助演女優賞を受賞した忍足亜希子 (C)ORICON NewS inc. ろう者俳優の忍足亜希子(54)が20日、都内で行われた映画雑誌「キネマ旬報」を発行するキネマ旬報社による映画賞『2024年 第98回キネマ旬報ベスト・テン』授賞式に登壇。映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の演技で助演女優賞を受賞した。
【写真】松村北斗、河合優実ら“今年の顔”がズラリ! 本作は、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティーに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大氏による自伝的エッセイ『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』(幻冬舎)が原作。脚本は、『ゴールド・ボーイ』(2024年)、『正欲』 (23年)などを手がける港岳彦氏。主演の吉沢亮が耳のきこえない両親の元で育ち、“きこえる世界”と“きこえない世界”を行き来する主人公・五十嵐大役を、日本で初のろう者俳優である忍足が大の母・明子を、同じくろう者俳優の今井彰人が大の父・陽介役を演じた。
授賞式が始まると、司会の笠井信輔アナウンサーが、忍足の登壇時は手話で祝福するようにお願いが。ステージのセンターに忍足が来ると、会場には手話の拍手でお祝いが。静寂に包まれた中でトロフィーを受け取ると忍足は笑顔を見せた。スピーチで忍足は「とてもうれしいです。ありがとうございます。『ぼくが生きてる、ふたつの世界』ですが、ろう者である母と聞こえるコーダという子どもの親子の関係、成長の物語でした。全国の皆さんに見ていただき、とてもうれしく思っております」と万感の思い。呉美保監督やキャスト陣に「皆様方の丁寧な作品作りの結果だと思っております」と伝えていた。
そして「私はろう者の1人として、これからのろう者、次世代にのもろうの子どもたちへ伝えていけるような活動をこれからしたいと思っております。私は映画がとても大好きです。なので、もっと多くの皆さんに楽しんでもらえるように努力したいと思っております」と決意を新たにした。
また、吉沢の印象も。忍足は「見た目はとてもかっこいい、きれいな顔をされている方で。お芝居も素晴らしかったです。手話も努力されて、丁寧に向き合ってくださりました。息子役として、すごく伝わってくるものがあり、感動しました」と話していた。
■『2024年 第98回キネマ旬報ベスト・テン』受賞一覧
【作品賞】
・日本映画ベスト・テン第1位:『夜明けのすべて』(三宅唱監督)
・外国映画ベスト・テン第1位:『オッペンハイマー』(クリストファー・ノーラン監督)
・文化映画ベスト・テン第1位:『正義の行方』(木寺一孝監督)
【個人賞】
・日本映画監督賞:三宅唱(『夜明けのすべて』)
・日本映画脚本賞:野木亜紀子(『ラストマイル』)
・外国映画監督賞:クリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)
・主演女優賞:河合優実(『ナミピアの砂漠』『あんのこと』)
・主演男優賞:松村北斗(『夜明けのすべて』)
・助演女優賞:忍足亜希子(『ぼくが生きてる、ふたつの世界』)
・助演男優賞:池松壮亮(『ぼくのお日さま』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』)
・新人女優賞:中西希亜良(『ぼくのお日さま』)
・新人男優賞:越山敬達(『ぼくのお日さま』)
・読者選出日本映画監督賞:三宅唱『夜明けのすべて』
・読者選出外国映画監督賞:クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』
・読者賞:斎藤環『映画のまなざし転移』