2025F1シーズン5つの見どころ(前編):不利な状況でルクレールと対戦するハミルトン/アントネッリは期待に応えるか

0

2025年01月15日 07:50  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

2024年F1バーレーンGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)
 2025年シーズンのF1では、ルイス・ハミルトンのメルセデスからフェラーリへの移籍を筆頭に、8チームでドライバーの顔ぶれが変わった。また、6人のルーキーが初のフルシーズン参戦に臨む。当然チーム間の勢力図に変化は出るだろうし、チームメイト同士の争いも激しくなることだろう。フランスを代表するF1サイトf1i.comが、そんな今季の見どころを独自の視点でまとめた(全2回)。

────────────────────

■厳しい船出となりそうなハミルトンが、ルクレールとどう戦うか

 ルイス・ハミルトンは今年、12シーズンにわたって在籍し、6つのタイトルを獲得したメルセデスを離れ、フェラーリで新しい挑戦を始める。そんな彼には、新たなチームメイト、シャルル・ルクレールが立ちはだかる。

 モナコ出身のルクレールは、予選一発の魔法のような速さ、レースでの適応力の高さ、そして揺るぎない精神力により、これまでのチームメイト、セバスチャン・ベッテルやカルロス・サインツを圧倒してきた。

 対するハミルトンは、いくつかのハンデキャップを負った船出となる。まず、機能やレイアウトが大きく異なるステアリングホイールを含む、全く新しいマシンに早急に慣れなければならない。フェラーリの挙動は、いうまでもなくメルセデスとは大きく違う。

 さらに一緒に働くエンジニアたちは、担当レースエンジニアとなるリカルド・アダミを含め、ほとんど面識がない。長年の相棒だったピーター・ボニントンをはじめ、メルセデスからは誰も連れてくることができなかった。そしてルクレールはハミルトンと違い、完璧なイタリア語を話す。

 もちろんハミルトンは世界チャンピオンに相応しい敬意と全面的サポートを、フレデリック・バスール代表とジョン・エルカン会長から受けるはずだ。それでもルクレールは、かなり手強い相手だ。

 ルクレールにも弱点がある。たとえばフロントのグリップが不足している場合や、モンツァのようなダウンフォースの低いトラックでは苦戦することが多い。とはいえ3年前に導入されたグランドエフェクトカーへの適応という点では、ハミルトンはルクレールと違ってずっと苦労してきた。フェラーリに移籍したことで、その弱点を一気に挽回できるかどうかが注目される。

■アントネッリはメルセデスの期待に応えられるか

 メルセデスはルイス・ハミルトンの後任として、将来の世界チャンピオンと見なす若者を抜擢するという大胆な決断を下した。18歳のアンドレア・キミ・アントネッリはその期待に応え、飛躍できるだろうか。本当にトップチームでF1に飛躍する準備ができているのだろうか。

 アントネッリはFIA F3を飛び越えて、17歳でFIA F2に参戦した。F3からF1への「飛び級」をしたマックス・フェルスタッペンの軌跡を彷彿とさせる。ただしフェルスタッペンの場合は、F1ではまず中団チームのトロロッソで修行を積んだ。おかげで彼はレッドブルに移籍する前に、メディアの過剰な注目を避けて23回のグランプリで試行錯誤を繰り返すことができた(予選でカルロス・サインツの方がフェルスタッペンより良い成績を収めていたことを、今も覚えている人はいるだろうか)。

 ハミルトンは2007年にマクラーレンからF1デビューする前に、数え切れないほどのプライベートテストをこなし、より長い準備期間の恩恵を受けた。対するアントネッリは四輪レースわずか4シーズンの経験しか持たないまま、18歳になったばかりの2024年イタリアGPフリー走行でF1公式セッションデビューを果たし、この時はクラッシュを喫している。

 とはいえ生粋の速さは、後天的に身につくものではない。アントネッリはFIA F2でフェラーリ育成ドライバーのオリバー・ベアマンより良い成績を残し、その速さを証明した。しかし、最初の年にはミスを犯す可能性も高い。トップチームであるメルセデスでは、そのミスは細部までほじくり返され、大きく取り上げられることになるだろう。

 もちろんメルセデスは、アントネッリがデビュー初年度から完璧なドライバーになることは期待していない。着実な進歩が見られれば、合格点を与えることだろう。
(第2弾に続く)

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定