激動の時代と呼ばれる昭和は、西暦1926年に元年を迎えた。そのため“昭和100年”にあたる今年は、昭和時代にちなんだイベントの開催も多数予定されている。週刊女性も昭和100年にあやかり、令和も愛される“昭和生まれのお菓子”に注目。昭和時代に幼少期を過ごした40歳以上70歳以下の大人男女にアンケートを実施した。
「懐かしい」昭和のお菓子
コラムニストの辛酸なめ子さんは、つい最近、昭和のお菓子を懐かしむ機会があったと次のように語る。
「先日お会いした方に、ご自分の写真を外装にあしらった『ビスコ』をいただいたんです。有名なお菓子の中には、カスタマイズできるものも多いと知って驚きました」
時代とともにお菓子の楽しみ方も変化しているようだ。昭和から令和まで生き残り、栄光をつかむのはどのお菓子?
第10位に滑り込んだのは、明治の『きのこの山』。'75年にきのこを模したチョコスナックとして発売され、現在も人気のお菓子だ。おいしさに関するコメントに加えて、ほぼ確実に一緒に名前が挙がっていたのが、同じく明治の『たけのこの里』('79年)だ。
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「たけのこの里よりもカリッとした食感のきのこの山のほうが好き」(東京都・53歳・女性)との声もあるが、はたして『たけのこの里』はランクインしているのか。続きを見てみよう。
9位はキャラメルの風味とサクッとした食感が魅力の『キャラメルコーン』('71年 東ハト)。アンケートでは「メインのキャラメルコーンもおいしいが、最後に残ったローストピーナツのしょっぱさが、さらにおいしさを演出していると思う。当時、こんなお菓子は初めて食べたので驚いた」(福岡県・66歳・男性)や「ピーナツが好きで『もっと入れてほしい』と思っていた」(東京都・65歳・男性)などの声が多数寄せられた。ピーナツという名脇役があっての人気なのかも。
子どものころは高級品
そして8位の森永製菓(以下、森永)『エンゼルパイ』('61年)は、チョコがけビスケットにマシュマロをはさんだチョコレート菓子。発売当時、マシュマロは高級お菓子だったため「子どものころは高級品で買ってもらえなかった。就職後、自分の給料で初めて買って食べたときはおいしかった」(千葉県・58歳・男性)と、成長してリベンジを果たした人も。
「子どものころなら何個でもエンゼルパイを食べられましたが、大人の胃には少しヘビーかも」(辛酸さん)
年齢を重ねると手に取りにくくなるお菓子かも?
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今でも欲しいあのカンヅメ!
続いてチョコ菓子の『チョコボール』('69年 森永)が7位にランクイン。'65年に発売された『チョコレートボール』を改名し、現在も親しまれている。おいしさもさることながら、パッケージのくちばしに描かれた金と銀のエンゼルマークを集めるともらえる「おもちゃのカンヅメ」に心を奪われる子どもたちが続出。
「おもちゃのカンヅメを初めてもらったときの喜びが忘れられない」(千葉県・45歳・男性)と、一生の思い出を語る人もいれば「なかなかエンゼルが出てこない。大人になって箱買いしてみたけどダメだった」(東京都・50歳・女性)と、無念の声も寄せられた。
そして「食べ飽きない定番の味。今も定期的に購入する」(福岡県・56歳・男性)との声を集めて6位に入ったのは、湖池屋の『ポテトチップス のり塩』('62年)。ほかにも「塩味と海苔の風味はいつ食べても安心感がある」(北海道・68歳・男性)などの意見もあり、王道の安定感が票につながったようだ。
発売当時の衝撃
5位に入ったのは'66年生まれの『ポッキー』(江崎グリコ)。「プレッツェルにチョコを加えただけでこんなにおいしくなるのか、と感心した」(愛知県・70歳・男性)との声から“発売当時の衝撃”がうかがえる。中には「学生のころに異性と両端から食べて、どこまで食べられるかのチキンレースをした」(千葉県・58歳・男性)なんて、淡い青春の思い出を語る人も。
これには辛酸さんも「タイのBLドラマで『ポッキーゲーム』でキスをしているのを見ましたが、実際にやる人がいるんですね……!」と驚き。一生に一度くらいはやってみたいかも?
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そして4位にランクインしたのが、『きのこの山』のライバルこと『たけのこの里』('79年 明治)。今回のアンケートでは11票差で『たけのこの里』に軍配が上がった。
「私もランキング結果と同じ“たけのこ派”。クッキーとチョコに一体感があっておいしいですよね。そういえば、ブルボンにも『きこりの切株』('86年)というチョコとビスケットのお菓子がありますが、きのこ・たけのこ論争の俎上には載らないんですね」(辛酸さん)
いつか三つ巴の戦いが見てみたい。
ベスト3はお酒のお供にもなる…
ここからは上位の発表。第3位は'78年発売の『ポテトチップス コンソメパンチ』(カルビー)だ。アンケートには「コンソメパンチが発売されたときのインパクトはすさまじかった! いまだに飽きずに食べている」(福岡県・56歳・女性)や「子どものころ、毎日食べたいと思ったほどおいしくて衝撃的な味だった」(新潟県・52歳・女性)といった声が多数寄せられた。コンソメパンチは、'24年から数種類のスパイスを加えた“パンチパウダー”を使用しているそう。時代とともに味をアップデートしているのも人気の秘訣だ。
そして「ラーメンをそのまま食べる」という発想で生まれた、おやつカンパニーの『ベビースターラーメン』('59年)が第2位に。「昔は『ちびちゃんラーメン』と呼んでいて大好きだった」(東京都・61歳・男性)や「友達と駄菓子屋に行くと毎回のように買っていた」(福井県・52歳・男性)など、郷愁を誘った。最近では、ピーナツ入りの『ベビースターラーメンおつまみ』も登場しており、“酒のお供”として大人からも愛されている。
栄えある第1位は、エビを使ったスナック菓子のカルビー『かっぱえびせん』('64年)!
「CMソングがとても流行った。かりこりした食感とほんのり塩味、エビの風味……。たしかに止まらない」(東京都・60歳・女性)や「『やめられない、とまらない』ので毎日食べていた」(富山県・61歳・男性)などの声が多数。CMやパッケージに使用された「やめられない、とまらない♪」というキャッチフレーズに対する共感の声が票につながった。
「もしかしたら私たちは『かっぱえびせんは、やめられない、とまらない』という呪いにかけられているのかもしれないですね……」(辛酸さん、以下同)
実は、この名キャッチフレーズの生みの親はいまだに特定できていないのだとか。諸説あり、『かっぱえびせん』最大の謎となっている。
「今回、昭和生まれのお菓子について調べてみたら、私が好きで一時期よく買っていたエアインチョコがすでに販売が終了していました。“失って初めて気づく大切さ”を、お菓子に教えられるとは……。昭和に生まれて令和も人気のお菓子は、多くのファンに支えられているんですね。これからはもっと積極的に好きなお菓子を買っていきます!」
お菓子の推し活、始めてみる?
<取材・文/とみたまゆり>
辛酸なめ子 1974年、東京都生まれ。漫画家、イラストレーター、コラムニスト。鋭い観察眼と妄想力で女性の煩悩を全方位に網羅する画文で人気を博す。『川柳で追体験 江戸時代 女の一生』(三樹書房)など著書多数