オスカーノミネート『ノー・アザー・ランド』日本版予告完成 ナレーションは池松壮亮

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2025年01月30日 14:10  クランクイン!

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映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』日本版予告編ナレーションを担当する池松壮亮 (C)2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
 2024年ベルリン国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞と観客賞をダブル受賞したドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』より、日本版予告編が解禁された。ナレーションを池松壮亮が務めている。

【動画】ナレーションは池松壮亮『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』日本版予告編

 本作の舞台となるのは、イスラエル軍による破壊行為と占領が今まさに進行している、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区マサーフェル・ヤッタ。この現状をカメラに収め世界に発信することで占領を終結させ故郷の村を守ろうとするパレスチナ人青年バーセル・アドラーと、彼に協力しようとその地にやってきたイスラエル人青年ユヴァル・アブラハームの2人による決死の活動を、2023年10月までの4年間にわたり記録。あまりに不条理な占領行為を、そこで暮らす当事者だからこそとらえることのできた至近距離からの緊迫感みなぎる映像であぶりだしていく。

 同時に、バーセルとユヴァルが、パレスチナ人とイスラエル人という立場を越えて対話を重ね理解し合うことで生まれる奇跡的な友情と、ただ故郷の自由を願い強大な力に立ち向かい続ける人々の姿も映し出す。

 監督は、バーセルとユヴァルを含むパレスチナとイスラエルの若き映像作家兼活動家の4人が共同で務めた。

 1月27日時点で11の観客賞をはじめすでに61もの賞を獲得しているが、米国内では政治的な事情から、劇場公開に手を挙げる配給会社がいまだにない。そのため、本来であれば配給会社へ権利を販売する役割であるセールス会社が、自ら劇場に働きかけ1月末の公開を実現させるという異例の事態となっている。

 1月8日(現地時間)のニューヨーク映画批評家協会賞の受賞式では、作品賞を受賞した『ブルータリスト』のブラディ・コーベット監督がスピーチの締めくくりに「最後に言いたいことがあります。『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』を配給する時が来ました」と述べ、大きな話題を呼んだ。日本はフランスやドイツなど欧州各国に続く劇場公開となり、アジアでは最速公開だ。

 日本版予告編は、マサーフェル・ヤッタにあるバーセルの暮らす村をイスラエル軍の無数の軍用車両が急襲し、彼がビデオで撮影していたために兵士に襲いかかられる緊迫の場面で幕を開ける。

 彼はイスラエル軍の不当な行いに心を痛めてこの村にやってきたジャーナリストのユヴァルからのサポートの申し出を快く受け入れるが、バーセルとともに占領にあらがってきたハムダーンがユヴァルに「イスラエル人だろ? 侵略者の仲間など信頼できない」と面と向かって厳しい言葉を投げかける様子も映し出す。

 2人が素材提供や自ら番組にも出演することでマサーフェル・ヤッタの現状はたびたび報道されるが、状況が改善する気配はない。映像では、軍などにより家が破壊されることに抗議する人、村の自由を求めて行進する人々、「時間がかかっても諦めない」というバーセルの強い覚悟が伝わる言葉、ユヴァルがカメラを手に兵士に「祖国の暴挙を見過ごせない」と詰め寄る様子などのほかに、代々この場所で生きてきたマサーフェル・ヤッタの人々のささやかな日常が伝わる光景も切り取った。

 映像の最後では同じ思いで行動を共にするバーセルとユヴァルが笑顔で互いの顔を見る様子をとらえるが、そこに記された<一滴のしずくから、世界は変わる>というメッセージは、バーセルが本作の中で村人たちに諦めないことの大事さを呼びかけた際の言葉をベースにしている。

 池松壮亮は、これまで作品本編にナレーションとして参加した経験はあるが、映画の予告編単体でナレーションを務めるのは本作が初めて。今回のナレーションに際して、「並外れた作品だと思いました。このような形でこの作品に賛同できることをとても光栄に思っています。異なるバックグラウンドを持つ4名の監督が親密に手を取り合い、同じ空の下の現実を伝えようと、ジャーナリズムへの献身と努力で世界に情報を伝えてくれました。決して他人事ではいられず、無関心ではいられませんでした。今作に出会えたことに感謝しています。 今この映画を、是非観ていただきたいです」と語った。

 映画『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』は、2月21日より全国公開。
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