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SKE48の末永桜花(すえなが・おうか)が2月いっぱいでグループを卒業する。2018年の初選抜以降、ずっと選抜メンバーに選ばれ、2回連続でセンターに立つなど、人気、実力ともにSKE48のトップであった彼女に、10年間のアイドル活動のこと、グループについて、さらに後輩に向けての思いなどを聞いた。
――昨年12月の卒業発表には驚きました。
末永 ビックリされました!? 誰にも話していなかったので、周りからは「えっ!? 言ってよ」「や、やめる!?」ってすごく驚かれました(笑)。
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――発表したときはどうでした?
末永 めちゃくちゃ緊張していて、手が震えていました(苦笑)。でも話し始めたら「あっ、私、辞めるんだった」って思って、そしたら急に明るいテンションになっちゃいました。
――そうだったんですね(笑)。
末永 でもまだ卒業するんだっていう気持ちがなくて。事務所へ行かなくなったり、SNSでファンの皆さんからのメッセージをチェックしなくなったら、SKE48を卒業したんだーって思うのでしょうね。
――現在、22歳とまだまだ若いじゃないですか。どうして卒業しようと思ったんです?
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末永 SKE48で自分ができること、やれることはやったと思っていて。タイミング的にもアイドル活動10周年になるので。でも、最初に卒業したいと事務所に相談したとき、辞める時期は決めていなかったんですよ。スタッフの方には「いつでもいいので卒業コンサートができるタイミングで卒業したい」って話して。私にとって卒業コンサートが最後の目標だったので。
――卒業コンサートをどうしてもやりたかったんですね。
末永 大きな会場でコンサートをやろうと思ったら、1年前から言わないと開催できないことは知っていたんです。でも、「コンサート会場、押さえられなくて卒業コンサートできません」って言われたら、その時点で辞めようとも思っていました。だから今回、会場が取れて卒業コンサートができたのは奇跡だと思っていて、スタッフさんたちには本当に感謝しています。
――そうだったんですね。卒業の話をしたのはいつぐらいなんですか?
末永 昨年の32nd『愛のホログラム』のシングル期間の終わりだったはずです。元々、30thシングル『絶対インスピレーション』のときに次、センターじゃなかったら卒業しようと思っていたんです。そしたら思いが届いたのか、31stシングル『好きになっちゃった』で初センターをやらせていただくことになって。
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センターに立たせてもらった以上、すぐに辞めるのも違うなって。ちゃんとセンターとしての役割を果たしてから辞めたいと考えて。そしたらありがたいことに32枚目も「センター、よろしくお願いします」と言われて。じゃあ、2作目もしっかりやっていこうと。
ただ、2作センターを経験したことで、このグループにいて自分がこれ以上やれることがないかもしれないなと思って、区切り的にも今かなと。
――辞めることは誰かに相談しました?
末永 誰にも言いませんでした。両親には発表の数日前に言いましたし(笑)。「自分の人生は自分で決めたらいいんじゃない」って感じの親なので「そうなんだー」って話していましたね。
――7期生として入ってきた頃、そこまで目立つメンバーじゃなかったですよね。当時はどう考えていたんですか?
末永 活躍する同期を見て、いいな、うらやましいなって気持ちはあったんですけど、チャンスを与えてもらえる時間も場所もなくて。中学生ながらチャンスは自分で掴み取りに行くしかないと思っていました。どうしたらファンの人に知ってもらえるか、応援してもらえるかって。
――ファンはまだ末永さんに注目が集まっていない頃から、「光を当ててあげよう」と応援してきたじゃないですか。本当にすごいな、と。
末永 ここまで来られたのは、本当にファンの皆さんのおかげです。SKE48に入った頃は握手会の部数も少なくて。でもファンの皆さんのおかげ増えていって。
――どうやって増やしていったんですか?
末永 考えたんですけど、私自身が楽しみながらやらないと続けられないし、ファンの皆さんも楽しくないんだなって。最初の頃は、人が並んでいない握手会を見て、私を悲しませないようにしようとファンの方は思ってくれていたみたいなんです。それじゃダメだなと。
楽しんでやっているうちに、ファンの方も「末永さんのトークはこんな感じだから」「おーちゃんの握手は楽しいよ」と、周りのファンの方に宣伝してくださるようになって。それからどんどん新しいファンの方が来てくださるようになりました。
――口コミ! 末永さんのファンはすごい! 今、当時の末永さんのように悩んでいる後輩もいるんじゃないですか?
