石破茂首相とトランプ米大統領は7日、ワシントンで初の首脳会談に臨む。日本の首相と就任後の大統領による会談時期を比較すると、近年では今回が最速。ただ、当初模索した就任前の会談は実現せず、良好な関係を築けるか不安も残る。
「首脳会談がこれだけ早いタイミングで行われるのは、米国が日本を重視する姿勢の表れだ」。林芳正官房長官は6日の記者会見でこう強調。トランプ氏が就任後、外国首脳と会談するのはイスラエルに次いで2カ国目となる見通しだ。
2000年以降、大統領就任式の終了後の日米首脳会談では、17年2月10日にトランプ氏と会談した安倍晋三氏が最も早く、09年2月24日にオバマ氏と会談した麻生太郎氏が続く。
今回はこれらを上回る早さ。ただ、安倍氏は16年11月に就任前のトランプ氏と米ニューヨークで会談しており、実際は「出遅れ」批判もくすぶっている。
トランプ氏は就任に先立ち、アルゼンチン、カナダ、イタリア各首脳らと相次ぎ会談した。首相も昨年11月の訪米を模索したが、トランプ氏側から民間人の外交交渉を禁じた米国の「ローガン法」を理由に断られた。
日本側は1月の就任前も検討したが、最終的に就任後の正式な会談を目指す方針に切り替えた。その後、2月上旬で調整を進めたものの、日程は直前まで固まらなかった。政府から与党幹部への連絡は会談の約1週間前だった。
首相とトランプ氏の接点は、昨年11月に大統領選の勝利を祝福した約5分間の電話会談が唯一。慣例とされる就任後の電話会談も行われていない。
首相は会談に向けた「勉強会」を重ね、万全の準備で臨む構え。だが、トランプ氏は高関税政策を矢継ぎ早に打ち出し、米国によるパレスチナ自治区ガザの「所有」構想も表明。予測困難な言動に対し、日本側の警戒感は強い。
トランプ氏が、蜜月関係だった安倍氏と距離を置いていた首相を、すんなり受け入れるかも見通せない。「両首脳のケミストリー(相性)が合ってくれればいいのだが」。政府関係者はこう不安を口にした。