島太星、北海道からミュージカル界の新星が誕生 「フランケンシュタイン」抜擢に「命懸けで挑みます」【インタビュー】

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2025年01月24日 08:10  エンタメOVO

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島太星(ヘアメーク:YAHAGI RITSUKO/スタイリスト:小林洋治郎)(C)エンタメOVO

 北海道を中心に活躍するボーイズグループ「NORD」のメンバーで、近年は数々のミュージカル作品にも出演している島太星。4月10日から上演されるミュージカル「フランケンシュタイン」ではアンリ・デュプレ/怪物役を加藤和樹とダブルキャストで務める。ミュージカル「フランケンシュタイン」といえば、ゴシックロマンの名著をミュージカル化した作品で、2017年に日本初演。壮大でスピード感あふれる物語が大反響を呼び、2020年にも再演された大ヒットミュージカルだ。島の出演は大抜擢(ばってき)ともいえるキャスティングだが、その実力は折り紙付き。今後、ミュージカル界を担う逸材の一人となるであろう島に本作への意気込みやミュージカル出演への思いを聞いた。




−出演が決まった心境を教えてください。

 もちろんうれしかったですが、あまりのことに現実味がありませんでした。宙に浮いているような感覚になって、「本当のこと?」って。僕は、本当に運が良いだけなんですよ。すばらしい作品に恵まれて、これまでの人生では考えられないくらい大きな作品にお呼ばれして、今もまだ信じられないです。きっと稽古が進んでいって、だんだんと現実を見ていくのだと思います。

−もともと、ミュージカルに出演したいという思いはあったのですか。

 「ミュージカルとはなんぞや」というレベルでしたが、お仕事をいただく中で、ミュージカルにどんどん興味が湧いてきました。

−今回演じるアンリ/怪物役についてはどのように感じていますか。

 科学で生命を作り出すビクターに対してすごくクールに対応する人なのかなと思っていたのですが、(演出の)板垣(恭一)さんにご相談したら、「もっとビクターに感情をぶつけていいと思う」と言っていただいたので、日々、アンリに対する考え方も変わってきています。ただ、初演で(加藤)和樹さんが演じている映像を見させていただくと、やっぱりクールな印象があって。なので、もしかしたら板垣さんは「僕が演じるアンリ」は感情を出していいとおっしゃっているのかもしれません。もしかしたら僕自身の新しいアンリを作れるのではないかと思い始めてきました。

−今回、加藤さんと島さんはダブルキャストでアンリ/怪物役を演じますが、加藤さんとのダブルキャストについてはいかがですか。

 恐れ多いです。人間的にも役者としても憧れの方なので、そうした方とダブルキャストをさせていただけるというのは、毎日、勉強になることばかりです。今回、ミュージカルの最前線で戦っている(ビクター・フランケンシュタイン/ジャック役の)中川晃教さんと加藤さんと同じ作品に出演できるというのは本当に夢のような話なんです。正しい表現か分かりませんが、今まで「ステップ1」だったのに、一気に「ステップ30」まで飛んでしまったというくらい大きなことですし、きっと頑張れば頑張るほど成長できる期間だと思っているので、今からお稽古が楽しみです。

−本作の楽曲にはどんな印象ありますか。

 今回、アンリと怪物の二役を演じるのですが、アンリと怪物の曲調が全く違いますし、とにかく難しい。怪物になると一気に音域の幅が広がって、低音から高音までレンジが広い楽曲ばかりで。僕は低音がすごく苦手でしたが、今、この作品のために1年間くらいボイストレーニングを受けさせてもらっています。そのおかげで低音が響くようになってきて、ようやく自分も怪物の領域に踏み込めるようになってきたのではないかと思います。

−ネットに投稿されている歌唱動画などを見ると、どんな楽曲もすんなりと歌いこなせているように感じていました。

 その裏ではめちゃくちゃ練習しています(笑)。決して器用なタイプではないので、今回のナンバーも今、苦戦しながら、一つ一つステップを踏みながら頑張っています。

−普段は「NORD」としてアーティスト活動もされていますが、ミュージカルとして歌うときとの違いを感じていますか。

 全く違います。最近はずっとミュージカルのトレーニングをしていたので、もう今は、ポップスの歌が歌いづらいくらいです(苦笑)。この間、ある番組でポップスの歌を歌う機会があったのですが、久しぶりすぎて声が裏返ってしまって。今日で人生を終わりにしようと思うくらいの失敗をして…自分でも信じられなかったです。それくらい、ミュージカルとは発声が違うのだと思います。皆さん、きっとこれはミュージカルの発声だからこうしようとうまくやっているんでしょうが、僕はそれがまだ分からないので、早く自分の中のスイッチを見つけたいです。

