トークを繰り広げたのは、“私たちの生活、未来のために、明日からすぐ行動できる身近なアクションのきっかけを作る”というコンセプトでお届けする『J-WAVE SELECTION ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE』。オンエアは毎月第4日曜。ここでは、2024年12月22日(日)の放送回をテキストで紹介する。
同番組は、SDGsに関する活動を後押しする情報発信・体験の場である、青山のITOCHU SDGs STUDIOから発信。オンエアだけでなく、デジタル音声コンテンツとして提供・配信するサービス「SPINEAR」でも配信。SpotifyやApple Podcastsでも楽しめる。エピソードは月曜日に3回にわけて更新。
平和はすべての基礎にあるもの
SDGsには17の目標がある。百瀬はそのなかで、目標16の「平和と公正をすべての人に」に関心があると話した。百瀬:平和の面では戦争とかいろんな問題がありますし、同じ人間なのに国が違うだけでさまざまな問題があるなと、ニュースを見て感じています。公正の部分ではジェンダーや男女平等など言われていますが、まだそんなに浸透していないなというか。そういう部分を感じたので、ぜひ詳しく聞いてみたいなと思って選びました。
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NPO法人テラ・ルネッサンス
SHELLY:この目標がSDGsに掲げられている理由を教えていただけますか?
鬼丸:平和はすべての基礎にあるものだと思います。平和じゃないとこういったラジオ放送もできないし、歌うこともダンスをすることも何もできません。平和は、必ずあらゆる人生の夢や企業の目標を叶えるために必須の条件なので、SDGsの目標、しかも16番目という最後のほうに重要なものとして提示しているのだと考えています。
SHELLY:そんななかで、世界の子どもたちに対する暴力の現状、虐待・搾取が大変な状況だと伺いました。
鬼丸:日本国内でも児童虐待とか子どもにまつわるいろんな事件がたくさんありますが、世界に目を向けると、たとえば児童労働という、18歳未満で危険な労働に従事させられている子どもたちは10人に1人いるんです。強制的に誘拐をされたり、貧しいために兵士になる子ども兵がいたりと、すべての子どもが安心して夢を追える状況ではないというのが、この世界の現実と捉えていただいていいのかなと思います。
SHELLY:日本にいると、面と向かって見ることがないから、映画の話のように思えてしまいますよね。
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SHELLY:でも、実際に児童労働によって作られている商品を、私たちが買っていたりするわけですよね。「これ、めちゃくちゃ安くない!?」って買ったものが、実は子どもが無理やり働かされて作られたものかもしれませんよね。私たちは安く買えるのがラッキーと思っちゃうけど、なぜ安いかを考えることも大事かもしれないですね。
また、世界には出生記録が出されていない子どもたちが多くいるそうで、その問題についても鬼丸さんが言及する。
鬼丸:たとえば国連やNGOが、子どもを誘拐して子ども兵にした軍隊に「この子は明らかに10歳だ。この子を子ども兵として使っている」と指摘すると、その誘拐した軍隊の大人たちは「こいつは18歳だ」と言い張る。戸籍や出生届のような年齢を記録するものがない国の場合だとわからないですよね。
百瀬:そういう国があるなんて知りませんでした。
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百瀬:考えたこともなかったですね。
SHELLY:誕生日もわかっていて、みんなが祝ってくれているって、すごく平和の象徴ですよね。
遠い国々の問題でも私たちとは無関係ではない
世界における子どもたちの問題を知った百瀬は、「そういった子どもたちへの支援はあるのか?」と鬼丸さんに質問した。鬼丸:傷ついた子どもたちを解放するとか、ケアをする仕組みが整っていない国もたくさんありますし、国際的な援助が十分かというとそうでもない。ちなみに、みなさんは、平和の反対って何だと思いますか?
百瀬:何だろう……不幸かな。
SHELLY:私は戦争かな。
鬼丸:よく戦争について「平和がない状態」と捉える方もいるんですけど、そのレベルではなくて、まさに不幸な状態。つまり可能性を否定されたりとか、本当はこんなことをしたいのにできない状況って、すべて平和ではないんです。だから戦争がなければ平和というわけではない。不幸とはそのとおりで、それをどう改善していくかですよね。
SHELLY:戦争がない国だから平和とは限らないってことですね。
鬼丸:日本でも平和ではない子どもたちはたくさんいますからね。その視点をもう少し広げると、自分たちに何ができるかってわかってくるかもしれないですね。
鬼丸さんは大学時代の2001年にテラ・ルネッサンスを設立し、当時はカンボジアの地雷除去の支援を行い、現在は子ども兵が社会復帰して生活できるように職業訓練や識字教育を実施している。また、ウクライナをはじめ自国で暮らせない人たちに向けて食糧や日用品の供給をするなど、主に紛争で傷ついた人たちの自立支援を24年間続けている。
SHELLY:では、そういった問題について私たちが具体的にできることはあるのでしょうか?
