2月22日、23日の2日間にわたる地元・福岡でのコンサートをもって、9年間所属した乃木坂46を卒業する与田祐希。
2月12日に発売される『乃木坂46 与田祐希3rd写真集 ヨーダ』(光文社)は、「ずっと行ってみたかった」というオーストラリアのケアンズとブリスベンをロケ地に撮影された写真集。「やりたいことを詰め込んだ」という彼女の言葉通り、自然と動物が大好きな与田らしく、コアラやカンガルーとの触れ合いをはじめ、ジェットスキーで疾走したり、橋からダイブしたりと、大自然を思いきり楽しむ姿を捉えた一冊だ。
今回のインタビューでは、写真集の撮影エピソードや卒業を控えた現在の心境、後輩メンバーへの想いについて語ってもらった。
◾️自信作の3rd写真集「1st写真集と2nd写真集のそれぞれの良さを融合できた」
ーー1st写真集が発売された時の与田さんは17歳、2nd写真集が19歳の時に発売されました。5年ぶり3冊目となりますが、今作はどんな写真集でしょうか。
|
|
与田祐希(以下、与田):1st写真集を撮影していた17歳の頃は、右も左も分からない状態でした。2nd写真集では専属モデルとしての経験を積ませていただいたおかげで、撮影の経験値もあって、写り方も少しずつ分かるようになっていて。自分の好きな角度や表情を意識しながら制作できたので、2nd写真集は自分にとって「作品」という印象が強いです。
今回の3rd写真集では、見え方を意識したカットもあれば、カメラを意識せず無防備に撮られた自然体の写真もあって、1st写真集と2nd写真集のそれぞれの良さを、自分の意思でうまく融合できた一冊になったと思います。2nd写真集が「作品」なら、3rd写真集は「アルバム」という感覚ですね。
【画像】乃木坂46 与田祐希、撮り下ろしカット&写真集先行カット
ーー特にフィッツロイ島の桟橋から海へ飛び込んでいるカットが印象的でした。2nd写真集でも崖から飛び込まれていましたが、今回も与田さんご自身が飛び込むことを希望されたんですよね。
与田:高いところが好きで、昔から島で木に登っては飛び降りていました。今でも高いところから飛ぶと、小学生の頃の気持ちに戻れるような感覚になるんですよね。東京に住んでいても「この木、登れそうだな」と思うことはあるんですけど、さすがに周りに人がたくさんいて恥ずかしいので、登ったことはありません(笑)。だから今回の撮影で、思い切りダイブできて本当に楽しかったです。
|
|
ーージェットスキーを乗りこなしているカットは、カッコよさが際立っています。
与田:ジェットスキーも、私が「やりたい!」と無理を言って、実現してもらったんです。初めて乗れたので、すごくテンションが上がって、気持ちもワイルドになっていました(笑)。
ーー撮影だと「やっているフリ」やポーズだけ撮ることも多いですよね。
与田:ありますよね。私は実際にやりたくなっちゃうタイプなので、フリだけは苦手なんです(笑)。ジェットスキーは日本だと免許が必要ですけど、オーストラリアではインストラクターの方から英語で説明を受ければ運転できたので、実際にスピードも出して走り屋みたいにブイブイ走らせていました(笑)。
◾️かつての先輩のように後輩を支えたい「ああ、伝わっていたんだ」
|
|
ーー与田さんは最近、寝言は言っていますか?
