記者会見する日本維新の会の前原誠司共同代表=20日、国会内 日本維新の会と国民民主党の幹部が、2025年度予算案の修正協議を巡り舌戦を繰り広げている。それぞれの看板政策の受け入れを自民、公明両党に迫り、夏の参院選をにらんだ成果争いが過熱。自民が予算案の賛成取り付けを目指し、各野党と個別に交渉する「分断工作」が奏功しているとの見方もある。
「交渉が思い通りにいかないことを他党のせいにするのはやめた方がいい」。維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は20日、国民民主の榛葉賀津也幹事長の発言について、記者団に不快感をあらわにした。
吉村氏がやり玉に挙げたのは、榛葉氏の19日の記者会見だ。榛葉氏は「年収103万円の壁」見直しやガソリン税の暫定税率廃止に関する与党との協議が足踏みしていると不満を表明。対照的に維新が高校授業料無償化などで与党との協議を進展させている焦りからか、「(自公国協議を)骨抜きにして邪魔をしたのは維新にも責任がある」とかみついた。
榛葉氏が維新に矛先を向けた背景には、維新の前原誠司共同代表への不信感もあるとみられる。前原氏は23年に国民民主を離れ、新党を経て24年12月に維新共同代表に就いた。榛葉氏は「玉木雄一郎代表や私が『自民に近い』と言って党を出た前原氏がそう簡単に自民に丸め込まれることはないと思う」とけん制した。
維新、国民民主は野党内でいずれも保守的な立ち位置で競合関係にある。野党の賛成がなければ予算案や法案を成立させることができない少数与党の下、政策実現の実績を得たい点でも戦略が重なる。
榛葉氏は21日の会見で「(与党との協議が)難航しているのは維新のせいではない。自民のせいだ」と軌道修正した。与党との協議で大筋合意にこぎ着けた維新側は「(国民民主を)意識していない」(幹部)と余裕を見せる。
野党内の不和が広がれば、国会運営や参院選で自民を利する結果につながりかねない。立憲民主党の野田佳彦代表は21日の会見で、維新、国民民主に対し、「いきり立つ気持ちは分かるが、野党で批判し合うと自民の分断作戦に乗ってしまう」と自制を促した。
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記者会見する国民民主党の榛葉賀津也幹事長=21日、国会内