2024年「良かったドラマ」ベスト10。『光る君へ』『アンメット』超えた、文句なしのNo.1は<後編>

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2024年12月30日 09:20  女子SPA!

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女子SPA!

画像:関西テレビ放送 カンテレ『アンメット ある脳外科医の日記』公式サイトより
2024年も多くのドラマが放送されました。年間100本近くのドラマをチェックするアラフォー女性の筆者。今回“地上波”で放送された作品のなかから勝手に選んだ“今年よかったドラマ10選”をご紹介します。ここからは後編、5位〜1位です。

◆5位:海に眠るダイヤモンド

秋ドラマで印象的だったのが、日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。大ヒット作を生み出し続ける脚本家・野木亜紀子氏と、監督・塚原あゆ子氏のタッグが、またも心に残る傑作を生み出してくれました。

“何もないけれど夢と活力に満ちあふれた”戦後の長崎県・端島と、“一見して何でもあるけれど若者が夢を持てない”現代の東京を、神木隆之介の一人二役を通して対比させる構成が絶巧。入念に描かれた点と点が繋がっていくサスペンス的要素も織り交ぜながら、視聴者を引き込んでいきました。

何より端島編では、日曜劇場らしい壮大な映像美とともに、神木隆之介、杉咲花、土屋太鳳、池田エライザ、清水尋也、斎藤工らの豊かな心情表現が眩しかったです。特に神木隆之介と杉咲花のカップルは、いつまでも観ていたくなるほど愛おしかった! 過去、現在、そして未来へと繋がる人間ドラマを、凄まじいクオリティで見せてもらいました。

◆4位:ライオンの隠れ家

『ライオンの隠れ家』(TBS系)は、毎話“ほっこり”と“ザワザワ”が錯綜しながら、主人公たちを全力で応援した作品でした。市役所で真面目に働く兄(柳楽優弥)と、自閉スペクトラム症の弟(坂東龍汰)のところに、「ライオン」と名乗る謎の男の子(佐藤大空)が突如現れ、事件に巻き込まれていく物語。

まず兄弟が、不穏な空気を感じながらも懸命にライオンを守ろうとする姿が、とにかく“ほっこり”して尊かったです。ふたりの人間像と関係性を実に解像度高く表現した柳楽優弥×坂東龍汰、そしてスーパー子役・佐藤大空には、大きな拍手を送りたい!

また対照的に“ザワザワ”パートを、岡山天音、尾野真千子、向井理、桜井ユキらによる確かな演技で表現している点も秀逸でした。病気や障害のある兄弟姉妹がいる「きょうだい児」、そして「ヤングケアラー」「虐待・DV」などの社会問題に切り込みながらも、登場人物たち一人ひとりの葛藤や心情を丁寧に描いた、まさに“心震えるヒューマンサスペンス”でした。

◆3位:光る君へ

とりわけ周囲の女性たちから「大河にハマってる!」「初めて全話完走した!」という声が多かった、今年の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合ほか)。史料があまり残されていない平安時代を舞台に、本名すら定かではない紫式部“まひろ”の人生を描きました。

雅な平安の世界で繰り広げられる、政(まつりごと)と、ドロ沼の人間関係。大河ドラマファンが好きな合戦シーンはほぼありませんでしたが、平安でも令和でも変わることのない人間の激しい業のぶつかり合いは見応えがありました。最後の最後まで、まひろを取り巻く各人たちとの関係性にハラハラさせられた、今までにない大河ドラマだったと思います。

同じく大石静氏脚本で、切なくも激しい人間ドラマを描いたドラマ『知らなくていいコト』(日本テレビ系)のファンだった筆者としては、またも吉高と柄本の関係性を、じらされながら固唾をのんで見守った1年間でもありました。

◆2位:アンメット ある脳外科医の日記

今年最も心に沁みた作品は『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)。事故によって記憶障害の重い後遺症を持つ脳外科医の主人公・川内ミヤビ(杉咲花)が、同じく脳外科医の三瓶友治(若葉竜也)をはじめとする仲間たちとともに患者を全力で救いながら、自分自身も再生していく物語でした。

ミヤビの記憶障害は、過去2年間の記憶が抜け落ちた上で、今日のことを明日にはすべて忘れてしまう、というもの。誰と、どんな風に過ごしたのか、毎日リセットされるという状態は想像を絶します。そんな主人公の心情を杉咲花が、寄り添う人間の心情を若葉竜也が、見事に表現していました。記憶はなくとも、積み重ねてきた努力や関係、心は失われないことを全話通して丁寧に描写。人は誰もが完璧ではないからこそ、人と人が支え合う。その尊さを登場人物たちの日常を描くことで伝えてくれた、医療ドラマの枠を超えた傑作でした。

◆1位:虎に翼

文句なしに今年No.1だったドラマは、NHK連続テレビ小説『虎に翼』! 憲法第14条にある「法の下の平等」を最大のテーマに、日本初の女性弁護士である三淵嘉子氏をモデルにした女性・寅子(伊藤沙莉)の奮闘を描きました。伊藤沙莉が放つ唯一無二のヒロイン力が素晴らしかったのは言わずもがな。それ以上に、実際の法曹界の歴史をシンクロさせた吉田恵里香氏の緻密な脚本力には何度も唸らされました。

一人ひとりのキャラクターの解像度が高いこともあり、リーガルドラマでもあり、ホームドラマでもあり、社会派ドラマでもあり、多彩な楽しみ方をさせてくれたことも特徴的。昭和初期から令和になったイマも残り続ける差別や偏見にも真正面から向き合った作品でもありました。誰もが感じたことのある「はて?」に、ヒロインたちが逞しく立ち向かっていく姿には何度も励まされ、心奪われました。

これまでも多くの朝ドラを楽しんできた筆者ですが、最終回後すぐに、松山ケンイチの毎話視聴ポストを観ながら全話を一気に再視聴。こんなに短期間でもう1周した朝ドラは初めてでした。何度観ても気づきや感動のある、まさに伝説的朝ドラだったのではないでしょうか。

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ここでは紹介しきれないほど、他にも数々の名作ドラマが生まれた2024年。配信のオリジナルドラマも多く、ドラマ好きとしては何度も嬉しい悲鳴をあげた一年でした。皆さんの今年のお気に入りドラマは、ありましたか?
<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201

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