【ワシントン時事】7日の石破茂首相とトランプ米大統領の会談について、知日派として知られる米戦略国際問題研究所(CSIS)のニコラス・セーチェーニ地政学・外交政策副部長に展望を聞いた。
―初会談の注目点は。
信頼を築くことが焦点であり、大局を話すべきだ。個別の課題を掘り下げたら、たちまち会談が「交渉」に変わってしまう。(石破氏としては)まず中国、北朝鮮を含む厳しい地域情勢や、対米投資による日本の貢献を思い出させることだ。会談でトランプ氏がアジアを気に掛け、日本がその中心にいることを発信できれば、戦略的に意義深いものになる。
―石破氏が防衛費増額を要求されたり、関税の脅しを受けたりする可能性は。
トランプ氏は石破氏の「強さ」を見極めようとするだろう。反応を見るために、そうした問題で圧力をかけたり、日本を批判したりするかもしれない。石破氏は、日本の国益のために防衛力強化に取り組んでいることを堂々と説明すべきだ。防衛費について「米国産兵器を買い増したいのに、国防総省の調達プロセスが遅過ぎる」と切り返せば、石破氏は好印象を残せるだろう。
―対中政策では、どのようなやりとりが予想されるか。
トランプ氏の本能は競争であり、経済安全保障の強化や(軍事転用可能な)機微技術の保護を進めるだろう。ただ、彼は予測不能だ。「トランプ・ショック」に備える必要はある。石破政権は中国人向けビザ(査証)緩和などで日本の保守派に批判されているが、中国に強い姿勢を示した上で対話を模索するならトランプ氏は理解するし、中国も敬意を払うだろう。
―トランプ氏が外国首脳と会うのは2人目だ。
アジアに対する大統領の見解を形作るためにも、同盟国(首脳)が中国などの専制国家より先に会談するという点でも、早期の会談実現は重要な意味がある。