石破首相、政権浮揚へ新味乏しく=「大連立」沈静化―年頭会見

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2025年01月07日 08:01  時事通信社

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伊勢神宮を参拝する石破茂首相(中央)=6日午後、三重県伊勢市
 石破茂首相は6日の年頭記者会見で、自身が重視する地方創生を「令和の日本列島改造」と称し、推進する考えを強調した。2025年度予算案審議が最大の焦点となる通常国会を前に、看板政策に取り組む決意を示し、政権浮揚につなげたい思惑があるとみられるが、新味に乏しい。夏の参院選を控えて与野党の攻防が激しくなるのは必至で、年末年始に自身が言及した大連立や衆参ダブル選については慎重な物言いに終始した。

 「ヘビは脱皮を繰り返し大きくなっていくことから、再生や進化の年とも言われる」。首相は今年が巳(み)年であることに触れ、新年の抱負を表明した。「政治の師」とする田中角栄元首相の「日本列島改造論」を引き合いに出し、地方創生を「成功させなければ日本に将来はない」と意気込んだ。

 政府機関の地方移転、スタートアップ(新興企業)の地域創業、企業の本社機能の移転などの環境整備を進めると説明。デジタル技術を活用し、交通や医療・介護などの生活インフラの強化を図る考えなども示した。ただ、これらは従来の政策の延長線上にすぎない。首相は「楽しい日本を目指す」と訴えたが、自民党内からは「分かりづらい」(若手)と厳しい声が上がった。

 首相は24日召集予定の通常国会について、先の臨時国会と同様、国民民主党や日本維新の会との政策協議に応じて25年度予算案への協力を得る戦略を描く。会見では「野党にもこれまで以上に責任を共有していただくことが求められている」と呼び掛けた。

 野党各党は参院選を前に「手柄」を得ようと、石破政権に強く譲歩を迫る公算が大きい。国民民主が主張する「年収103万円の壁」の見直しや、維新との教育無償化に関する協議の着地点は見通せない。自民関係者は「正念場は続く」と語った。

 少数与党の打開策を巡っては、首相が1日放送のラジオ番組で「大連立」に言及したが、年頭会見では「今の時点で考えていない」と否定。「私はそのようなことを一回も言ったことがない。そういう可能性はありますよねということを申し上げた」と釈明した。参院選前に野党側が応じる可能性は低く、沈静化を図った形だ。

 立憲民主党の野田佳彦代表は6日、党本部で記者団に、大連立について「自民党を下野させ、政治の流れを変えていくのが目指すべき本道だ」と否定的な考えを重ねて示した。 

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