ヤジード・アル・ラジ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ) ダカールラリー2025 1月16日、サウジアラビアを舞台に開催されている2025年W2RC世界ラリーレイド選手権の開幕戦『ダカールラリー2025』の最終ステージ12が行われ、オーバードライブ・レーシングのヤジード・アル・ラジ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)が総合優勝を飾った。2輪部門では、レッドブルKTMファクトリーレーシングのダニエル・サンダース(KTM450ラリーファクトリー)が総合優勝を果たしている。
1月3日に南部のビシャにて開幕した第47回ダカールラリーは、サウジアラビア国内を北上してハイルの街へたどり着くと、大会後半には首都リヤドへと折り返し、終着点の国内東部シュバイタへと走り渡るスケジュールをこなした。
4輪部門にて、各自動車メーカーのプロトタイプマシンが集うアルティメットクラスでは、大会前半から、優勝経験者のカルロス・サインツ(フォード・ラプター)や、WRC世界ラリー選手権で9度の王者を誇るセバスチャン・ローブ(ダチア・サンドライダー)が転倒を喫して早々にリタイア。
さらにダカールラリーを5度制覇したナッサー・アル-アティヤ(ダチア・サンドライダー)もタイヤトラブルで優勝戦線から脱落するなど、波乱の展開となっていた。そんななか、6台のGRダカール・ハイラックスEVOを走らせるトヨタ・ガズー・レーシング(TGR)は陣営内の各選手がそれぞれステージウインをあげる安定した活躍で大会をリード。なかでもTGRのヘンク・ラテガンは、大会中盤まで総合首位を維持し続けた。
そして、トヨタ・ハイラックスを使うプライベーターのオーバードライブ・レーシングのエースであるヤジード・アル・ラジ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)も終盤にかけてペースを上げてラテガンに追いつき、総合優勝争いはふたりのトヨタ使いによる一騎打ちとなった。
ふたりの争いは、最終日が近づいてくる緊迫した状況でもさらなるヒートアップを見せ、毎日のように順位を入れ替えながら迎えたステージ11では、アル・ラジが主導権を握って6分11秒のリードを築いた。
こうした状況で迎えた最終ステージ12は、シュバイタの街周辺を舞台とした『シュバイタ〜シュバイタ』全131km(ステージ61km/リエゾン70km)が実施され、午前10時よりアタックを開始した。
わずか61kmのステージながら、追うラテガンは19km、42km地点でアル・ラジよりも早いタイムを刻み、一縷の望みに賭ける走りを見せたが、追い抜くまでには至らず。
安全なペースで最終ステージを走破したアル・ラジがリードを守り切り、ダカールラリー制覇を果たした。アル・ラジにとっては自身初の総合優勝であり、母国開催となったダカールラリーを制覇した初のサウジアラビア人ドライバーとなった。総合2位にラテガンが続いたことで、トヨタ勢としてはワン・ツーフィニッシュを達成。総合3位には、新型マシンを投入したフォードMスポーツのマティアス・エクストローム(フォード・ラプター)が入っている。
一方、4輪部門よりも早い午前8時にスタートが切られた2輪部門では、9分のリードを保って最終ステージを迎えたサンダース(KTM)が最終日を堅実に走破。
首位タイムをマークした3日のプロローグから、大会終了までつねに総合首位の座を守り続け、自身初の総合優勝を飾った。
総合2、3番手には、モンスターエナジー・ホンダHRCのトーシャ・シャレイナとエイドリアン・ファン・べベレン(ホンダCRF450ラリー)が入り、日本車2台が総合での表彰台を獲得した。
そして、同じく日本から日野チームスガワラとして参戦している菅原照仁チーム代表兼ドライバーは、染宮弘和と望月裕司のふたりをナビゲーターとして日野600に乗り込み、クラス13位で完走を果たしている。
また、市販車カテゴリーのストック部門に参戦したチーム・ランドクルーザー・トヨタ・オートボディの三浦昂(トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツ)は、クラス優勝を達成。トヨタ車体は連続クラス優勝の記録を12連覇へ伸ばした。
なお、SSV市販小型バギークラスに参戦する梅田真祐はクラス31位で完走、持続可能技術を投入した開発者クラスのダカール・フューチャー・ミッション1000では、水素燃料エンジン車“HySE-X2”に乗る池町佳生がクラス2位で完走を果たしている。