ワークマン・ドンキの「着るこたつ」、電気代高騰を追い風に進化 消費者のニーズにどう対応?

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2025年02月06日 08:11  ITmedia ビジネスオンライン

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写真キャプション(プレスリリースより引用)

 近年、手軽に温まることができる「着るこたつ」が人気を集めている。電気代の高騰を受け、エアコンで家全体を温めるのではなく、体を温める方が経済的だと考える人が増えたことが背景にあるという。各社が発売する着るこたつの特徴や売れ行き、消費者の反応をまとめた。


【画像】各社の人気「着るこたつ」(全15枚)


 ワークマンのヒーターウェア「WindCore ヒーターシリーズ」は、ウェアの首の下や腰のあたりに電熱線(ヒーター)を装着。付属の充電式バッテリーを使用して体を温める仕組みで、使用後5分ほどで保温効果を実感できるという。


 温度は低温(約40度)、中温(約45度)、高温(約50度)の3段階から選択でき、一度バッテリーを充電すれば、最長で約16時間使用可能だ。バッテリーを取り外すこともできることから、「最初はそのまま着用し、寒さが本格化したらバッテリーを装着する」というように、気温の変化に応じて長く着用できる点が評価されているという。


 ベストやジャケットといったメイン商品の価格は3900〜7800円(別売りのバッテリーは4900円)で、ワークマンの商品の中では高価格帯に位置する。そのため、発売当初は、外で働く職人のみをユーザーとして想定していた。ところが、いざ発売してみるとバイクや釣りなどのシーンで活用する人も多かった。屋内での電気代節約を目的に買う女性客も目立っているという。


 今冬、新商品として発売したのが中綿入りの「ヒーター半纏」(3900円)だ。高齢者や寒さに弱い人が室内で着用すること想定し、室内でリラックスして利用できる商品として開発したという。オーソドックスな半纏と同様に紐止めを付け、和を感じられるデザインを採用した。


 職人以外からも支持を集めるヒーターウェアは、これまでに約50万点を販売。年々生産数を増やしているが、シーズン終盤にはほとんど売り切れる定番製品に成長した。


●形状が変わったドン・キホーテの着るこたつ


 ドン・キホーテがPB商品として販売している「こたつウェア」は、胸元から足先までを覆う毛布の中にヒーターを内蔵した、着るタイプの暖房器具。消費者の声を受けて毎年改良を続けており、2024年の最新モデルでは形状を大きく変えたという。


 こたつウェアは、ドン・キホーテがホカロンとの共同開発商品として企画した。2022年に発売したところ、「エアコンより少ない電力で身体を温めたい」という節電ニーズから人気商品に。当初、電源はコードタイプだったが、消費者からの「コードの長さ分しか移動できず不便だ」というダメ出しを受けて、2023年モデルはUSBタイプに変更。胸元のポケットにモバイルバッテリーを入れる仕様とした。コード部分をなくしたことで、1万1800円から9980円と約2000円の値下げにも成功している。


 2024年モデルは「すっぽりかぶれる」形状に変更された。それまでのこたつウェアはサスペンダー型で、身長に合わせてボタンで肩ひもを調整する仕様だった。しかし、消費者から寄せられた「肩が寒い」という声を受けて、肩まで覆われた毛布から、手と頭だけを出すデザインに変更。名前も「すっぽり #動けるこたつウェア」に改めた。


 肩の温かさを確保した一方で、テレワークや家事(洗い物など)をする際にもそのまま着用できるよう、袖の丈は短めにしている。こうした工夫やサスペンダーのタイプで必要だった留め具を省いたり、素材も形状の変化に合わせて改良したりしたことから、重量が15%削減。従来の商品に寄せられていた「もう少し軽くしてほしい」という要望にも応えることができたという。


 すっぽり #動けるこたつウェアのサイズは120(幅)×105(奥行き)センチで、身長135〜180センチに対応する。ヒーターは表側に4面搭載しており、2面ずつ電源を入れられるようにすることで、部位に合わせた温度調節を可能とした。


●足先の寒さに着目した「こたんぽ」


 家電メーカーのサンコー(東京都千代田区)が販売する“着るこたつ”こと「こたんぽ」(希望小売価格1万2800円)も好調だ。2017年に発売して以来、累計販売台数は8万5000台を突破。何度も改良を重ねており、最新モデルでは足先の寒さに着目した。


 こたんぽは、胸元から足先までをすっぽりと包み込み、内蔵されたヒーターで温める暖房器具。ソファや椅子に座るようなシーンだけでなく、立った状態でも使えるようにした1人用のこたつだ。サイズは本体部分が45(幅)×110(高さ)×30(奥行)センチ。男女兼用で、ウエストサイズは80〜140センチまで対応する。


 使用する際は、寝袋のように足を入れて上まで引っ張り上げる。右側にファスナー、左右両方にドローコード(フードや袖口などを締める時に使われる留め具付きのひものこと)が付いているので、自分の体形に合わせてサイズ調整ができる。また、足底の部分は開いて足を出せるようになっており、そのまま歩くことが可能だ。


 足元も含む前面部全体にヒーターを内蔵。ヒーター温度は30度、33度、36度、39度、42度、45度の6段階となっている。着たまま眠ってしまった場合に備えて、オフタイマー(30分、60分、120分、240分)機能を搭載した。


 こたんぽは2017年の発売以来、6回リニューアルしている。最新モデルでは、足元の部分を改良した。「足元が冷えるのがつらい」と多くの人が感じている。そこで、その部分をしっかり温められるように、足先までヒーターを搭載した。また、こたんぽの足底の部分は着たまま移動できるよう、開いて足を出せる仕様になっている。そのため、冷気が入りやすいという課題があった。そこで生地を多層構造にし、冷気が入りにくいようにしている。


 電気代の高騰を追い風に、進化を続ける着るこたつ。今後はどんな新商品が登場するのか。



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