末永 ただ、今は昔よりかなりチャンスをもらえていると思いますよ。だからこそ、いざチャンスの光が自分に当たったときに、輝けるように常日頃から準備をしていてほしい。光が当たらない状態が続いたとしても、努力しておくことは大事です。
ーー10年間の活動で印象に残っている出来事はありますか?
末永 「第10回AKB48 53rdシングル世界選抜総選挙」(2018)と「SKE48末永桜花ソロコンサート〜あなたが見ていてくれたから...♡〜」(2020)ですね。総選挙は速報で54位という順位にもビックリしたんですけど、有名な先輩たちもいるなかで絶対に上にいくことはないと思っていて。でも最終的に45位(2万4940票)という順位をいただくことができて本当にうれしかったです。ソロコンサートはアイドル人生でまさかやらせていただくなんて思ってもいなかったので、開催できたことは本当にファンの皆さん、スタッフの皆さんのおかげです。
――大変だった思い出はありますか?
末永 パッと思い出すのは2019年に出演した『SKE48版 「ハムレット」』です。初めての舞台で、2か月間ぐらい東京にいたんですよ。毎日怒られながら、稽古場とホテルの往復で、本当に実家に帰ろうと思っていました。
松井珠理奈さんや高柳明音さん、古畑奈和さんといった先輩たちの中に入って演技をしていたんですけど、本当に辛くて、泣きながら稽古場へ行ってました。佐藤佳穂ちゃんも出ていて、たまにこの話をするんですけど、辛いことがあっても「あのときより全然平気だね」って話すんですよ(笑)。
――末永さんの好きな言葉の"運鈍根"。アイドルになる人には必要な言葉だと思うんですよね。
末永 自分のアイドル人生を振り返ってみても、もちろん運も大事だし、 鈍いくらいの粘り強さも必要で。やっぱり諦めずにやってきたからこそ得られたものって本当にいっぱいあるので。これからアイドルを目指そうと思っているコは意識しておいた方がいいと思います。
――末永さんって後輩たちから憧れ、目標って言われているじゃないですか。気になる後輩っています?
末永 最近気になっているメンバーは新公演を通じて、仲良くなったここちゃん(鈴木恋奈)。面白キャラだったり、不思議キャラに見られがちなんですけど、実はこのポジションをやりたい、前に出たいと仲良くなったら話してくれて。もっとマネージャーさんにやりたいって主張しなよって話したら「ダンスが苦手だから言えません」って話すんだけど、裏ではすごく頑張ってるんです。ダンスの先生に言われたポジションは必ず覚えてくるし、任されたら精一杯がんばってくる、そんな向上心があるコだったんだなって。
――鈴木さんもうれしいでしょうね。ちゃんと見てもらえて。卒業されてからも心強い後輩たちのいるSKE48のコンサートや劇場へ観に行きたいですか?
末永 最後の同期が卒業するまでしっかりと見守ってあげたいと思っています。
――末永さんは卒業されたあとはアイドルを続けるんですか?
末永 さぁ、どうでしょうか? 皆さんの永遠のアイドルとして卒業していきます。SKE48の間はアイドルとしての姿を目に焼き付けてほしいですね。
――最後に末永さんにとって、SKE48とは?
末永 青春が詰まった場所でもあるし、人としていろいろと成長させてくれた場所です。これからSKE48を目指す後輩たちには、そういう場所だよということは伝えたいです。
末永桜花(すえなが・おうか)
2002年2月26日生まれ、愛知県出身。
血液型=A型 nickname=おーちゃん
◯2015年に7期生としてSKE48に加入。Team E、派生ユニット「SKE48 プリマステラ」メンバー。20年、23年にソロコンサートを開催。31stシングル『好きになっちゃった』に続き、32ndシングル『愛のホログラム』で2作連続センターポジションを務めた。2025年2月28日をもってSKE48を卒業予定。
公式Twitter【@Ouka_ske0226】
公式Instagram【@ouka_ske0226】
取材・文/林 将勝 撮影/成田智広