生命の発展は「緑色の海」で=地球外探査の指標にも―名大など

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2025年02月19日 07:31  時事通信社

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時事通信社

火山活動の影響で緑色に見える鹿児島県・薩南諸島の硫黄島周辺の海(名古屋大・松尾太郎准教授提供)
 約25億年前に、最も古い生物の一種シアノバクテリアが海中で光合成を行い、酸素を作っていた時期の海は緑色だったと、名古屋大などの研究チームが18日、英科学誌に発表した。この時期の酸素急増が多様な生命進化を促しており、「緑色の海」の存在は地球外生命を見つける指標になる可能性があるという。

 誕生当時の地球はほとんど酸素がなく、オゾン層もなかったため紫外線が降り注いでいた。約30億年前に原始的な光合成生物が生まれ、海中の酸素が増えると、溶け込んでいた鉄が酸化鉄となり、生物に有害な紫外線を吸収。シアノバクテリアが繁栄し、約25億年前には大気中の酸素濃度が急増する「大酸化イベント」が起きた。

 この時期の海の状態をシミュレーションで再現したところ、緑色に見えることが分かっていたが、光合成を行う葉緑素が吸収するのは青や赤の光で、シアノバクテリアが緑の光を効率的に利用できた理由は分かっていなかった。

 名古屋大の松尾太郎准教授らが、緑の光を吸収する色素を持つシアノバクテリアを使い、緑と白の光を当てたところ、白い光を当てた方は変異して色素を失うなど、環境に応じた「進化」が起きることが判明。また、火山活動による酸化鉄が豊富で、海が緑色に見える薩南諸島の硫黄島(鹿児島県)で調べたところ、緑の光を利用できる光合成生物が多く存在していた。

 松尾准教授は「これまでの地球外生命探査は、大気を調べていたが、検出には豊富な酸素が必要。海の色の方が最初の酸素増加の証拠になる」と話した。 
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