「ニャンコ保護しました。思いのほか興奮して、ショックなのかごはんも食べず本棚の上に丸まってます。すぐに動物病院に行くつもりでしたが、病院から『今は興奮してるから1週間くらい様子を見て慣れてから来てほしい』と断られました。本当に保護して良かったのかなと思ってしまいます」。
昨年12月、飼い主のX(ツイッター)ユーザー・ハルさん(@haruchan_0103)は、そんなコメントとともに動画を投稿。そこには、茶トラの男の子「ソラ」くんが「ニャー」とか細い声で鳴いたあと、そっぽを向いて座り込む様子が映っています。
この投稿には、8000件を超える“いいね”が集まりました。リプライには「大丈夫です。ゆっくり、時間をかけて接して下さい。 保護してもらいありがとうございます」「鳴き声と茶トラさんなので甘えん坊になる予感がしますが。長い目で見ると保護してもらえて良かったと思います」「ゆっくり友好関係を築けるといいですね」「茶トラさんも早く仲良しになりたいときっと思ってくれてるはずです!」など、飼い主さんを励ます声が寄せられています。
ある日、庭に現れるようになった猫
ソラくんと飼い主さんが出会ったのは、昨年10月ごろ。家の庭で見かけるようになったといいます。
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「ごはんを与えていたら、毎朝、やって来てごはんを待つようになりました。ところが、私がそばにいるとごはんに口をつけません。その場を去ると、ようやくごはんを食べはじめる、そんな感じでした」
当初、ソラくんはとても警戒心が強く、容易に近づくことはできなかったそうです。そこで、飼い主さんはある“秘策”を試すことにしました。
「あるとき、液状おやつを与えてみました。すると、近くまで寄ってくるようになり、触らせてくれるようになったのです」
この出来事をきっかけに、ソラくんと飼い主さんの距離はぐっと縮まったといいます。
「毎日、私のことを待つようになりました。朝は玄関前で、夜は仕事から帰ってくると『ニャーニャー』と鳴きながら現れて、ごはんをせがむように。そんな日々を過ごしているうちに、ちゃんと保護して幸せにしてあげたいという気持ちが芽生えたのです」
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2024年12月4日、飼い主さんは、ソラくん(推定生後9カ月)を保護。家族の一員として迎え入れました。
少しずつ心を開き始めたソラくん
保護直後、ソラくんは大暴れしたといいます。激しく鳴く姿を見て、飼い主さんは「嫌な思いをさせてしまったかな……」と胸を痛めました。一時は、ごはんも食べずに固まっていたソラくん。しかし、2時間ほどが経つと、次第に緊張がほぐれていったのです。
「ソラの体を撫でてあげると、安心したのか、ごはんを食べてくれるようになりました」
さらに翌日には、大きな進展がありました。ソラくんは、飼い主さんの膝上に乗ったり、部屋を歩き回ったりするようになったのです。そして、励ましや助言を送ってくれた人たちに向けて、飼い主さんは「ソラ」くんと命名したことと、その名前に込められた思いを報告しました。
「青空のように澄んだ存在になってもらえたらなと思いつけました。よろしくお願いします」
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その後も、ソラくんはどんどん心を開いていきました。保護から6日後には、ゴローンとおなかを丸出しにしてくつろぐ姿を見せるようになったのです。これには、飼い主さんも「本当に野生猫だったの!?」と驚きの声をXに投稿。
日を追うごとに、ソラくんと飼い主さんの関係は、さらに深まっていったのです。
先住猫の反応は? 保護から大きく変化したソラくん
ソラくんは動物病院を受診し、生後推定9カ月であることがわかりました。
飼い主さんの家には、先住猫の女の子『ハル』ちゃん(取材時、3歳11カ月)が暮らしています。現在、ソラくんとハルちゃんはまだ別室で過ごしていますが、ときどき対面させるなどして、少しずつ慣らしているところです。
ソラくんは仲良くしようと近寄りますが、ハルちゃんはまだ受け入れられないようで『シャー』と威嚇します。ふたりの距離が縮まるには、もう少し時間がかかりそうです。飼い主さんは、そんなふたりの様子を温かく見守っています。
ソラくんを保護してから、もうすぐ2カ月。当初、ほっそりとしていたソラくんは、毛づやが良くなり、ふっくらと健康的な体つきになりました。また、甘えん坊ぶりも発揮しています。
「私の膝の上に乗るのが好きで、ずっと乗っているんです。これからもたっぷり愛情を注いで、ソラくんを幸せにしてあげたいと思っています」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)