(左から)パーソナリティの山崎怜奈、KEN THE 390さん
◆MCバトルの最中は何を考えている?
れなち:「音楽ナタリー」での連載企画を書籍化した「ジャパニーズMCバトル:PAST<FUTURE」が昨年12月19日に発売されましたが、この連載が始まったのは何がきっかけだったのですか?
KEN THE 390:(日本の)MCバトルって、それこそ20年以上の歴史があって、テレビでは今から10年ぐらい前に「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日)が始まって(シーンが)大きくなってきたなかで、1つの歴史としてまとまっているものがあまりないなと思って。
あとは、MCがフリースタイルをしているときに何を考えているか言語化されているものがなくて、自分自身も難しくてあまりできていなかったので、実際に(MCバトルが)できる人と話すなかで“何か言葉に残しておけたらいいな”と思って対談企画を始めたんです。
れなち:MCの皆さんの(フリースタイルは)準備されているものなのか、その場の閃きとテンションでやっているのか、私みたいな素人には想像がつかないんですよね。
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れなち:この本を読んでいてありがたかったのは、たくさん注釈が入っているので“日本のヒップホップ辞典”みたいな感じで初心者でも読みやすいし、親近感を持って読むことができました。
KEN THE 390:そういうニュアンスもあるかもしれないです。
◆“MCバトル”が強い人の特徴
れなち:私は、呂布カルマさんとディスカッション番組とかでよくご一緒するんですが、あのアドリブ感覚、議論のときの鋭さみたいなものは、MCバトルをやっているからなんだなと思いました。
KEN THE 390:それはあると思います。特に彼はバトルでもディベートが強いタイプなので。
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KEN THE 390:ディベートが強いタイプもいれば、音楽性で勝つタイプ、ライム(韻)のバリエーションが多くて勝つ人もいます。呂布カルマはもちろん音楽性も高いのですが、ディベートがかなり強くて、相手を言い負かして勝つスタイルですね。
れなち:そこにも時代性がある?
KEN THE 390:流行りもあると思いますし、美意識も。あと(勝敗は)お客さんが判定するので、大会によって「今日はライムが勝つ日だな」「ディベートが勝つ日だな」みたいな流れがあったりするので、本当に強い人は、お客さんを見ながら自分の方向性を調整したりしますね。
れなち:下の世代を見ていたり、“若手が増えない”みたいな話もありましたが、そこは(MCバトルの)審査員としての目線もあるし、カルチャーを担う1人として不安や期待があったりするのですか?
KEN THE 390:ヒップホップシーン自体はどんどん大きくなっていると思うし、さらに5年ぐらい経ったら想像の範疇のさらに上までいくだろうなっていう感覚はありますね。
れなち:日本の音楽シーンのなかでも(ヒップホップは)メインになってきているというか……。
KEN THE 390:そうですね。すでに世界では、売上的にもアーティストの規模でもヒップホップがメインだと思うので、日本もそうなっていくんじゃないかなと思います。
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れなち:今年は2月19日(水)に13枚目となるオリジナルアルバム『Last Note』をリリースされ、3月2日(日)には、ワンマンライブ「KEN THE 390 Oneman Live 2025」が東京都・渋谷のduo MUSIC EXCHANGEで開催されます。こちらはどういうイベントでしょうか?
KEN THE 390:アルバムに豪華なゲストが参加してくれているので、まだ誰が来るか発表してないですが、かなり集まると思います。
れなち:ラッパーの皆さんって縦・横のつながりがすごくありますよね。
KEN THE 390:ラッパーって怖そうに見えるんですけど、結構みんな仲が良いし、懐に入るとみんな優しい人ばかりなんですけどね(笑)。
れなち:懐の入り方みたいなものがあるんですか?
KEN THE 390:それは僕もちょっとわからない(笑)。僕はそんなに怖いタイプの人間じゃないんですけど、先輩だからやれているみたいなところはあるかもしれないです。
<番組概要>
番組名:山崎怜奈の誰かに話したかったこと。
放送日時:毎週月〜木曜 13:00〜14:55
パーソナリティ:山崎怜奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/darehana/
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