鬼丸:まずは関心を持つことだと思います。マザー・テレサが言ったとおり、愛の反対は無関心なので、まずは関心を持つこと。たとえば、子ども兵がいる、戦争がある、ではなぜ戦争が起きるのだろう、と。民族や宗教の違い以上に、そこに資源があったり何か宝石や貴金属があったり、僕らが使っているものがそこに眠っているから争いをしていることもあるわけです。そうすると僕たちとは無関係ではないので、自分たちが何を買うかや何を選択するかによって、その戦争を減らしたり小さくしたりすることもできます。まずは問題に関心を持つことと、それに自分が関係をしていること、だからこそ自分にも力があるんだと思って、みなさんが関心を持ってくれるといいなと思います。
SHELLY:あとは資金ですよね。こういう活動をされている方たちは、寄付がないと何もできないわけですよ。私たちは問題の国々には行けない分、余裕がある人が寄付をする。これが大事ですよね。
鬼丸:できることを自分で探して、自分で決めるってことが大事だなと思います。
百瀬:今日はたくさんの情報を教えていただけたので、これからもそういった問題に目を向けていきたいなと思いました。
簡単なことから一歩ずつ始めるのが大切
番組では、リスナーの「SDGsに取り組んでいること」を紹介する場面もあった。リスナー:私の会社ではペットボトルを買わずにマイボトルを持参しています。これまで会社のウォーターサーバーには紙コップが置いてありましたが、最近は紙コップも廃止され、全員がマイボトルやマイカップを持参するようになりました。
百瀬:素晴らしいですね。SHELLYさんもマイボトルを使われていますよね。
SHELLY:そう。めちゃくちゃデカいマイボトルを持ち歩いています(笑)。ペットボトルを削減するために持ち歩いているだけなんですけど、みんながそれをやるようになったらきっとすごい変化が起きますよね。
続いて、「豊かな未来のために取り組んでいることは?」とSHELLYが百瀬に質問する。
百瀬:プロレスが好きで、プロレスラーの方がアフリカなどの子どもたちのためにチャリティー活動をしていることを知って。普段、生活しているなかで環境問題ってあまり気付きにくかったけど、自分の好きな選手がそういう問題に対して募金をしていることを知って、スーパーやコンビニで見かけたら募金するようにしています。
SHELLY:それは大きいよね。気付いたときに少しずつ募金をするだけでも積み重ねれば大きな金額になるし、みんながそれをやったら大きなお金が集まりますからね。ほかに何か取り組んでみたいことはありますか?
百瀬:簡単なことから一歩ずつ始めるのが大事かなと思っていて。それこそ先ほど話題になったペットボトルのキャップとボトルを分別したりとか、なるべく使わないようにしたり、そういうことを徐々に始めていきたいなと思います。
SHELLY:ゴミの分別やゴミを出さないための生活の仕方とかね。マイボトルもかわいいって思うものを見つけたら持ち歩きたくなるからね。まずはそこからでもいいかも。ほかにも、バラエティーや仕事の現場でSDGsに関する取り組みが進んでいるなって感じることはありますか。
百瀬:ドラマの現場は人数が多いので、以前は紙コップは都度使い捨てでしたけど、コップに名前を書いてそれを持ち歩いてくださいって現場があったときに、SDGsを感じることがありましたね。
最後にSHELLYは「10年後はどんな自分になっていたいか。また10年後はどんな社会になっていてほしいか」と、百瀬に質問した。
百瀬:10年後は32歳なので、個人的には銀行の口座を見て、今月使いすぎたなってことがなくなっていたらうれしいですね。
SHELLY:そういうことが多いんだ(笑)。
百瀬:最近多くて(笑)。10年後は使いすぎてもこれくらいかなっていう心の余裕があったらうれしいですね。10年後の社会については、日本は平和だなって最近思うことが多くて、同じ感覚を持ってもらいたい子どもたちが世界にたくさんいるので、そうなっていたらうれしいです。ジェンダーや男女平等といった問題も、誰も気にしていないくらいになっていたらうれしいなと思います。
オンエアをお届けした、青山のITOCHU SDGs STUDIO。
番組情報
ITOCHU DEAR LIFE, DEAR FUTURE
毎月第4日曜
22:00-22:54
SHELLY
オフィシャルサイト