防衛省=東京都新宿区 海上自衛隊が昨年9月に黒海に面したブルガリアに隊員10人を派遣し、米海軍やウクライナ軍と機雷掃海訓練を行っていた。黒海はロシアによるウクライナ侵攻後、軍事的緊張が続くが、政府関係者は訓練海域について「戦闘海域ではないと総合的に判断しており、他国の武力行使に巻き込まれる恐れもない」としている。
訓練が行われたブルガリア沿岸のバルナ沖は、ロシアの攻撃にさらされる黒海に面したウクライナ南部の港湾都市オデッサから400キロ余り離れている。ただ米海軍によると、2022年のロシア侵攻後、黒海で確認された「浮遊機雷」のうち8%がルーマニア、7%がトルコ、5%がブルガリア近海で発見された。戦場から離れているとはいえ、黒海沿岸海域は100%安全とは言い切れないグレーな面もある。
ロシア侵攻後、黒海への軍艦進入は禁止されており、海自隊員が参加した機雷掃海訓練では北大西洋条約機構(NATO)加盟の黒海沿岸国の艦艇が使用されたという。
昨年9月の黒海派遣は自衛隊の教育訓練を規定した防衛省設置法に基づくものだが、防衛省は専守防衛を国是とする憲法との整合性や、訓練参加の目的について説明、公表しておらず、国民に説明責任を果たしたとは言い難い。米軍はホームページで日本の参加を含めて黒海での訓練概要を公表している。