昨年の「第81回ベネチア国際映画祭」で銀獅子賞(監督賞)を受賞し、今月発表された「第82回ゴールデングローブ賞」で作品賞(ドラマ部門)、監督賞、主演男優賞(ドラマ部門:エイドリアン・ブロディ)の3部門を受賞し、一躍アカデミー賞の有力候補に躍り出た『ブルータリスト』(2月21日公開)。上映時間215分(3時間35分)という長尺の作品で、途中、インターミッション(休憩)が必ず入る異例の上映形式でも話題になっている。
【動画】映画『ブルータリスト』本編映像 本作は、第二次世界大戦下にホロコーストを生き延び、アメリカへと渡った、ハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トート(演:エイドリアン・ブロディ)の30年にわたる数奇な半生を、36歳のブラディ・コーベット監督が脚本から描き出した壮大な人間ドラマ。
第1章100分、インターミッション(休憩)15分、第2章100分という異例の上映形式を仕掛けたブラディ・コーベット監督は、本作で長編3作目。この上映形式にこだわった理由について、「『ブルータリスト』は小説のような内容で、観客が時の流れを感じるという事が重要だと思いました。編集しているとき、皆がそれを強く意識していました」と語っている。
そして「特に作品の長さというのが非常に重要だとも感じていました。というのは、最終的に映画の終わりに到達したときに感情的なカタルシスを感じることができると思ったからです」とコメント。そして「少し以前、映画の観客というのは、もっと忍耐力があったと思うのです。じっくりと時間をかけて映画を楽しんでいました。ところが現在は興味深いことに、人はテレビドラマを一気見するような傾向が広がりました。できるだけ早く結末が知りたいというような…」「ですが逆にこのストリーミングから出た現象に唯一の長所があるとすれば、多くが長い時間をかけてドラマを経験するようになったという点かもしれません」と苦笑。
だが本作は「そういった一気見ドラマに比べればずっと短い。前半100分+インターミッション15分+後半100分だから。その時間内で映画は、ある1人の建築家の30年以上の年月を追う」「(この形式にこだわることで)その長い歳月を感じてもらうことは、僕にとってとても重要なことだったのです」と明かしている。
その思いは、すでに公開されているアメリカでは結実し、見事大ヒットを記録。スタートはわずか数館だったが、年明けには興行収入100万ドルを突破。上映館数の拡大も決定し、旋風を巻き起こしている。
あわせて、才能にあふれるハンガリー系ユダヤ人建築家のラースロー・トート(演:エイドリアン・ブロディ)と、移住先のアメリカ・ペンシルベニアで出会った裕福で著名な実業家ハリソン(演:ガイ・ピアース)の<新しい運命への旅路>のスタート地点を描いたシーンの本編映像も公開された。
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