チョコレートを食べる人(写真はイメージ) 京都大と東京農工大などの研究チームは、過剰に摂取した砂糖をヒトの腸内で有益な糖類に変換するとともに、腸内環境を改善して肥満を防ぐ細菌を発見したと発表した。肥満や糖尿病などの新たな治療法や予防法につながると期待される。論文は17日までに英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
糖の取り過ぎは肥満や糖尿病などの疾患を引き起こし、中でも砂糖の主成分のショ糖(スクロース)の過剰摂取は大きなリスクとされる。一方、乳酸菌の一部がショ糖を分解して菌体外多糖(EPS)という小腸で吸収されにくい糖類に作り替えることが分かっていた。
京都大の木村郁夫教授らは、健康な人と肥満症の患者計約500人から便を採取し、EPSを作る細菌を探したところ、やせている人に多い傾向がある腸内細菌が見つかった。この細菌が作るEPS(SsEPS)を別の腸内細菌が利用し、脂肪の蓄積を防ぐ短鎖脂肪酸を効率的に作ることも分かった。
肥満モデルマウスにSsEPSを長期間摂取させたところ、SsEPSから短鎖脂肪酸を作る腸内細菌が増加。血液中の短鎖脂肪酸濃度も増え、血糖値などの数値も改善された。
ヒトでも同じ効果が期待できるといい、木村教授は「さらに高機能な菌やEPSの探索と、ヒトへの応用を進めていきたい」としている。