与田:めちゃくちゃ言ってます(笑)。この写真集の撮影中も、マネージャーさんと同じ部屋で休憩してたら「うえ〜嫌だ〜」と叫びながら起きたことがあって。デビィ夫人と舟に乗ってすごいスピードで「やばいやばい!」と言いながら川を下る夢をみていて、うなされていたのをマネージャーさんから「ねえねえねえ!大丈夫!?」と起こされました(笑)。
ーー深層心理が表れた夢なんでしょうか(笑)。
与田:デビィ夫人が出てくる夢占いってあるのかな(笑)。それと私の卒業コンサートが空席だらけの夢も見ました。多分不安なんだと思います。福岡での開催だし、「みんな来てくれるかな?」って。
ーー卒業コンサートの日がもう近づいていますからね。
与田:この間までは卒業まで半年くらいあると思っていたのに、気づいたら卒業が目前に迫っていて、不思議な気持ちです。先日、後輩や同期と一緒にMVを撮影したんですけど、その時にたくさんの子が「寂しい」と伝えてくれて。その雰囲気がなんだか「え、私まだいるよ?」ってくらいしんみりしていて(笑)。「いやいや、まだ卒業してないよ!」と思いながら、一人一人のメンバーと写真を撮りました(笑)。
ーー加入したばかりの頃の与田さんを見ていたファンにとって、与田さんが後輩に慕われている今の様子は感慨深いものがあります。
与田:ファンの方からもよく言われます。私が入った頃は、いわゆる「妹キャラ」みたいな立場だったし、後輩の四期生が加入してきた時も、まだその感じが抜けきれなくて、先輩らしいことをしてあげられなかったんです。それでも四期生はどんどん成長して頼もしくなっていって。自分が先輩らしい振る舞いができるようになったのは、つい最近、五期生が入ってからだったのかなと思います。
ーー先輩として後輩を支えることを意識し始めたのは、きっかけがあったのでしょうか。
与田:五期生の子たちは加入してすぐにセンターに抜擢されたり、単独ライブや主演舞台、冠番組など、加入してすぐに前に出ることが多かったので、少しでも寄り添いたいと思っていました。私自身、先輩方にそうしてもらって救われた経験があったので、同じように後輩たちに寄り添いたい、とは思っていました。グループに加入する前は後輩にも舐められるキャラだったんです(笑)。
部活ではテニス部に所属していて、同級生は先輩らしく「球拾えー!」「挨拶、声小さいぞー!」と声を出していたんですけど、私は声が小さくて、むしろ同級生から怒られてました。今でも檄(げき)を飛ばすようなタイプではないから、寄り添うことができたらいいな、と思って後輩と接しています。
ーーInstagramやブログ等で与田さんが撮影された写真を見ても、後輩メンバーへの愛情を感じます。
与田:ファンの方も写真を褒めてくれるんですけど、私は撮影の技術なんて全く分からなくて。SNSに投稿して褒められるのは、メンバーのみんなが可愛いからです(笑)。
ーーファンは与田さんから多くのものを受け取ったと思うのですが、与田さんはご自身がグループに残せたものは何だと思いますか?
与田:…なんだろう?(隣のマネージャーさんに確認して)なんですか?
自分では残せたかどうかは分からないけど、グループ全員が居心地よくいられる環境を大切にしたい、とはずっと思っていました。乃木坂って仲の良さが魅力の一つだと思っていて、期の垣根を越えて、みんなが仲良く楽しく過ごせることができたらそれは素敵なことだな、と。
そんな想いは抱えつつも、実際に私が後輩と上手く接することができたのか自分では分からなかったんですけど、前に(筒井)あやめが「与田さんの気持ちはちゃんと後輩にも伝わっていますよ」と言ってくれたことがあって。先輩らしい行動ができたこともあれば、行動に移せなかった部分もあるけど、そう言ってもらえたのは「ああ、伝わっていたんだ」と思えて、本当に嬉しかったです。
◾️卒業発表を見た祖母からのメッセージ「安心して涙がこぼれました」
ーー卒業発表前から、ファンの方々に「卒業が近いのではないか」と推し量られていたように思います。
与田:溢れ出ちゃっていたんです、ぶっちゃけると(笑)。卒業を控えながら活動をしていると、去年くらいから「これが最後か」と感じる瞬間が多くありました。メンバーにはこれからも会えるし、個人的な関係は続くんですけど、スタッフさんや現場でお世話になってきた方々の中には、もう二度と会えない人もたくさんいると思うんです。ライブや全国ツアー、グッズやアプリの撮影など、いろんなお仕事で「今日が最後だね」と言われることが増えてきて、そのたびに寂しさを感じていました。
ライブでもひとつひとつの公演を噛みしめていると、その気持ちがファンの方に伝わってしまって(笑)。特に昨年の神宮公演でのスピーチでは気持ちが溢れてしまって…。
ーー話題になっていましたよね。
与田:話題になってしまったのは想定外でした(笑)。でもファンの方々とはずっと前から握手会などのお話しできるイベントで「卒業する時、先に知りたい?ギリギリまで知りたくない?」っていう会話をよくしていたんです。ファンの方々でも人によって色んな反応があったんですけど、「早く知りたい」と言ってくれる人が多くて。だから気持ちが溢れちゃって卒業が近づいてることを気付かれてしまったのも「(ファンのみんなも)言ってほしいって言ってたし!」と思って(笑)。それはそれでいいのかなって。
ーー写真集のインタビューにも「3年前から卒業を意識し始めた」と書いていましたね。
与田:実はメンバーの写真を撮り始めたのも、その頃なんです。思い出に残せるものが欲しくて、カメラを買ってみんなを撮り始めました。
ーー卒業を発表されて、ご家族からはどんな反応がありましたか?
