写真 3度目の日本武道館公演を成功させ勢いに乗るBEYOOOOONDSが、6枚目となる両A面シングル「Do-Did-Done/あゝ君に転生」を1月29日にリリースした。「TikTok LIVE All Stars 2024」のTop Trend部門を受賞するなど、昨年はSNSでもインパクトを残した。
メンバー2人の卒業を経験しながらも、勢いが衰えるどころかますますパワーアップしていく彼女たち。新曲に隠された「工夫」から、彼女たちの原動力となっている「胸の内」に至るまで、包み隠さずインタビューで語ってくれた。まさに「いま」の彼女たちの等身大そのものの言葉であり、時にヒリヒリするような、どんなアイドルよりも「温度を感じる」言葉の数々がそこにはあった。
——「TikTok LIVE All Stars 2024」のTop Trend部門受賞、おめでとうございます。今回どのような点が評価されて受賞に至ったのか、皆さんの感想とあわせてお聞きしたいと思います。
前田こころ(以下、前田):私たちは日本武道館公演を昨年の11月にやらせていただいたんですけど、そこに向けてもっといまのBEYOOOOONDSを知ってほしいという思いから、SNSに力を入れるようになったんです。それでTikTokライブをみんなで挑戦することになって、そこで多くの方に見ていただくことができました。最近は特に現代の形に寄り添った発信の仕方を、みんなでよく話し合ってやっています。
西田汐里(以下、西田):私たちのアカウントの閲覧数が多い時間帯を、マネジャーさんに聞いて投稿する時間を決めたり、毎日投稿すると決めたりしました。いまは私たちの新曲「Do-Did-Done」のダンスをいろんな人に踊ってもらえたらいいなと思い、投稿を頑張っているところです。ちゃんと賞を受賞させていただいたことによって、続けることって本当に大切なんだなっていうことを改めて実感することができました。
——1月29日には6枚目のシングルをリリースされます。収録される新曲「Do-Did-Done」は、キャッチーな振付も目を引く“バズり”要素満載の1曲だと感じました。
小林萌花(以下、小林):じつは私、SNSがすごく苦手で……どういう流行があるのかとか、どうやったらバズるのかが他のメンバーよりもわかっていないんです。でも、みんながTikTok撮ろうって誘ってくれるんです。いざ投稿用の動画をいろいろと撮ってみたら、初見でも真似しやすくて、誰がやっても映えるダンスになっているので、とても相性がいいと思います。たくさん投稿して「ドゥディダンス」を広めたいですね。
西田:ミュージックビデオでは今回初めての挑戦をしています。「カメラワーク」を駆使して「Do-Did-Done」という曲のタイトル文字がいろいろな方向からCGで出てくるんです! ダンスや歌をメインに撮影することは今までのハロー!プロジェクトのミュージックビデオではあまりなかったから、その枠組みを超えた挑戦になっています。
——“バズり曲”というと、SNSが苦手なおじさん世代にはついていけないと感じる人もいるかもしれません。そのような世代の方には、特にここを注目してほしいという見どころはありますか?
西田:特徴的な点としては、私たちもレコーディングのときにすごく苦戦した部分があって、「しゃくり」を何回も入れているところです。ワンフレーズの中に「しゃくり」が2回入っていたりと、耳に残りやすく聞いていて楽しくなる工夫がされています。
前田:私のお父さんも気づいたら「ドゥディダン、ドゥディダン🎵」と口ずさんでるんですよ! だからどの世代の方が聞いても、それこそおじいちゃんやおばあちゃんからちっちゃい子まで、みんなに刺さる中毒性のある楽曲になっているなと実感しました。いろんな人に「頭から離れない」って言われます。
——タイトルの「Do-Did-Done」は英語における動詞の不規則変化を表しているように、英文法がテーマにもなっているこの楽曲。「お勉強が苦手」というキャラでもある前田さんですが、歌詞に出てくる「仮定法過去」や「過去完了」という英文法についてはおわかりになっているのでしょうか?
前田:おわかりになっておりません(笑)。メンバーから「こうだよ」って言われて「そうだね……」ってなっていましたね。
——ほかの皆さんはわかってらっしゃるんですか?
