【ハイキュー‼×SVリーグ】アクアフェアリーズのセッター、安田美南の理想像は宮侑「スパイカーの力を最大限に引き出すトスが好き」

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2025年02月08日 07:10  webスポルティーバ

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『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(32)

KUROBEアクアフェアリーズ 安田美南

(連載31:アクアフェアリーズ山口真季は、音駒のクロのブロックも参考に成長「100点の1点を取りたい」>>)

「(バレー人生で)会心のセットアップ、という大袈裟なものはないですけど、自分が身長はある分、ネットを越えそうになったボールをトスできるのは強み。越えそうだと相手のブロッカーが飛んじゃうから、それを囮に(ブロックを)0枚にできると、『よっしゃー』ってなります」

 KUROBEアクアフェアリーズの安田美南(23歳)は、そう言って小さな顔に笑みを浮かべた。身長179cmのセッター。その組み合わせだけでハイスペックで、ツーアタックは強力な武器だ。

 図らずも、彼女はその期待と向き合うことになったのだが――。

 安田はバレーボール一家に生まれている。母は自分が通った高校のバレー部の卒業生で、ママさんバレーを続けていた。父は社会人でプレーし、小学生にバレーを指導していた。

「物心ついた頃からバレーボールに触っていました。勝手に(バレー人生が)進んでいった感じです」

 安田は小動物のように目を細めた。

「小学1年でバレーを始めたんですが、小3で本格的に"毎日バレー漬け"のチームに入団したので、そこが原点ですかね。監督は怖くて怒られもしたけど、同時に楽しくて、バレーがうまくなる感覚がありました」

 スパイクよりも、セットが楽しかったという。小学校では身長もそこまで高くなく、トスを決めてくれる幸せを感じた。中学では身長が伸びたが、続けてセッターもやったことがその後の糧になった。

「セッターをやらせてもらったのはありがたくて、それがなかったら今、ここにはいなかったかもしれません」

 彼女は感慨深げに言う。高校からはセッターひと筋だ。

「自分の場合、『このトスを打って』というより、『決めてくれたアタッカーのおかげ』と思うタイプですね」

 安田はそう言うが、トスで運命を動かしてきた。高校時代から、長身セッターとして将来を嘱望された。2020年には古賀紗理那を擁していた強豪NECレッドロケッツに入団したが、常勝の重圧はすさまじかった。

「自分でも『やらなきゃいけない』と思っていたし、監督や周囲から期待されているのはわかったんですが、その重みが重なって......」

 彼女は一度、バレーをやめることも考え、2021−22シーズンをもってチームを退団した。

「NECをやめた後、『バレーはもういいや』って気持ちになっていたんですが、父の知り合いのチームから『やってみない?』と声をかけてもらって。それでやってみたら、『楽しい』と思えたんです。最初は怖さもあったけど、トスを上げると決めてくれる人がいるのが楽しかった。そのタイミングで、KUROBEが誘ってくれたんです」

 彼女は、バレー人生の幕を下ろさなかった。

 NEC時代、エースの古賀は代表で離脱している時も、自分が試合に出た時にはメッセージをくれたという。悪戦苦闘しながら、その言葉を励みにしていた。

「紗理那さんはもう覚えていないと思いますけどね」

 彼女はそう言って首を横に振り、短くした髪を跳ねさせた。ひとつひとつのコートでの記憶が、闘い続ける力になっている。

「小、中、高と、いい指導者に恵まれました。目標を高く持った強いチームで、みんなと勝ち上がるバレーをしてきたからこそ、楽しく続けられていると思います。ファンの皆さんには、自分のトスを打って決めてくれるスパイカーを見てもらいたいですね」

 ひとつのトスが、彼女の運命を再び動かす。

【安田が語る『ハイキュー‼』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?

「漫画は全巻読んでいますし、アニメも見ています。2024年の能登半島地震があった際は、余震が続いて警報も鳴り止まないなかで元気をもらっていました。『次は、いつ地震が来るんだろう』と怖くて、ひとりで寝られない時は先輩の部屋で寝ていたほどだったので、支えになりましたね」

――共感、学んだことは?

「春高バレー編の烏野vs稲荷崎戦は繰り返し読んでいます。力が劣るチームが強豪に立ち向かうというのはKUROBEにも当てはまりますし、烏野の選手たちには共感できます。自分たちも『ダークホースになりたい』と思っているので」

――印象に残った名言は?

「烏野の田中(龍之介)の『ところで平凡な俺よ 下を向いている暇はあるのか』です。平凡と自覚しても下を向かずに挑戦し続けるっていうのが、自分の胸に一番響きましたね」

――好きなキャラクター、ベスト3は?

「3位が梟谷学園の赤葦京治、2位が烏野の影山飛雄、1位が稲荷崎の宮侑です。やっぱり、(自分と同じポジションの)セッターに目が行っちゃいます(笑)。

 赤葦は謙虚だけど"道"を作るセッターで、ひとりの選手(エースの木兎光太郎)を生かしきる、というのは自分もやらないといけないと思います。影山はシンプルに技術がすごくて、どんなところからも上げられるセットの質が高い。宮侑はセッターの鑑! どんなボールでもオーバーで上げるし、スパイカーの力を最大限に引き出すトスも好きです。自分もそんな余裕を持ったセッターになりたいですね」

――ベストゲームは?

「烏野vs稲荷崎は本当に盛りだくさん。宮兄弟の活躍や、北信介の名言もあるし、さっきも言いましたが、烏野が稲荷崎に立ち向かっていく姿は感動します」

【プロフィール】

安田美南(やすだ・みなみ)

所属:KUROBEアクアフェアリーズ

2001年12月12日、愛知県出身。179cm・セッター。両親の影響で小学1年からバレーを始める。岡崎学園高校(現・人間環境大学附属岡崎高校)で長身セッターとして活躍し、2020年にNECレッドロケッツに入団。2021−22シーズンをもって退団し、翌リーズンからKUROBEアクアフェアリーズでプレーする。

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