ロス大統領(演:ハリソン・フォード)の吹替を担当する村井國夫=『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(公開中) (C)ORICON NewS inc. マーベル・スタジオの劇場最新映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(公開中)は、“初代”キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースから盾を託されたサム・ウィルソンが“新”キャプテン・アメリカとして“正義の盾”をかかげ“鋼の翼”で空を駆け巡り、強大な敵へ立ち向かっていく、新たなヒーロー映画の幕開けを告げる作品だ。
【動画】村井國夫が語る『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の見どころ そんなキャップの前にレッドハルクと化して立ちはだかるアメリカ大統領ロス役をハリソン・フォードが演じている。日本語吹替版は、「インディ・ジョーンズ」シリーズなどで約40年もの間ハリソン・フォードの吹替を担当する俳優の村井國夫。「インディ・ジョーンズの最終章(2023年公開の『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』)でハリソンさんとの関係もこれで終わりかなと思ったら、こういうふうに新しい作品をやることができて、それも元気なハリソンさんの姿を見て驚きました。とても今回の作品は意味深いものでした」と喜びを語っている。
――日本の映画ファンにとって、ハリソン・フォード氏といえば村井さんの吹替が浸透していますよね。
【村井】「東京ディズニーシー」のアトラクションの声もやっていますからね。僕が最初に担当したハリソン・フォードさんの作品は、実は『スター・ウォーズ』なんです。当時、松崎しげるさんを含めて2〜3人が声を当てていたんですが、日テレで『スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)』を放送(1985年)する時に、ハン・ソロ役を僕が担当することになりました。それがハリソンさんとの最初の出会いでしたね。あの頃は僕も30代で、格好つけていたし、正直、まだまだ下手でしたよ(笑)。いまだに、自分の声を聞くと「下手だなぁ」と思いながら観ているんですけどね(笑)。でも、声って骨格に左右されるんですよ。同じような骨格でないと響きが違ってくる。その点、ハリソンさんとは何かしら共通点があるのかもしれませんね。
―― ハリソン・フォード氏から公認を受けていらっしゃる。
【村井】はい、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のときにメッセージをいただきました。彼が「このロングジャーニー(長い旅路)を一緒に歩いてくれてありがとう」と言ってくれたことは本当にうれしかった。僕にとっては宝物です。
――実際にお会いしたことは?
【村井】ないんですよ。唐沢(寿明)さんは会ったことがあるんです。確か自動車のCMだったかな。撮影現場にいたら、ハリソンさんが小さな日本車を自分で運転してスタジオに入ってきたそうで。「かっこよかったなぁ」と唐沢さんが言っていて、もう悔しくてね(笑)。でも、僕は会わなくてもいいんです。彼は永遠の憧れの存在ですから。
――ハリソン・フォード氏が『キャプテン・アメリカ』に出演すると聞いたとき、驚かれましたか?
【村井】ビッグニュースというか、びっくりニュースでしたよ!そして、また僕に吹替のオファーが来たのはうれしかったですね。実は4作目『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008年)のとき、別の方に交代したんです。時代の流れかなとも思いましたし、僕自身も歳を重ねて声が変わってきていましたからね。
それでも、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』でオファーが来て、さらに4作目の吹替も撮り直すことになった。これには感動しましたね。だから、今回『キャプテン・アメリカ』の話が来た時、「ハリソン・フォード、まだやるのか!」と驚きましたが、うれしかったです。彼はいろいろな困難を乗り越えてきましたからね。それでもまた新しい作品に挑戦する姿勢は本当にすごいと思います。
――マーベルの世界にいるハリソン・フォード氏を見て、どう感じましたか?
【村井】もう、全然違う! 弾けてますよ。「こんなことやるんだ!」って驚きました。もちろん役柄としては大統領ですが、ある場面でガラッと変わるんです。詳しくは言えませんけど(笑)。でも、彼自身がすごく楽しんで演じているのが伝わってきました。インタビューでも「楽しんだ、思い切りやった」と話していましたし、その姿勢がスクリーンにも表れているんですよね。
――吹替を担当するにあたって、特に意識されたことは?
【村井】もう、勝手知ったる、ですね(笑)。僕の声であれば、皆さんにも受け入れていただけるだろうと思います。でも、芝居に関しては、吹替の演出家の方が細かく指示をくださるので、その意見をしっかり取り入れながら演じました。とても良い経験になりました。
――今回、日本の首相・尾崎役を平岳大さんが演じていますが、どんな印象を持ちましたか?
【村井】彼は若い頃からアメリカで学んで英語はネイティブだし、近年、俳優としても活躍していることは知っていましたが、今回の演技は本当に素晴らしかったですね。日本の首相官邸のシーンは、桜が満開だったりして「こんなに咲いてる?」と思いましたけど(笑)。でも、平さんの演技はしっかり首相としての存在感がありましたし、ハリソンさんと並んでもまったく引けを取らない。それどころか、体格的には彼の方が大きいくらいでしたからね。彼のお父さん(故・平幹二朗さん)とは僕も親交があったので、感慨深かったですね。きっと平(幹二朗)さんも、天国で喜んでいるんじゃないかなと思います。
――『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の見どころを教えてください。
【村井】ハリソンさんが「キャプテン・アメリカ」シリーズに出るというのが、夢があっていいよね。マーベルの世界で、ハリソンさんがどんな風に暴れているのか、ぜひ劇場で楽しんでください!
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