西田:私はわかってないと思います!笑
小林:でもこの文法ってけっこう難しいですよね。高校くらいまで英語をちゃんとやってないと……。そこは「みんなわかってるんだろうな」っていう気持ちでやっています(笑)。
前田:毎回調べて歌詞カードにちゃんと意味とか英語の読み方とか全部メモしてるんですけど、やっぱりちょっと難しい部分はあるので、そこはちっちゃいお子さんやみなさんと一緒に学んでいきたいなと思っております!
——両A面シングルのもう一方の新曲「あゝ君に転生」についてお聞きしたいと思います。この曲は、ハロプロ史上でも最大難易度の激ムズナンバーとのこと。その「激ムズ具合」を教えていただけますか?
全員:激ムズ具合ね〜(笑)。
小林:なんだかんだBEYOOOOONDSってみんな歌が上手いので“歌いこなしちゃう”ところはあるんですよ。でも、確かに初めてのリハーサルのときに、珍しく何回も「気をつけてね」って言われるところがありました。
西田:“ブルーノート”を使って歌うところがあって、そこは何度もご指摘いただいてやっとできるようになりましたね。ブルーノートというのは「音符にはまらない音」というか、標準的な音階からちょっとズレてフラット(♭)に取るような音なんですが、確かに難しい要素がふんだんに盛り込まれてる曲だなと思います。
前田:ディレクターさんも「よく歌えるね」ってボソッと言ってて「やっぱり難しいんだ!」って思いました。
——「転生」という言葉がキーワードになっていますが、転生できるならどんな人、もしくは具体的にどういう人になりたいという願望はありますか。
西田:私は小林萌花ちゃんのような人になりたい!
前田:私も思った!小林萌花ちゃんになりたい!
小林:ええっ!? なんでー?
西田:小林萌花ちゃんはリハーサルのときとかに「おにぎり」を作ってきてくれるんですよ。朝、時間の余裕を作っておにぎりをむすんでくる。そういう余裕がある人なんです。そういう人に私はなりたいです。おにぎりを朝むすぶような人!
小林:私は転生しなくてもいいくらい自分のことをいいなと思っているので、とくに転生したい人はいません(笑)。でも人間じゃない存在になるなら猫! ふわふわになりたい!
——「あゝ君に転生」では振付をメンバーの里吉うたのさんが担当されています。これまでの振付と明確に違うなと感じる点や、メンバーによる振付だからこそ生まれた振付だなと思う部分はありますか。
前田:最近メンバーが全員20代になり、ハロー!プロジェクトのなかでも「大人だな」って感じるグループになってきました。そんななかでうーたん(里吉うたの)が「“レディBEYOOOOONDS”を見せたい!」って言ってくれたんです。振付をやっていても、これまでのBEYOOOOONDSの曲では意識しなかった「顔の角度」とか、そういう細かい部分を意識してやるようになりましたね。
西田:「ここはもっと腰をこっち向きに上げる!」と言ってくれたり、女性らしいボディーラインの使い方を指導されたり。「女性らしい綺麗な形だな」というものを1個のポーズで目指すんです。その形を詰める時間がレッスンのなかでもとても長くて。これまでは「ここはポーズ」って言われたときポーズが決まればOKだった部分がありましたが、今回は一つひとつ「関節の角度」まで決めてくれました。
——「関節の角度」ですか!?
全員:そうなの!!
