有澤樟太郎「第2章が始まった」 “ジョジョ”を経て挑む“ヒーロー” ミュージカル「ヒーロー」【インタビュー】

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2025年02月05日 16:10  エンタメOVO

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有澤樟太郎 (C)エンタメOVO

 「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」にてジョナサン・ジョースター役で主演を務めた有澤樟太郎が新たなミュージカルに挑戦する。過去にトラウマを持ちながらアメコミ漫画家を目指す主人公の姿を描いたミュージカル「ヒーロー」だ。有澤が演じる主人公“ヒーロー”は、家族や仲間たちとの別れや交流を通して自分の中にこそスーパーヒーローがいることに気付いていく。日本初演となる本作に挑む有澤に役柄への思いや公演への意気込みを聞いた。




−最初に本作の出演が決まったときは、どんな思いでしたか。

 まず日本初演というところに引かれました。それに加えて、この役に合っていると言っていただいたことがうれしくて。うれしいこと尽くしでしたので、ぜひ出演させていただきたいと思いました。

−脚本を読んで、実際にヒーローという役は自分に合っていると感じましたか。

 そうですね。もちろん、同じような生き方をしてきたわけではないですが、考えていることや感じていること、人からどう思われているかというところは自分に近いところはあるのかなと思いました。

−脚本を読んだ率直な感想は?

 登場人物それぞれの描き方がすばらしいと感じました。きっとこの作品を見ていただいたら、どのキャラクターのことも好きになっていただけると思います。僕は、すばらしいミュージカルや舞台、映画などを見たときは、どのキャラクターのことも好きになっているんですよ。まさにそうした作品だと思います。どのキャラクターにもしっかりとフォーカスが当たっていますし、みんな個性があってすばらしいキャラクターです。

−そうした中で、有澤さんが演じるヒーロー・バトウスキーという役については、どのように感じていますか。

 親が経営しているコミックショップで働いている等身大の28歳です。アメリカの作品なので、劇中にはアメコミのようなシーンがあり、そこがこの作品の面白さですが、前に出過ぎず、控えめな性格のヒーローはきっと日本人にも共感できる人物だと思います。

−今回、共演者は初共演の方ばかりだと聞いています。

 そうですね。初めての方とお芝居をするのもとても楽しみですが、自分と10歳以上も年が離れた方とお芝居をするということが新鮮です。これまでは同年代の方とお芝居をすることが多かったので、今回、新しい学びがあるのではないかなと期待しています。

−本作の翻訳・訳詞・演出の上田一豪さんとは「グリース」「のだめカンタービレ」でもご一緒しています。上田さんの印象は?

 お人柄も好きですし、歩き方も好き。大好きな演出家さんです。これまでの一豪さんの現場は、どの現場も明るくて楽しい現場でした。「グリース」の通し稽古では、オーバーチュアをバンドが演奏しているときに急に踊り出したりするんですよ。演出助手の方と一緒になって楽しんでいらっしゃって、そうしたお二人の関係性にもすごく癒やされます。

−上田さんの演出はどのように感じていますか。

 ミュージカルなので、どうしても段取りがたくさんあるのですが、それを細かく計算されていらっしゃるのだなと毎回、感じます。「のだめカンタービレ」では、盆が回るシーンで、「ここでこの歌を歌って、ここでこういう曲が流れて、このタイミングでせりふを話す」というように、一豪さんの中にはきちんと絵が見えているようでした。先日、「9 to 5」という一豪さんが演出をされたミュージカルを観劇させていただいたのですが、それも転換がすごく楽しくて。次は、いつ転換だろうと転換を楽しみにしてしまうくらいすばらしい作品でした。

−ところで、2024年は「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」から始まり、さまざまな転機があった1年だったのではないかなと思います。改めて振り返ってみていかがでしたか。

 本当に転機だったと思います。ちょうど2023年末に“ジョジョ”の稽古をしていました。そこからスタートして、ミュージカル『刀剣乱舞』和泉守兼定 堀川国広 山姥切国広 参騎出陣〜八百八町膝栗毛に出演して、朗読劇、ドラマと続いて今に至ります。自分の環境も変わりましたし、変化の1年だったなと思います。特に“ジョジョ”は改めて自分を見つめ直すきっかけにもなった作品で、「第2章が始まった」と強く感じました。稽古も含めて、さまざまな景色を見て、さまざまな思いを経験して、たくさんの人と出会い、発見だらけでした。本当にすばらしい作品に出合えたと感じています。当時はそうしたことを考える暇もなかったですが、今、改めて振り返ってみると、自分にとって必要不可欠な作品で、必要不可欠な時間だったと思います。一生の仲間にも出会えました。きっとこの先もずっとその絆は続いていくんだと思います。

−座長としての心持ちや在り方も意識されるようになりましたか。

 “ジョジョ”のときは、カーテンコールで皆さんの前で代表してあいさつをしたり、楽屋が少し大きかったりというところで主演であることを感じていましたし、作品を背負う責任感は痛感していましたが、考える余裕はなかったです。今回も座長を務めさせていただきますが、きっと気付けることが多いと思うので、稽古場から学んでいきたいと思います。

−これまでもたくさんの座長さんを見てこられたと思いますが、特に印象に残っている方は?

 松田凌さんです。僕が初めて舞台に出演したときに座長を務めていらして、すばらしい座長だと思いました。普段は背中で引っ張ってくださるタイプですが、欲しい言葉を欲しいときにくださるので、すごく勇気づけられます。ずっと僕の憧れです。

−有澤さんはお稽古場ではどのようなタイプなのですか。「グリース」のイメージがあるからか、はっちゃけているタイプなのかなと思いきや、こうしてお話をしているとすごく落ち着いている方なのだなと感じましたが。

 それ、よく言われます(笑)。先日も「グリース」の印象が強いと言われました(笑)。でも、あのキャラクターは普段の僕とは全く違います。演じるのはすごく楽しかったですが。稽古場では、僕はひょうきんなタイプだと思います。ただ、元々は自分から前に出るタイプではなくて、よくマイペースだと言われます。

−なるほど。そうするとヒーローはまさに有澤さんにぴったりの役柄ですね。では、今後の目標を教えてください。

 2025年には30歳になります。「えらいこっちゃ」という思いもありますが、やっと30歳でもある。20代最後に挑戦しがいのあるお仕事が続くので、挑戦を続けていきたいと思います。枠にはまらず、枠を超えていけるよう頑張ります。

−最後に公演に向けた意気込みとメッセージをお願いします。

 脚本も音楽もキャストの皆さんも全てがすばらしい作品です。これから稽古を重ねて、それをどんどん磨いていきたいと思います。僕にとってもたくさんの思いが詰まった作品です。ぜひ皆さん、足を運んでいただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ミュージカル「ヒーロー」は、2月6日〜3月2日に都内・日比谷 シアタークリエで上演。


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