位で、誕生月には1500万円を売り上げた。2024年度も売り上げ上位を狙っているが、ゆくゆくは経営者の道へ戻る予定だ。
「今、ホストを続けているのは、自分を育ててくれたお店のためでもあります。自分が売上を上げて、後輩も育てて、お店に恩返しがしたいんです。それが自分の1つの成功体験になるし、父親の会社を継いだときの自信にもつながると思います」
あやなさんは現在も、かつて同じ夢を追いかけていたジャニーズ出身のアーティストを応援しており、コンサートにも足を運んでいる。彼らの活躍から刺激を受け、新たな道で夢を追いかけている。
<取材・文/日刊SPA!取材班>