西田:「お尻はもっとこっち!」という具合にずらされて。そういうところに、里吉うたのちゃんのこだわりが詰まっているなと思います。あと、「がに股を封印」したのも新しいポイントです。BEYOOOOONDSの楽曲ではがに股をしない曲はないんじゃないかと思うぐらい、がに股が多く使われてるんです(笑)。でも今回は本当に1個もない! 里吉うたのちゃんが「今回はがに股を封印する曲です」って言ってくれたので、本当に綺麗なシルエットになっていると思います。
小林:「高貴に踊って!」って言ってくれたりね。「手の先まで高貴に!」って。
◆やっぱりバズりたい(笑)
——最近のBEYOOOOONDSさんはいい意味で「売れたい」「結果を残したい」という明確な発言をされるようになった印象があります。一方で、当初のコンセプトにもあった「寸劇」要素は抑えられている印象もあります。このBEYOOOOONDSさんの変化の裏側には何があるのでしょうか。
小林:大きなところでは昨年、「体制の変化」があったことだと思います。そのなかで変化があるごとにBEYOOOOONDSみんなで話し合いをしてきました。「志の統一」を目指して話し合いをしてきたので、それが「仲の良さ+前向きな気持ち」をつくっているんだと思います。あと「メラメラ」した気持ち。これはどこから湧いてくるんだろう。
前田:ね、最近「メラメラ」がすごい湧いてくるもん。
小林:体制の変化を経験したことで、いまの10人が「通過点」として存在するんじゃなくて、ちゃんといまを「1個の作品」として残したいという気持ちが強くなっているんです。
——最近の西田さんの発信を拝見すると、個人というより「BEYOOOOONDSとしての目標」を掲げる場面が増えてきたように感じます。西田さん自身の心境の変化はありますか。
西田:今まで12人でやってきたところ、急に1年で2人卒業するという変化に直面して、じつはずっと不安だったんです。12人のBEYOOOOONDSがみんな好きだったんじゃないかと考えたりもしましたし、私たちも12人という形にこだわりを持ってしまっていました。「12人だからBEYOOOOONDSだ」って、イコールで繋がってしまっているような感覚になっていたんです。
12人でやってきたものがすごく良かったからこそ、そういう感覚になっていたんですけど、でもそうじゃないなって最近気づいて。このメンバーで作ってるからBEYOOOOONDSであって、何人になっても「BEYOOOOONDSはBEYOOOOONDS」だし、それが私たちの良さなんです。メンバーが何人だからどうとかじゃなくて、ここにいる3人でもBEYOOOOONDSだし、みんなが好きな「BEYOOOOONDSらしさ」は何人になっても作れるんだなって。人数は関係ないんだとわかって心が固まりました。
——昨年は毎年行っていたBEYOOOOONDSさんの主演舞台がありませんでした。そのようななか、演技も継続してやっていきたいという気持ちが強いのか、それとも演技の要素を減らしてもっと歌とダンスで勝負したいといった気持ちが強いのか、気になるところです。メンバーによっても異なると思いますが、率直なお気持ちとしてはどのように感じていらっしゃるでしょうか。
小林:そこはやっぱりメンバーによって違うと思うんですよ。でも今までは舞台も、歌やダンスも両立してやってきて、その経験を振り返ると「どっちもやってきてよかったな」という気持ちが強いです。どちらも経験していたほうが表現力も上がるし発声などの共通点もあるので、そういう点ではいいのかなと私は思います。
前田:個人的には、お芝居もやっていくことができれば歌やダンスにも磨きがかかると思うので、もっと挑戦したいなと思っています。
西田:私はBEYOOOOONDSで作る芝居がすごく好きで、舞台を経て「絆」がより一層深まるんですよ。舞台の稽古期間ってそれぞれが演技というものに向き合うからすごく落ち込む時期でもあるんです。そのプロセスが舞台をやるごとに毎回あります。それを経て、みんなでまた一段と絆を深めて舞台を終えられるというのが、「BEYOOOOONDSでやっていてよかったな」と思える瞬間ですし、私はBEYOOOOONDSで作る舞台がすごく好きなので、またできたらなと思っています。
——2025年の目標や野望、もしくは挑戦したいことはありますか。
小林:バズりたい!! ただバズるだけではなくて「ハロプロかっけー! やっぱ、ハロプロすごいな!」という方向でバズりたいですね。かわいいのに歌もダンスもできるみたいな形が理想だなって思います。
前田:音楽番組に引っ張りだこになりたいです! シングルを出したときに絶対に呼んでいただけるような、「世の中の人みんなが知ってるよね」っていうレベルのグループになりたいので、やっぱりバズりたい(笑)
西田:私はアリーナに立ちたいです。
——2023年9月にタイで開催されたイベントに出演されたBEYOOOOONDSさん。英語要素も取り入れた新曲を見ると「世界進出」も見据えているのかと、つい気になってしまいます。
小林:どうでしょう。でも、一昨年みんなでタイに行ったからパスポートが有効なうちにいろんなところに行きたい(笑)
前田:私たちは国境を「びよーん」と超えていきたいと思っていますので!
“現在形”にこだわる彼女たちが世界を飛び回る日も近い!?
取材・文/綿谷 翔 撮影/武田敏将
※この記事の取材は’25年1月に行われたものです
【BEYOOOOONDS】
6枚目となるシングル「Do-Did-Done/あゝ君に転生」(両A面)を1月29日に発売。各初回生産限定盤には、10月に開催した5周年記念イベントやMVのほか、「Dance Shot Ver.」などを収録したブルーレイ付き。現在、ハロー!プロジェクトが全国各地で主催する冬のコンサートにも出演中。