真田広之「私たちの文化を世界に正しく伝えたかった」本物の時代劇作り上げたことを強調

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2025年01月07日 05:31  日刊スポーツ

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ゴールデン・グローブ賞ドラマ部門で主演男優賞を受賞した真田広之(ロイター)

真田広之(64)が、米国エンターテインメント史にさらなる金字塔を打ち立てた。


第82回ゴールデン・グローブ賞授賞式が5日(日本時間6日)米ロサンゼルスで行われ、製作した「SHOGUN 将軍」で日本人初の主演男優賞を受賞した。日本人初の助演男優賞の浅野忠信(51)、アンナ・サワイ(32)の主演女優賞、作品賞と合わせてテレビドラマ部門で4冠。日本人3人の受賞は史上最多。昨年9月の第76回エミー賞で最多18冠を獲得したのに続く快挙となった。


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真田は登壇すると、英語で思いの丈を熱っぽく語った。「この素晴らしい旅を、ともにしてくれた全てのキャスト、スタッフに感謝。私の人生に関わってくれた、全ての皆さまのおかげで、私はここにいます」。スピーチの後も“旅”は終わらなかった。自身が演じた吉井虎永の側近で野心家の樫木藪重を演じた浅野、英国人航海士・按針の通詞(通訳)戸田鞠子を演じたサワイ、そして作品賞と、ノミネートした全部門での受賞を成し遂げた。


初めて勝ち取ったトロフィーの実感を聞かれると、右手で何度も握り締め「とても重いよ…精神的にね」と満面に笑みを浮かべた。「ご存じの通り、私はプロデューサー。チームで作っている。独りじゃない。だから重圧は他の俳優より軽減されるんだ」とも語った。


一方で「1つの賭けだった」とも明かした。「セリフの70%が日本語…サブタイトルまで。はたして楽しんでもらえるのだろうかと。でも、観客からすごく大きな反響があったんだ」と笑みを浮かべた。エミー賞受賞時と同様に「私たち(日本)の文化を世界に正しく伝えたかった。侍ドラマのスペシャリストを招いたことは大事だったんだ」と、本物の時代劇を作り上げたことを強調した。


その取り組みが、時をつなげた。サワイの主演女優賞受賞は日本人俳優44年ぶりだが、80年に同賞を受賞したのは、同じ原作をドラマ、映画化した80年「将軍 SHOGUN」の島田陽子さん。演じた役も同じだった。サワイは「すばらしい脚本家の台本がなければ最大限の芝居はできなかった」と感謝した。


シーズン2、3の製作も決定している。真田は「このプロジェクトに7年以上もかけた。撮影、ポストプロダクション、宣伝、配信…だから、すごく重く感じるんだ。今回の成功が、日本だけじゃない、全世界の若い世代の足掛かりになれれば」と声を大にした。


◆「SHOGUN 将軍」 米作家ジェームズ・クラベルの75年のベストセラー小説が原作で、関ケ原の戦いの前夜が舞台。有力大名に追い詰められて窮地に立つ吉井虎永(真田)は、生き残りを懸けて策略を巡らせる。伊豆に漂着し、虎永の家臣になる英国人航海士ジョン・ブラックソーン(後の按針)の視点を通じて武家社会の風習が描かれる。通詞の戸田鞠子(サワイ)らが絡む複雑な人間ドラマが繰り広げられる。昨年2月から4月にかけ、全10話がディズニープラスで世界配信された。


◆ゴールデングローブ賞 ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が主宰。所属会員の投票で決定。1944年に第1回授賞式を開催した。アカデミー賞と違うのは作品、主演男優、主演女優の各部門にドラマ部門とミュージカル/コメディー部門の2部門があることで、それぞれ選出。56年からテレビドラマ部門も設置。07年にはアニメ映画賞が新設され、昨年は宮崎駿監督(84)の10年ぶりの新作長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」が受賞。映画部門は、アカデミー賞の前哨戦の1つと位置付けられる。

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