松本穂香、心を惹かれた北欧出身スター俳優…「瞳と眉間の皺だけ」で伝わる演技に衝撃

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2025年02月14日 16:20  女子SPA!

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女子SPA!

松本穂香さん
 数々の映画やドラマに出演している女優の松本穂香さん。大の映画好きでもあるという松本さんが史実を基にした感動作『愛を耕すひと』について語ります。

◆名優、マッツ・ミケルセンの最新作

 今回、わたしがご紹介させていただくのは、マッツ・ミケルセン主演映画『愛を耕すひと』です。

 舞台は18世紀のデンマーク。ひとり貧しく生きる退役軍人のルドヴィ・ケーレン大尉は、貴族の称号を条件に、荒地の開拓に名乗りをあげる。

 しかし、それを知った有力者フレデリック・デ・シンケルが自らの勢力が脅かされることを恐れ、ありとあらゆる手でケーレンの行く手を阻もうとする。過酷な状況に抗いながらも、彼が最後に見つけた希望とは……。

◆期待を超えてくる力強い存在感

 マッツ・ミケルセンの主演作ということで惹かれたのですが、その期待を超えてくる力強い存在感でした。

 瞳と佇まいだけですべてを分からせてくる説得力。ケーレン大尉がなぜ荒地の開拓や、身分にこだわるのか、物語の中で特に説明されていないのにもかかわらず、マッツ・ミケルセンの瞳と眉間の皺だけで、ケーレン大尉のこれまでの人生を感じさせてくれました。

 彼を取り囲む女性陣も魅力的でした。フレデリック・デ・シンケルから逃げ出した使用人のアン・バーバラ、シンケルの婚約者、エレル、身寄りのない少女アンマイ・ムス。一人一人との出会いは印象的でありつつ、関係の深まり方に無理がなく、彼らの人生を緩やかに描いていくさまが優しくて好きでした。

◆自分の人生にとって必要なたった一つのこと

 特にアマンダ・コリン演じるアン・バーバラの怒りの表現やその力強さが、どこかマッツと共通するものを感じさせて、2人が寄り添う画は不思議なパワーで溢れていました。

 ケーレンはひたむきに自分の人生と向き合ってきたように思えます。

 出会った人たちと関係を深め、愛し合い、時に反省し、出会いと別れを繰り返していくなかで、自分の人生にとって必要なたった一つを見い出すことができた。

◆鑑賞後、心に強く響くタイトル

 その一方で、ケーレンの邪魔ばかりしていたシンケルは、周りの人間を馬鹿にし、自分自身の人生さえも“カオス”だと軽んじていました。

 何よりも彼は、生まれ育った環境に甘んじて、自分自身で選択するということを知らずに生きてきてしまったのかもしれません。

 ある意味では、この作品のなかで一番悲しい人生を辿った人間だったように思います。

『愛を耕すひと』

 生きている私たちひとりひとりがそうなのかもしれない。観終えたあと、いろいろと考えさせてくれる映画の題名っていいですよね〜。気になった方はぜひ、映画館でご覧ください!

●『愛を耕すひと』
配給/スターキャット、ハピネットファントム・スタジオ 新宿ピカデリーほか全国公開中 ⓒ2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA
BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB
<文/松本穂香>

【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。2023年、映画『“それ”がいる森』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。2024年10月期月9ドラマ『嘘解きレトリック』では鈴鹿央士とともにW主演を務めた

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