バッテリィズ ど直球「あほ」攻めが視聴者ツボにどストライク「行けるところまで全力で行く」

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2025年02月02日 08:00  日刊スポーツ

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天然のようなエース(左)のボケをしっかり受け止める寺家。バッテリィズの名のままに自然体で息の合った2人です(撮影・藤尾明華)

「M−1グランプリ2024」は2年連続優勝を飾った令和ロマンの大会でもあったが、負けずにインパクトを残したのが、バッテリィズ。「あほ」を強調した漫才がバカ受けし、年末年始はフル回転で舞台に、テレビに出まくった。寺家(じけ=34)とエース(30)は、やっと全国区への階段を上り始めたばかり。本格ブレークは、まだこれからだ。【三宅敏】


★熱烈虎&竜党


バッテリィズを撮影した日刊スポーツのカメラマンが、このあと阪神タイガースの沖縄・宜野座キャンプに出向くことを聞き、2人の目が輝いた。


エース「えっ、阪神のキャンプに行くんですか? うらやましい〜」


寺家「どのポジションの写真が一番難しい? やっぱりキャッチャー?」


野球の話題になると、身を乗り出す。コンビ結成より前に、芸人の野球チームで仲間だった。投手のエースと捕手の寺家。ともに相方が不在だった時期、2人が組み「バッテリィズ」として17年10月に出発した。


小さいころから野球少年。三重県津市出身の寺家は中日ドラゴンズ、大阪市出身のエースは阪神タイガースのファン。


エース「今年の阪神は楽しみです。現役時代の藤川球児監督は直球勝負でしたが、解説者として話を聞くと『考える野球』を大事にする人。岡田監督時代から、どう野球が変わっていくのか、ワクワクします」


寺家「昨年の中日は最下位でしたが、本来そんなチームではないんです! ナゴヤドームが本拠地なのだから、守備をしっかり固めて1年を戦ってほしい。若い選手が多く、今年こそ楽しみにしています」


好きな球団の話題になると、芸人の顔から一変、野球ファンの顔になる。M−1後は一気に忙しくなったが、自分たちのチーム「上方ホンキッキーズ」への情熱は変わらない。


寺家「野球の試合をYouTubeにアップしていますが、M−1前は500ぐらいだった再生数が10万まで増えて驚いてます。忙しくても野球はやめられません。いま3歳の子どもが夜泣きして全然眠れなかったときも、そのまま試合に出てましたから」


エースは先日、よしもと漫才劇場(大阪市)で「シゲカズです企画公演 ギャンゴリ対全員」に出演した際、豪快キャプテンの山下ギャンブルゴリラ(36)と激突。床にたたきつけられたエースは思わず右肩を気にした。


エース「その瞬間『ケガしたらまずい!』と思いました。右投げなので、ふだんから寝るときは右肩を下にしませんし、荷物を持つのは左手。いつの間にか習慣になりました」


★笑神くじ緊張


共通の思いは「野球が好きだから」。エースは七色の変化球を操り、寺家はインサイドワークを駆使してエースをリード。漫才でも、野球でも絶妙のコンビネーションを見せている。


転機は、やはり昨年12月22日の「M−1グランプリ2024」決勝。エースの「あほ」っぷりを前面に出すネタで会場のファン、テレビの視聴者、審査員を魅了した。結果、令和ロマンに次ぐ準優勝。


寺家「決勝では、出番順を決める笑神(えみ)くじで体がおかしくなりました。NGK(なんばグランド花月=吉本興業の本拠地)に出るときも独特の緊張感はあるんですが、笑神くじは人生最高の緊張でした」


エース「笑神くじが1番、2番を引くまではしびれました。早い出番は避けたかったもので。僕らは7番目でしたが、途中からはボーッとしてました」


★決勝後超多忙


決勝の夜は、仕事から解放されたのが深夜2時。翌朝6時には起きてTBS系「ラヴィット!」に生出演した。その後は大阪に戻って舞台に出演し、さらに東京へUターン。いきなり超多忙タレントとなった。


寺家「ずっとM−1が好きで、決勝の舞台は夢でした。それがかなって、仕事が急に増えて、ありがたいことです。それまで経験のないテレビ番組に出演したり、ロケに行ったり。3歳の息子と妻も喜んでます。睡眠時間がその分少なくなりましたが」


エース「周囲の反応が変わりました。知らない人からいきなり『M−1見たよ』と声をかけられたり、ある日は家を出たとたん、通りがかった人から『あ、バッテリィズ!』と言われて、腰を抜かしそうになりました。睡眠時間は減りましたが、寝たら元気になるので大丈夫です!」


M−1決勝で審査員を務めたオードリー若林正恭は「ワクワクするバカが現れた。日本を明るくしてくれそう」と評価した。エースを指して「アホの坂田(故坂田利夫さん)」以来の逸材、という声も。


「M−1グランプリ2024 スペシャルツアー」が2月2日スタート。大阪、東京以外にも北海道、山形、福島、栃木、愛知、神戸、岡山などを巡演する。


寺家「これは楽しみにしています。つながりがあまりなかった人たちと、仲良くなれそうです」


★快挙後も努力


大阪でコツコツと公演を重ねてきた「バカ丸ライブ」(共演はカベポスター、丸亀じゃんご)や「P大逆転ジェントルマンかぶき」(共演は豪快キャプテン、イチオク)も着々と動員を伸ばしている。M−1でブレークしても、足元を固める努力は忘れない。


エース「2025年の目標は『行けるところまで、全力で行く!』です」


屈託ないエースの笑顔、やんちゃな弟を見守るような寺家の表情。バッテリィズの快進撃は、まだ続く。


▼バッテリィズ担当の吉本興業・能登達也マネジャー


ありがたいことに、M−1決勝を境に一気に忙しくなりました。それ以前は週に1、2度は休みがあったんですが、おかげさまで4月までずっと仕事が決まっています。これまでに出たことのない全国ネットのテレビ番組からもお話をいただいて、東京に行く機会が増えました。新幹線はまだ普通車利用ですが、グリーン車に乗れるのは今後の楽しみにとっておきます。


◆バッテリィズ


コンビ結成は2017年(平29)10月15日。大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)所属。ともにNSC(吉本総合芸能学院)36期。


エース 94年11月2日生まれ、大阪市出身。阪神タイガースとONE PIECE好き。身長182センチ。


寺家(じけ) 90年8月7日生まれ、三重県津市出身。中日ファンから小4で巨人ファン、後に竜党に復帰。趣味は競馬とラーメン巡り。身長176センチ。


◆上方ホンキッキーズ 24年主なメンバー


キャツミ、タイムキーパーひでき、スナフキンズ朝地、ニッポンの社長辻、エース、寺家、グレン世紀、どんちっち竹岡、監督・星野伸之、マネジャー・たくろう赤木、翠星チークダンスちろる。

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