与田:私が卒業を発表した時に、おばあちゃんが長文のメッセージを送ってくれました。前におばあちゃんが東京に来た時に、一緒に焼き鳥屋さんに行ったんですけど、体調も悪い時期だったからフラフラしている私を見て、おばあちゃんが「福岡に連れて帰る」と言ってくれたことがあったんです。
そういうこともあったから、おばあちゃんのメッセージには「卒業発表のブログで『楽しかった』と書いてあるのを読んで、安心して涙がこぼれました」と書かれていて。「祐希のおかげですごく楽しい時間を過ごすことができました。ありがとう」と送ってくれました。卒業コンサートは地元の福岡で開催されて、おばあちゃんも見に来てくれるんです。だから、おばあちゃんにも楽しんでもらえたらいいなって思ってます。
◾️「今の環境があったからこそ、私は自分らしくいられた」
ーー写真集のインタビューにもある「乃木坂に入ってよかった」というコメントが印象的ですが、逆にもう一つの人生に想いを馳せることはありますか?
与田:卒業を目前にして改めて考えてはみるものの、全く想像ができないんです(笑)。グループに入る前も、特に夢や目指したい大学があったわけではなく、「英語を話せるようになりたいな」というくらいの気持ちで、国際文化コースのある福岡の高校に進学しました。
その高校には「キャビンアテンダントになりたい」「海外で働きたい」など明確な目標を持った生徒が多くて「私、どうしよう」とぼんやり悩んでいました。そんな時期に乃木坂46のオーディションに合格して、急に進路が決まったような感覚でした。
でも結果的にはそれでよかったのかなと思うんです。もし乃木坂に入っていなかったら、「なんかしっくりこないな」と思いながら、さまざまな職を転々としながらふらふら生きていたと思います。たとえ他に興味のあることができたとしても、乃木坂の活動ほど情熱を傾けられるかといったら、それは絶対にできなかった。だからやっぱり乃木坂に入ってよかったな、と思います。
ーー色んなアイドル像がありますが、加入当初からマイペースさと個性を隠さず発揮していた与田さんの姿に、励まされたファンはきっと多いんじゃないかと思います。
与田:ただ私は、自分が正しいとも思っていないんですよね。マイペースすぎて迷惑をかけてしまったこともあったと思います。それでも、こうして自分らしく活動を続けてこられたのは、周りのスタッフの方々や「与田っぽくていいよ」と肯定してくれた優しいファンの皆さんのおかげだと思います。もしそうじゃなかったら、こんな生き方はできなかったかもしれないし───いや、分かんない。自分を突き通して生きていたかもしれないけど(笑)。でも間違いなく、今の環境があったからこそ、私は自分らしくいられたと思います。その支えてくれた方々への「ありがとう」という気持ちはずっと忘れずにいたいです。
(文=リアルサウンドブック編集部)
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 realsound.jp 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。