
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)を契機に、従業員がワークライフバランスを重視して職場を去る「大退職時代」(The Great Resignation)が始まった。従業員が退職はしないものの、必要最低限の業務しかしない「静かな退職」(Quiet Quitting)というトレンドも見られる。これらの要因の一つに、有害な職場環境がある。有害な職場にはどのような特徴があるのか。
●大量退職が起きる「有害な職場」の特徴とは?
有害な職場とは、従業員が上司や同僚に「罰せられている」「拒絶されている」と感じる職場だ。罪悪感を抱いたり、屈辱を感じたりする場合もある。いじめる、怒鳴る、見下すなど、上司や同僚がネガティブな言動を取るため、従業員は働きづらくなる。
有害な職場環境に置かれた従業員は、拒絶されたり叱責(しっせき)されたりすることを恐れる。そのため自身の意見を述べたり、懸念を表明したり、考えを共有したりすることに不安を感じる。有害な職場環境は、人種差別をする、うそをつく、虚偽の約束をするといった非倫理的な言動を誘発する恐れがある。
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●従業員だけではなく企業にも悪影響
有害な職場環境は、従業員と企業の双方に影響を及ぼす。有害な職場で働く従業員は、うつ病やストレスに苦しみ、休暇を取得したり、退職したりする傾向がある。生産性も低下する傾向がある。有害な職場環境が、従業員がより良いワークライフバランスを求めて仕事を辞める要因になるという指摘もある。
マサチューセッツ工科大学(MIT、Massachusetts Institute of Technology)が出版する経営誌『MIT Sloan Management Review』は2022年1月、「Toxic Culture Is Driving the Great Resignation」という記事を公開した。MITが離職の要因を分析したものだ。
MITの研究グループは、2021年4月〜9月に米国の大手企業約500社を退職した従業員3400万人を対象に、離職に影響を与えた170以上の要因を分析した。その結果、有害な職場文化は給与の多寡よりも10.4倍、離職に寄与する可能性があると分かった。
有害な職場環境を放置している企業は、人材確保が困難になる恐れがある。
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※本記事は米国Informa TechTargetの記事「12 signs of toxic workplace culture」を翻訳・編集したものです。一部、翻訳作業に生成AIを活用しています。