【動画】『ブルータリスト』本編特別映像
本作は、第二次世界大戦下のホロコーストを生き延びアメリカへと渡った、ハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トートの30年にわたる数奇な半生を、弱冠36歳の気鋭ブラディ・コーベットが監督・脚本を務めて描き出した、215分にわたる壮大な人間ドラマ。
今回解禁された本編特別映像は、ある出来事によって建築家の職を追われたラースローが、未だ建築への想いを捨てきれず、感極まる様子を捉えたもの。ヒゲも伸び放題でただ<生きる>ために、日雇いの工事現場で石炭を運んでいたラースロー。だが、全てを諦めていた彼の元に過去の業績を知った実業家ハリソンが訪ねてくる。
ハリソンから「これらは、君の設計だな?」と、自身が手掛けた建築物の写真を手渡されるラースロー。写真を眺めるうちに感極まるラースローに、ハリソンは「実に芸術的だ」と褒め称える。ここから始まるラースローの新しい物語を予感させるような、希望を感じさせるシーンとなっている。
本作で第97回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたエイドリアン・ブロディ。彼が同映画賞にノミネートされるのは実に22年ぶり。ホロコーストを生き抜いた実在のピアニストを演じて、第75回アカデミー賞主演男優賞を29歳で最年少受賞した『戦場のピアニスト』以来のことだ。奇しくも、『ブルータリスト』では建築家、『戦場のピアニスト』ではピアニストといういずれもアーティスト性を持ち、“ホロコーストから生還した”キャラクターを演じている。
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「ニューヨークのクイーンズ地区で、貧しいながらも両親とアメリカでの生活を築き上げてきました。そしてアーティストとしての声を獲得していったのです」「この事実から、この映画『ブルータリスト』が僕には特別な意味を持った現実的な体験のように感じられたのです。同様に、観てくれる多くの人にとって共感できる内容であってほしい。先祖や家族が歩まなければならなかった苦しい道について。現在の位置を確立するまでの苦労の積み重ねについて目を向けてほしい」と言葉に力を込める。
そして、母国をはなれ新しい土地で人生をやり直す人々を映画で語ることについて「非常に重要なことだと思います」とコメント。「不幸なことに、歴史は僕らが望んでいたような変化をもたらしませんでした。この映画を観たことで、ラースローのような体験をしていない人でも、または直接的にラースローのような苦労をした人を知らなくても、闘争や告発などその他過酷な状況の母国を逃れることを強いられ、新しい土地でゼロからやり直さなければならない人々について、(本作を通して)理解してもらえればと思います」と呼びかける。
最後は「『ブルータリスト』は、僕にとっては重要な意味をもつ作品」「僕自身が、移民家族のもとに生まれ、これまで生きてきました。同様のニューヨーカーは多いと思います。先祖の足取りを追っていけば、ほとんどの人の先祖はどこかを逃れてニューヨークに来たはずだから。だからこそ共感し、思いやりを感じることが大切だと思います」と述べている。
本作は第81回ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され銀獅子賞を受賞し、第82回ゴールデングローブ賞では作品賞(ドラマ部門)、監督賞、主演男優賞(ドラマ部門)を獲得。第97回アカデミー賞では、作品賞、監督賞(ブラディ・コーベット)、主演男優賞(エイドリアン・ブロディ)、助演男優賞(ガイ・ピアース)、助演女優賞(フェリシティ・ジョーンズ)、脚本賞(コーベット監督、モナ・ファストヴォールド)、編集賞(ダーヴィド・ヤンチョー)、撮影賞(ロル・クロウリー)、美術賞(ジュディ・ベッカー)、作曲賞の合計10部門にノミネートされている。
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