−そもそも、島さんが芸能活動をスタートしたきっかけを教えてください。

 中学1年生のときに学校祭で歌を歌ったら「うまいね」と言ってもらえて、それがうれしくて、次は「ビブラートって技を覚えよう」とどんどん練習をしていったというのが最初でした。僕のおばあちゃんが民謡日本一の記録を持っていたので、おばあちゃんの家に行って、声の出し方を教えてもらったんですよ。そして月日が経って、高校生になった頃には、地元では「歌がうまい人」になっていて。その頃、地元の北海道のカラオケ大会で優勝したら50インチのテレビがもらえるというのを見て、テレビが欲しくてオーディションを受けました。そうしたら、今の事務所のマネジャーさんにお声がけいただいて、芸能活動がスタートしたという流れです。なので、僕はアーティストになりたかったわけじゃなくて、テレビが欲しかったんです(笑)。今でも何かを目指しているというわけではなくて、とにかく「フランケンシュタイン」という作品を大成功させるというのが今の目標です。それが終わったら何もなくなって、次にいただけるお仕事があればそれをまた大成功させて…そうした循環で今があるのかなと思います。

−ここまで活動してきた中で、ご自身の中でのターニングポイントは?

 こうして東京に今、いられるのは、約4年前に日本テレビさんで放送された、ウッチャンナンチャンの南原(清隆)さんがMCをされている番組に出演させていただいたことだと思います。その番組でお話をさせていただいたときに、「こいつはやばいやつだ」と思っていただいたようで(笑)、次の週に日本テレビさんに行ったら、「ヒルナンデスの出演が決まりました」と言われて。それまでは北海道で地道に活動していたのに、そこからですね、人生がガラッと変わったのは。生活が一変して。そうしたら、事務所の先輩の大泉洋さんが「うちの事務所に面白いのがいる」と紹介してくださって「行列ができる法律相談所」にも出させていただいて、気付けばバラエティーに出て、歌わせてもらったら、ミュージカルにも呼んでいただけるようになり…。きっとテレビで歌わせていただいたということも人生が動いたきっかけになったのかなと思います。

−圧倒的な歌唱力があり、お芝居をすれば役にスッと入っていく。なのに、話すと天然キャラというギャップが島さんの魅力の一つだと思いますので、まさにそうした魅力がテレビを通して伝わったのですね。

 でも天然なところは本当に直したいと思っているんですよ。昨年はその気持ちがより一層、強くなりました。ミュージカルへの出演が増える中で、本当に恥ずかしいんです。「フランケンシュタイン」の記者会見でも、どんな質問があがるか事前にマネジャーさんに相談して、なんて答えようか夜な夜な考えて、「僕、かっこいいじゃん」って答えを作ってあって、それを言おうと練習までしていたんですよ。それなのにあんな結末になって…もうきっとあらがえないんだなと悔しいです。

−言おうと考えていたことが飛んでしまったんですか。

 違うんです。誰かが勝手に話すんですよ。落ち着こうと思っているのに、“島2号”がどんどん前にいっちゃって。困った問題ですよ(苦笑)。そうじゃないんだよって、いつも悔しく思っています。

−では、今後のアーティスト活動や俳優活動についてどのように考えていますか。

 両立できればいいなと思います。どちらかに絞ると何かを失う結果になってしまうので、同じくらいのパーセンテージでできればいいなと。どちらも100:100だと体がもたないし、物理的に無理だと思うのですが、でも僕はどちらも100:100でやってしまうんですよ。まだ自分の中で全部が楽しい段階なので、楽しめているうちは両方とも同じくらいスキルを身につけて作品に魔法をかけられたらと思っています。

−改めて公演への意気込みを。

 僕が進化する作品になることは確定しています。この作品に出演している進化した僕を見ていただきたいですし、多くのミュージカルファンの方々やミュージカル関係者の皆さまの目に留まる俳優になれるよう臨みたいと思います。そして、さらに「フランケンシュタイン」後にもつながる働きをできたらと思っています。命懸けで挑みます。
(取材・文・写真:嶋田真己)

 ミュージカル「フランケンシュタイン」は、4月10日〜30日に都内・東京建物 Brillia HALLほか、愛知、茨城、兵庫で上演。


ミュージカル「フランケンシュタイン」

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