海水温上昇など海洋環境の変化により、記録的な不漁や、魚の取れる時期や地域の変化など「海の異変」が続く中、日本財団と東京大大気海洋研究所、全漁連は20日、各地の若手漁業者が現場で集めた水温などのデータを研究者が分析し、対応策などに生かす枠組みを今年4月から本格化させると発表した。
同研究所の兵藤晋所長は「漁業者の皆さんから得られたデータをきちんと解析し、海で何が起きているのか、今後の対策に資する成果を得たい」と述べた。
全漁連によると、2010年ごろを境に、サケ類、サンマなど主要魚種の漁獲量が急減。若手漁業者の間からは「海洋環境の変化を感じる」「漁業が継続できなくなる」などの不安の声が上がっていたという。
研究者の側からは、海洋環境の急変に調査が追い付かず、漁獲物の変動を科学的に説明できるデータの不足が指摘されていた。
こうした中、日本財団などは今年度から、全国12道府県の13地点で若手漁業者が操業時に水温データなどを継続的に採取し、大気海洋研に提供する枠組みを構築。スマホアプリを使い、見慣れない魚の出現やサンゴの白化などの異常事象も報告できるようにした。
25年度からは全国20地点程度に増やすとともに、塩分濃度など収集データの種類も拡充。同研究所は分析を行い、漁業者と共に対応策の検討や提案を進めるという。