【動画】俳優の細川岳がナレーション! 映画『来し方 行く末』予告編
本作は、弔辞作家の日常というユニークな題材を軸に、人々の人生模様や死生観を繊細に織り込んだヒューマンドラマ。
主人公のウェン・シャンは大学院まで進学しながら、脚本家として商業デビューが叶わず、不思議な同居人シャオインと暮らしながら、今は葬儀場での弔辞の代筆業のアルバイトで生計を立てている。
丁寧な取材による弔辞は好評だが、本人はミドルエイジへと差し掛かる年齢で、このままで良いのか、時間を見つけては動物園へ行き、自問自答する。同居していた父親との交流が少なかった男性、共に起業した友人の突然死に戸惑う会社員、余命宣告を受けて自身の弔辞を依頼する婦人、ネットで知り合った顔も知らない声優仲間を探す女性など、さまざまな境遇の依頼主たちとの交流を通して、ウェンの中で止まっていた時間がゆっくりと進みだす。
主演は、華やかな時代劇スターから近年では岩井俊二監督作『チィファの手紙』(2018)、ディアオ・イーナン監督作『鵞鳥湖の夜』(2019)で内面を掘り下げた演技で芸域を広げる俳優のフー・ゴー。同居人のシャオイン役は、『西湖畔に生きる』(2023)で圧巻の演技を披露し、本作がフー・ゴーと3度目の共演となるウー・レイ。
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予告編は、弔辞の代筆業で生計を立てるウェン・シャン(フー・ゴー)の日常の一幕から始まる。「見知らぬ人々の人生を観察する。それが僕の一番穏やかな時間だ」と静かに語るウェンの姿。長い間帰郷を避けている故郷の母からの電話に、嘘を重ねる姿に、同居人のシャオイン(ウー・レイ)は無言で抗議をする。
やがて、弔辞を依頼するさまざまな境遇の人々の物語が重なっていく。同居していた父親と交流が少なかった男性、同僚の突然の死に戸惑う会社員(ガン・ユンチェン)、余命宣告を受けて自身の弔辞を依頼する婦人(ナー・レンホア)など。「あなたの弔辞は評判がいい」、その言葉の通り、丁寧な取材で依頼主たちに取材を重ねるウェンの姿から、彼がただ文章をつづるだけでなく、彼らの人生に寄り添いながら言葉を紡いていることがうかがえる。
依頼人の一人の女性(チー・シー)は、ネットで知り合った声優仲間の弔辞が気に入らず、ウェンのもとを訪ねてくる。彼女との会話の流れで「僕は脚本家だった」と自身の過去について話し始める姿に、かつて夢見た脚本家としての夢を諦めきれない彼の葛藤がにじむ。「でも 今も物語を書いてる」という何気ない彼女の言葉をきっかけに、自転車で走り出すウェンの姿に、静かな希望を感じさせる映像となっている。
ラストは「弔辞を代筆するという監督独自の視点から人生の意味や家族の絆について深く問いかけ、あらゆる感情を揺さぶる作品だ」と名匠ジャ・ジャンクー監督が本作を絶賛するレビューで結ばれる。
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ポスターは、ウェン・シャンが柔らかな光に包まれながらノートに何かを書き留める穏やかな瞬間を切り取っている。横には“あなたのさよなら、代筆します。”という印象的なコピーが配置され、彼が営む弔辞の代筆業を通じて、さまざまな人生に寄り添う姿を想起させる。
下部には、ウェンが仕事の合間に頻繁に通う動物園で、白熊のゲージの前で佇むどこか悲しげな姿。中央に大きく配置されたタイトル「来し方 行く末」は、過去と未来、これまで歩んできた道とこれから向かう先の意。主人公の穏やかで深い内面に迫り、映画の静ひつなトーンが漂うデザインとなっている。
メイン画像は、北京郊外の集合団地のサンルームで、灰皿を囲みながら会話を重ねるウェン・シャンと同居人シャオインのツーショット。2人の間にある緊張感や物語を想像させるシーンとなっている。
映画『来し方 行く末』は、4月25日より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開。
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