第217通常国会が24日召集された。石破茂首相は就任後初の施政方針演説を衆参両院本会議で行い、看板政策「地方創生2.0」を「令和の日本列島改造」と位置付け、強力に推進すると表明。これを通じ「多極分散型の多様な経済社会」を構築すると力説した。自民党派閥裏金事件を踏まえ、政党の在り方を定めた政党法制定も念頭に、政治改革の議論を深めるよう呼び掛けた。
首相は演説で、生産年齢人口の減少を踏まえ「人財尊重社会」を築く必要があると強調。目指すべき国家像として「楽しい日本」を掲げ、それを実現する「政策の核心」に地方創生を据えた。
その上で(1)若者や女性にも選ばれる地方(2)産官学の地方移転(3)新時代のインフラ整備―などを5本柱として提示。都市と地方の二拠点活動支援、男女の賃金格差是正を促進する法案提出、地方公務員の兼業・副業の弾力化、防災庁など政府機関の地方移転などを具体策として打ち出した。4〜10月の大阪・関西万博に触れ、「地方創生のシナジー効果を実現する」とも語った。
経済政策では「賃上げこそが成長戦略の要」とし、2020年代に最低賃金の全国平均1500円を目指すと主張。防災分野では、司令塔となる防災監を新設し、内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面から抜本的に強化すると説明した。
政治改革を巡っては、政党交付金、企業・団体献金、個人献金など政治資金の原資のバランス、政党の規律の在り方などを論点として挙げ、「結論を得るのは政治家の使命だ。法制度の在り方も含めて議論を深めたい」と訴えた。企業・団体献金禁止の是非を巡る議論や、昨年9月の自民党総裁選で掲げた政党法制定が念頭にある。
また、兵庫県知事選などでSNS上などの偽・誤情報が問題化したことを念頭に「健全な言論の場が担保される必要がある」と指摘。「今の選挙制度の約30年の歴史を踏まえ、あるべき選挙制度を議論していきたい」と述べ、小選挙区比例代表並立制の検証を含めた議論を提起した。
外交政策に関しては、2月で調整するトランプ米大統領との会談に触れ、「一層の協力を確認し、日米同盟をさらなる高みに引き上げたい」と意欲を示した。中国とは首脳間を含む意思疎通を重ね、「現実的な外交」を進めると説明した。